メキシコシティ郊外にあるルイス・バラガンの名作「サン・クリストバルの厩舎」

メキシコシティ郊外にある不思議な建物、ルイス・バラガンの名作「サン・クリストバルの厩舎」。ここは以前、ハイブランドのCMやキューピーマヨネーズのCMでも使われ話題になったフォトジェニックなピンクの壁が印象的な建築だ。馬と人間のための邸宅と厩舎が美しく並ぶその敷地を早速見ていこう。

ルイス・バラガンの名作「サン・クリストバルの厩舎」

メキシコシティ郊外にある「サン・クリストバルの厩舎」は、建築家ルイス・バラガンが手掛けた「馬と人間の両者にとってのオアシス」と言われる建築だ。ここは、サラブレッドの繁殖と競走馬の訓練を専門に行う家族が住む邸宅と厩舎。ダイナミックなカラーの壁で囲まれた7.5エーカーの敷地には、邸宅と厩舎以外にも、馬の水飲み場プール、秘密の庭園、ギャラリー・馬術競技場が設けられている。

元々、馬好きなことでも知られるバラガンにとって、サン・クリストバルの厩舎の設計は、腕が鳴るプロジェクトであったに違いなく、その気合いとやらが作品からもひしひしと伝わってくる。

敷地の中央にあるのは、ミントグリーンの馬用プール

中央には「馬たちのオアシス」ことミントグリーンに輝くプールが太陽に照らされる。プールの深さは馬の腹部に達するように計算され、空の青さを映し込んで豊かな色彩にまた色を一つ加えている。

赤錆色の噴水から流れる水音が灼熱の気候に爽快なエッセンスをくわて混在する様は、実に不思議で印象的だ。ちなみに、馬が「男の象徴」であるのに対して、噴水から流れ落ちる変化の激しい水は「女を象徴」を表している。

バラガン建築の代名詞とも言える「真っピンク」の壁

褐色の噴水に直角に対向するのは、バラガンの建築によく使われる真っピンクの壁面だ。これは、「ブーゲンビリヤ」という色で、メキシコに古くからある民家などに多くみられる。

バラガンが使う全ての色は「メキシコ風土色」になっており、この色彩は、メキシコの空気と照りつける太陽光の中にも溶け込む役割を果たしている。

エゲルシュトーム家の厩舎(きゅうしゃ)

敷地南側には、正方形の窓を持つ白い建築が佇む。この建物では、サン・エゲルシュトーム家の馬を数頭とロス・クルベス居住者の馬を数頭預かり管理をしている。こちらの外観も形は、サン・クリストバル厩舎を連想させるが、カラーのない外観だからこその凛とした容姿が美しい。

馬の身体スケールに合わせて設計された特別な建築

メキシコの強い日差しが、乾燥した空気の中に美しい陰影を作り出す。ルイス・バラガンの名作がいくつも残る、ここ「サン・クリストバルの厩舎」は、彼の手掛けた作品達の中でも「馬の身体スケール」に合わせたこの建築は、実に不思議な空間デザインが楽しめる。

そこには彼らしい色彩とコントラスト、世界観がふんだんに創り上げられ、まるでフォトジェニックなおとぎ話に迷い込んだかのような感覚がある。

 

カラッと乾いた敷地に、メキシコの空の青さを映し込んで広がる色鮮やかな空間と設計は、正にここでしか味わえない唯一無二の建築であろう。

サン・クリストバルの厩舎 Cuadra San Cristobal – Los Clubes

電話 : +52 55 5402 2021
URL : http://www.barragan-foundation.org
予約メール : [email protected]
住所 : Cda. Manantial Ote. 20, Mayorazgos de los Gigantes, 52957 Cd López Mateos, Méx.,