フェリックス・キャンデラの神技が見られる「ヌエストラ・セニョーラ・デ・ソレダ礼拝堂」

天才建築家、フェリックス・キャンデラ。コンピューター技術を使わずにアナログ計算だけで彼が創りあげる「巨大な貝」のような建築設計を、建築業界で知らないものは居ないだろう。彼が手掛けた「美しすぎる曲線美」が印象的な「ヌエストラ・セニョーラ・デ・ソレダ礼拝堂」は、キャンデラの神技が見られるメッカ的な建築である。

フェリックス・キャンデラとは

スペイン生まれの建築家であり、コントラクターでもあるフェリックス・キャンデラ。世界から「天才的建築家」と呼ばれる彼の建築といえば、コンピューターのまだ無い時代に、計算をして創り上げた「立体曲線HPシェル」。流れるような曲線が美しい空間の設計は圧巻である。

キャンデラの十八番とも言えるHPシェル構造の建築

「キャンデラ=HPシェル構造建築」というほどに彼を特徴付けるその設計とは、放物線と双曲線を組み合わせ「縦に切ると放物線、横に切ると双曲線、45度に切ると直線」という合理的な形の曲面を用いていること。これにより、構造と表現が一体化した「流れるような空間」を実現した。

貝殻という意味を持つ「シェル」という名前のように、柱や梁のない曲面を使って「巨大な貝」のような形状の建築は実に独特である。

「ヌエストラ・セニョーラ・デ・ソレダ礼拝堂」

キャンデラが手掛けたヌエストラ・セニョーラ・デ・ソレダ礼拝堂は、メキシコ市街の閑静な住宅街に存在する。

ここは、建築家や建築を志す者にとって、メッカ的な存在にもなっており、その美しすぎる「計算尽くされた曲線美」を一目見ようと世界中から人々が訪れる。

「HPシェル」らしい緩やかなカーブが特徴的

外観は特徴的な形状でありながらも、モダンでありながら土着的な雰囲気が周囲の観光にうまく溶け込む。両脇の高さが抑えられシンメトリーなファザードと、正に「シンボル」のように掲げられた十字架が美しい。

内部空間に広がるのは、美しい静寂の時間

建物の中に入ると、水平に広がるワンルームのダイナミック空間が我々を迎える。HPシェル構造により大きくたわんだ天井が絶妙に非現実的な空間を作り出し、訪れた人々を日常から切り離して神聖な気持ちにさせる。

放射線状に切り分けられたステンドグラスからは、柔らかな虹のようも光彩が注ぐ。その陰影がHPシェルでできた天井をグラデーションに照らし、豊かな表情と幻想的な空間を作り出している。

神聖な静寂に描かれるHPシェルの天井とステンドグラスからの鮮やかな虹彩が上品に交わる様は、正に圧巻。息を飲む美しさである。

「平均厚さ4センチ」のコンクリート板で作られた驚異的な曲面

たった4cmのコンクリート板で作り上げる、柱も梁もない曲面。巨大な貝のようなHPシェル構造は、自然な形で空間に溶け込み、変化を齎す。

 

今も変わらず訪れる人々を魅了するその空間設計は、デザインもエンジニアリングもマネージメントも全てを自身で行ったキャンデラだからこそ出来た「建築芸術の粋を極めた空間」、神技であろう。

ヌエストラ・セニョーラ・デ・ソレダ礼拝堂 – Capilla San Jose del Altillo

電話 : +52 55 5659 6606
URL : http://mspsprovinciamexico.org/templo-de-san-jose-del-altillo/
住所 : Av. Universidad 1700, Santa Catarina Coyocan, Coyoacán, 04010 Ciudad de México, CDMX, Mexico