「コラボレーションで名作は生まれる」俳優・田口トモロヲの日々大切にしている視点と作品づくりへの想い

昨年放送されたドラマ「名建築で昼食を」での好演が印象に新しい、俳優の田口トモロヲさん。多数の映画、舞台、ドラマに出演するほか、音楽のシーンでも活躍されるマルチな才能をお持ちのトモロヲさんに、お好きな建築や全国で絶賛公開中の映画『バイプレイヤーズ 〜もしも100人の名脇役が映画を作ったら〜』の見どころについて伺いました。

俳優・田口トモロヲ

映画『バイプレイヤーズ~もしも100人の名脇役が映画を作ったら~』 ©2021「映画 バイプレイヤーズ」製作委員会

1957年生まれ、東京都出身。78年、劇団「発見の会」参加、82年『俗物図鑑』で映画デビュー。85年、演劇集団「劇団健康」を結成。多数の映画、舞台、ドラマに出演するほか、パンク・ファンクバンド「ばちかぶり」のボーカリストとして音楽活動も行なっています。昨年放送された、名建築家が手掛けた豪華な建物でランチを食べるストーリーが好評だったドラマ「名建築で昼食を」では、“乙女建築”巡りが趣味の建築模型士を好演し注目を集めました。

何よりも大切なのは“自由”!(笑)

まずはじめに「日常生活の中で大切にしているデザイン」について伺いました。

「“自由”ですかね。とにかくこの仕事を選んだのも『何事にも縛られないで、自由に過ごしたい!』という願望からなんです(笑)。その時々でやりたいことは変わるので、やりたいと思ったことを旬なうちにできるように、自由であることは重要です。」

やりたいことをやりたいと思った時にできる“自由”さが大切。まさに映画やドラマ、様々なシーンで活躍されているトモロヲさんらしい視点ですね。

イラストレーターである奥さんの視点で作られた、心地の良い空間

ドラマ「名建築で昼食を」では建築好きのキャラクターを演じられたトモロヲさんですが、どのような空間がお好きなのでしょうか。

「自宅ですね。凝った装飾があるわけでもなく、シンプルな空間なのですが、イラストレーターの奥さんが家の中のものはデザインしてくれていて、彼女が作り出した空間が気に入っています。」

感性が豊かな奥さんがまとめたインテリアは、居心地が良さそうですね。

これからは“密”な空間がより求められるはず

新型コロナウィルスによって生活が変わりつつある現代。トモロヲさんの活動にも影響はあるのでしょうか。

「撮影は密なことが多いのでアルコール消毒等気を付けてはいますが、行動自体は変わらないですね。改めてコロナを経験したことで、同じ空間を共有することがより大切なこととして捉え直されて、コロナが収束した暁には“密”な空間を皆さん求めるようになると思います。」

音楽フェスやイベントなど、自粛を強いられたことで改めてその楽しさを見直すきっかけにもなりましたよね。早く自由に楽しめる日が来てほしいものです。

お気に入りの名建築は…一つに絞れないです(笑)

ドラマ「名建築で昼食を」では、ノスタルジックで可愛らしい乙女建築を巡るのが趣味という建築模型士を演じられたトモロヲさん。撮影で訪れた中でも特にお気に入りの建築はありますか。

「どこも素敵でしたが、また個人で訪れたいなと思うのは、〈山の上ホテル〉、〈ビアホールIO〉、あとはコーヒーロッヂの〈ダンテ〉も気になりますね。色々な偉大な建物を移築している〈江戸東京たてもの園〉もいいですね。挙げだしたらきりがないです(笑)。」

たくさんの名建築、それぞれの魅力には甲乙つけがたいもの。ぜひ実際にその空間に訪れてみたいですね。

コロナ渦だからこそ生まれた名作「バイプレイヤーズ」

話題になったドラマ「バイプレイヤーズ」が4月9日に映画として公開されましたが、見どころは何でしょうか。

「何と言っても、100人の個性派俳優陣が入り乱れているところですね(笑)。映画では人気テレビ番組のパロディーが描かれているのですが、この役をこの人が演じたら…とユニークな顔ぶれで、まさにバイプレイフェスティバルになっているのでぜひご覧ください。贅沢すぎる俳優陣です!(笑)。」

映画『バイプレイヤーズ~もしも100人の名脇役が映画を作ったら~』 ©2021「映画 バイプレイヤーズ」製作委員会

「コロナ渦だったからこそこれだけの俳優陣が集まってできた作品ですね。悪いことばかりじゃなく、良いこともあった、という発見のような作品です。」

映画『バイプレイヤーズ~もしも100人の名脇役が映画を作ったら~』 ©2021「映画 バイプレイヤーズ」製作委員会

確かに、コロナ渦だったからこそ可能になった豪華俳優陣の顔ぶれです。皆さんがご本人役で出演されているのも新しい試みだと感じました。

「バイプレイヤーズシリーズは自分の名前で登場することがコンセプトになっています。人によっては自分自身を演じるのは難しいという方もいますが、基本的には脚本があるので、そちらに合わせて“演じて”頂いています。」

主演であろうが脇役であろうが演じることは変わらない

映画『バイプレイヤーズ~もしも100人の名脇役が映画を作ったら~』 ©2021「映画 バイプレイヤーズ」製作委員会

ドラマ「名建築で昼食を」では池田エライザさん演じる春野藤と、バイプレイヤーではなく主演として出演されていますが、バイプレイヤーと主演とで気持ち的に大きく異なる点はありますか。

「脚本や演出家とのコラボで作品は作られていくので、演じることについては特に違いはないです。ただ演じる内容によってはその時々に合わせた息遣いにしようと心がけています。」

チームを組むことで、お互いの良さが高まる

映画『バイプレイヤーズ~もしも100人の名脇役が映画を作ったら~』 ©2021「映画 バイプレイヤーズ」製作委員会

名バイプレイヤーとして数々の作品で活躍されているトモロヲさん。そんなトモロヲさんにとってライフイズ〇〇の〇〇に入るものは何でしょうか。

「ライフイズチームですかね。撮影現場では脚本家や監督、俳優たちがチームを組むことによって、それぞれの表現がより魅力的になると感じますし、私生活でも家族やマネージャーなどとチームを組むことによって自分が成り立っているので、この視点は欠かせないポイントかなと思っています。」

他者とチームを組むことで、お互いの魅力が引き出せる。なるほど、トモロヲさんらしい一言でした。