「人間のベースは変わらない」建築家・五十嵐淳が考える大切なデザイン

毎週月曜日に立山律子がお送りする福岡のラジオ放送CROSS FM「DAY+」。「#casa(ハッシュカーサ)」の枠に今回ゲストとしてお越し頂いたのは、北海道札幌市を拠点に活動し、住宅を中心に様々な建築設計を手掛ける建築家・五十嵐淳(いがらしじゅん)さんです。前編では大切にされているデザインや活動の拠点である北海道について伺いました。

建築家・五十嵐淳

五十嵐淳
Via : https://jun-igarashi.jp/

1970年北海道生まれ。1997年五十嵐淳建築設計事務所設立。代表作に〈矩形の森〉〈house O〉〈大阪現代演劇祭仮設劇場〉〈Annex〉など。国内はもとより海外からも注目を集め、2005年には日本人として初めてBARBARA CAPPOCHINビエンナーレ国際建築賞グランプリ(イタリア)を受賞した他、オスロ建築大学にて客員教授として教壇をとり、海外での講演会も多数行われています。

普段の生活で大切にされているデザインは?

Via : https://jun-igarashi.jp/

まずはじめに「日常生活の中で大切にしているデザイン」について伺いました。

「“心地が良いと感じるもの”がデザインだと思います。世の中すべてデザインされたものですが、デザインを見る側によって心地よさは変化するもの。なので見る側によってデザイナーが心地よいと思うものもそう思われないこともありますが、まずは僕にとって心地よいものが大切なデザインだと考えています。」

新型コロナウィルスと建築家

屋根と矩形
via : https://jun-igarashi.jp/

新型コロナウィルスによって生活が変わりつつある現代。建築家としての活動にも影響はあるのでしょうか。

「環境が変化しても、人間自体はさほど変わらないのではないでしょうか。科学やテクノロジーなどの技術は進化し、人間もそれに順応してはいくものの、ヒトとしての根本は変わらないと思っています。建築は人間に対するものなので、その対象が変わらなければ建築もベースは変わらないと考えています。」

確かに、心地のよい空間というのは今も昔も変わっていないですよね。ヒトとしての感覚は環境が変わってもブレずに保たれるのかもしれません。

北海道という土地と建築の関係

Via : https://jun-igarashi.jp/

出身地である北海道で現在も活動されている五十嵐さん。北海道という土地で建築を行う上で影響を受ける点などあるのでしょうか。

「一度北海道から出てみると、改めて空間が広いというシンプルなことに気がつきました。デザインするときに場所が沢山あると、空間の制約が少ないので自由にできる分ストレスはないかもしれません。また、東京などの都会に比べ時間の流れ方がずいぶん違うことも感じられますね。」

当たり前だと感じていた環境も、一度外に出てみることで改めて気づくことがありますよね。

Via : https://jun-igarashi.jp/

「あとは、約6ヶ月間が寒い冬なので、暖かい季節の大切さを年を重ねるごとに感じるようになってきました。」

1年のなかでも寒い日々が多い北海道。外で過ごすのが気持ちいい季節は、貴重な時間に感じられそうです。

ヒトの心地よい空間を目指す

どんな状況であれ人間が根本的に心地よいと感じる空間づくりを意識されている五十嵐さん。北海道という自然豊かな土地で生まれ育ったからこそ、流行とは関係のないヒトが無意識に心地よいと感じる建築を生み出せるのかもしれませんね。

毎週月曜日に2週に渡ってゲスト対談をしている福岡のラジオ放送CROSS FM「ライフスタイルメディア #casa」。建築家・五十嵐淳さんをゲストに迎えた後週回については「『幸せな未来を描きたい』建築家・五十嵐淳のアイディアの原点とこれからの暮らし」からどうぞ。

後編:「幸せな未来を描きたい」建築家・五十嵐淳のアイディアの源とこれからの暮らし