フィンランド・ヘルシンキ中心部のランドスケープでもある美術館「アモス・レックス(Amos Rex)」

自然由来のマテリアル、フォルムを取り入れたあたたかな風合いが特徴の北欧デザイン。その中でもフィンランドの首都ヘルシンキは「デザインと建築の都市」とも呼ばれるほど人々のデザインへの関心も高く、幾何学的で機能主義的なデザインが街中や人々の暮らしの中でも多く見られます。そんなフィンランドの首都、ヘルシンキの中心部に2018年オープンしたアートミュージアム「アモス・レックス」(Amos Rex)は、既存の市民空間である広場を維持しつつ地下に設けられた美術館です。古代文化から現代美術まで幅広い作品を擁するアモス・レックスは、展示作品はもちろん建築自体もユニークな見応えたっぷりのミュージアムです。

古代文化から現代美術まで幅広いプログラムを展開

アモス・レックスは、フィンランドの慈善家・アートコレクター・実業家として知られるアモス・アンダーソン氏の遺贈により設立された「アモス・アンデルソン美術館」(Amos Anderson Art Museum)の活動を引き継ぎ、2018年に建てられました。

街の中心部に位置するアモス・レックスは、1920年代の古典主義建築である国会議事堂の向かいにあり、スティーヴン・ホールが設計した「キアズマ美術館」の斜め向かいに位置します。

カーブを描くルーフスケープと天窓が地上にのぞく

設計を手掛けたのはヘルシンキを拠点に活動するJKMMアーキテクツ(JKMM Architects)。約2,200平米にも及ぶ建築を地上ではなく地下に設けたのは、19世紀に建てられた新古典主義様式の兵舎を保存し、かつての軍事パレード場(現在のラシパラツィ広場)を建築のない未建築の公共空間として残すことが条件となっていたため。

そこで、JKMMはヘルシンキ市のプランナーと協力し、ラシパラツィ広場を維持しつつ、アモス・レックスにおいて唯一地上に現れる屋根部分を市民が楽しめるようなランドスケープとしても機能する構成を計画。

結果、地下の展示スペースに太陽光を取り入れるべく、彫刻的なルーフライトを持つユニークな形状の屋根がこの建築の大きな特徴となりました。

季節・天候を問わず楽しめる地下の展示空間

内部の展示スペースは柱のない構造になっており、常に変化する現代アートのニーズに柔軟に応えることができます。

地下にあるため季節や天候にも左右されず、芸術鑑賞を楽しめるのも魅力の一つ。

刻を忘れて作品をじっくりと味わうことができます。

ミュージアムの内部には展示ホールからラシパラツィ広場のホワイエへと続くスロープ階段があり、来館者はアモスレックスの上階部分にある映画館「ビオ・レックス」のドアから建物に入る構造に。

この映画館は美術館の来館者のみならず一般客にも開放されており、国内外の映画を上映しています。

地上も地下空間も楽しめるフレキシブルなアートスポット

アモス・レックスの周辺は、フィンランディアホールやフィンランド国立博物館、キアズマ現代美術館、ヘルシンキ音楽センターなどが隣接しており、フィンランドの様々な文化やアート、建築、歴史を一緒に鑑賞することができます。周辺環境も含め、ヘルシンキの最旬スポットとして今後も大注目の新基軸の美術館です。

アモス・レックス
所在地 : Mannerheimintie 22–24, Helsinki, Finland
開館時間 : 11:00~18:00(水・木曜 ~20:00、土・日曜 ~17:00、最終入館は閉館45分前)
休館日 : 火曜(ショップは無休)
入館料 : 18€
公式サイト : https://amosrex.fi/