北海道を拠点とする建築家・五十嵐淳が手掛けた高性能住宅「casa nord(カーサ・ノルド)」

nordとはイタリア語で「北」を意味する。日本の北に位置する北海道には、厳冬期になるとマイナス20℃が当たり前の地域がある。その北海道を活動の拠点としている建築家五十嵐淳氏が手掛けた住宅が、高性能住宅「casa nord(カーサ・ノルド)」である。また、casa nordのnordには「北の知恵」という意味も込められているという。長く厳しい寒さの中で育まれてきた知恵が「casa nord(カーサ・ノルド)」には詰まっているのである。

寒さを心配することなく快適な暮らしができるcasa nord

首都圏等で見られる住宅設備をそのまま北海道に持っていったとしたら、その生活は困難を極めるだろう。その地域に合わせた設備が必要だからだ。casa nordは、北海道を拠点とする五十嵐淳氏によるデザインが施されている。高気密高断熱はもちろん、その外観や間取りなど、マイナス20℃でも快適に過ごせる寒冷地に適した施工がされているのが特徴である。

工夫を凝らしフレキシブルな対応が可能な間取り

高気密高断熱のcasa nordだが、室内は開放的なイメージがある。これは五十嵐淳氏ならではの視点による、寒冷地に合わせ考え抜かれた間取りとなっている。階高を低くし梁をむき出しにすることで圧迫感を取り除いた1階は、ワンルームのような空間で、むしろ開放的である。幅の狭い縦長の窓が全方位にあることと、天窓が自然の光を届けてくる。縦長の窓はその幅の狭さが周囲の目を回避するというのが特徴である。

2階は家の中央に位置する柱を軸に、家族の人数や形、生活スタイルに応じてフレキシブルに変更が可能で家族の間でもプライバシーの確保が可能となっている。

ウレタン断熱パネルで高性能の構造

casa nordは、高気密高断熱を実現するためにcasaオリジナルの「ウレタン断熱パネル」を採用している。これは冷たい外気や夏の暑い外気を遮断することが目的である。逆に、室内の快適な空気も外へ逃がさない役割もある。

さらに、ウレタン断熱パネルは耐久性にすぐれ、経年による劣化や性能の低下が少なく、高気密高断熱を維持することができる。よって結露も防ぐことができ、家の劣化を長期にわたり防ぐことが可能だ。
また、ウレタン断熱パネルを壁面に組み込み、一般の軸組工法と比べて、約1.7倍の壁組強度を得ることができた。そして隙間を減らすことで遮音性にも優れている。

室内にも工夫が見られる。例えば2階の床をルーバー加工するなどして空気の循環構造も計算されているところだ。まさしくマイナス20℃でも快適に暮らせる住宅である。

生活をより豊かにする住宅

外はマイナス20℃という過酷な環境でも家の中はプラス20℃。断熱材や間取りの工夫で快適な住空間を作ることは可能である。casa nord(カーサ・ノルド)は、オシャレな外観に見られるデザイン性や、住宅そのものの安全性、耐久性を持たせている。casa nord(カーサ・ノルド)が、長く厳しい寒冷地の生活をより豊かにし、家族全員が穏やかに暮らせる居住空間になることだろう。