【リンネル×casa carinaコラボ企画】インテリアデザイナー石井佳苗インタビュー後編

2017年4月から始まった雑誌『リンネル』とcasaシリーズの南欧風住宅 「casa carina」のコラボ企画。いよいよ完成を迎えたいま、インテリアを考える上でこだわった点はどこか、リンネルとcasa carinaのコラボハウスならではの特徴などを、インテリアスタイリストの石井佳苗さんに伺った。前編はこちら

プロフィール

インテリアスタイリスト 石井佳苗

インテリアや暮らしまわりのスタイリスト。ディスプレイや商品開発などにも活躍の場を広げている。インテリアやDIYにまつわる著書多数。

住む人の個性を活かせる家

ーー今回の企画で「商品住宅(規格住宅)」というものに触れられて、どのようなメリットに気が付かれましたか?

家を建てようとするときに多くの選択肢がある中で、このような商品があることが魅力的なのではないかと思います。企画した自分が言うのもなんですが、商品住宅っぽくない自由さや広がりが画期的で(笑)。よくありがちなものというより、「こんなのもあるんだ!」と感じていただけたら嬉しいです。

ーー逆に「商品住宅」であったから、苦労をされた点などがあれば、お教えください。

コスト面が難しかったですが、最終的にうまくいきました。うまくバランスのとれた価格帯の、もしかしたら価格帯以上のものができたと思います。

住む人の個性を出したかったので、シンプルでありたいと思っていました。電球一つでもいろんな種類があって、わずか何百円のものですが、それだけで印象が変わってきます。住む人が照明を変えれば部屋の雰囲気も変わるので、シンプルにした方が住んでる人の個性が出やすいと思うんです。

そのため作り付けや備え付けはできるだけシンプルがいいなと思って、デザイン性のあるものを入れてしまうのを避けたいと思っていました。住む人のキャラクターが出るような家がいいんじゃないかなと思います。

意識したのは柔らかい雰囲気づくり

ーー「リンネル×casa carina」家全体のコーディネートについて、どのような世界観を築こうとプランニングされましたか?

暮らしのテーマが『リンネル』というところもあって、北欧っぽさを意識した家具選びをしました。デザイン的にも北欧らしいものを選びましたが、がっちり北欧ではなく、少しミックスした感じですね。

ーー四角いテーブルではなく、丸テーブルを選ばれたのはなぜでしょうか?

人が集うときに、円卓を囲む柔らかさを出したいと思いました。キッチンも階段も四角なので、丸いものを入れて柔らかい雰囲気を作るために丸いテーブルを選びました。

ーー普通はどの家にもソファがありますが、あえて置いていないのもこの家の特徴ですね。

土間の小上がりにも座ってもいいし、ベンチや階段に座ってもいいと思います。ソファがあるとみんなそこに集中してしまって、そこで完結してしまいますが、家族がいろんなところに座ってコミュニケーションとるインテリアにしたかったんです。

インテリアを作ろうとすると、だいたい多くの方がまずソファから入りがちです。でもそこで、「ソファを置くこと自体やめてみない?」というアイディアを取り入れた途端、自由になります。一人一人が気に入った場所に座って会話ができれば、楽しんじゃないかなと思います。

主張しすぎない、絶妙な色

ーー小物も素敵なものが多いですよね。テーマやポイントはありますか?

意識したのは「色」ですかね。内装のグレーや、木の柔らかい色にあうものを選びました。いわゆるモーブ系と言われる色で、例えばピンクでもくすんだピンク色とか。色が入っても、全部くすんだ感じで雰囲気を作れる色合わせにしました。

ーー中にはタイルも使用されていますが、こだわりは何でしょう。

こちらもグレーで、すごく主張はしすぎないけど雰囲気が出せるようなものを選んでいます。実は洗面とお手洗いのタイルは同じものを使用しているんですが、貼り方を変えているんです。タイルは貼り方で印象が違うので、そこを見ていただけたら面白いのかなと思いますね。

色味、床、壁の色味も、濃い色を使わないでベーシックなもので。どちらかというと質感にこだわりたかったので、色を抑えたものを組み合わせて上品に仕上げました。

ーー最後に、「リンネル×casa carina」の家でこんな暮らしをしてほしいなど、興味を持たれた方へのメッセージをお願いいたします。

思いもよらない使い方をしてほしいです。土間をどう使うか、その工夫次第で楽しい空間が作れると思います。奥さんが趣味を楽しんだり旦那さんがアウトドアしたり、実際に住む方がどういう使い方をされるのか楽しみですね。