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エコロジカルなダンボールテントの可能性

via: kartent.com

KarTentは、野外音楽フェスティバル用のリサイクルできるダンボールテント。参加者がフェスにテントを運ぶ必要がなくなり、終了後に廃棄されたテントの残骸を減らすためのプロダクトです。ダンボールテントに思い思いのペイントを施し、エコな気分で野外で音楽を思いきり楽しむ。自由なライフスタイルで持続可能性に貢献できるアイデアです。

「カート・テント」という意味のKarTentは、天然素材のダンボールから作られた100%リサイクル可能な環境にやさしいテント。アムステルダムに本拠を置くスタートアップが、フェスティバルの終わりに放棄されることが多いナイロン製テントの代わりに考案したものです。数日に渡って開催される音楽フェスでは、終了後にテントを片付けて持ち帰る気力の残っていない人たちも多く、オランダでは毎年2万5000にもおよぶテントが廃棄されていました。

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KarTentは、建築家・Jan Portheineとインダストリアルデザイナー・Wout Kommerの若い2人によって開発されました。Janがデルフト工科大学の建築科の卒業プロジェクトのために設計した、ダンボール製のビーチハウスがその発端です。ダンボールを使用して何が作れるだろうかと模索していた彼らは、イギリスのグラストンベリー・フェスティバルで、無数のテントが放棄されている写真を目にしました。一度も音楽フェスに行ったことのないJanは、その光景に衝撃を受け、KarTentの開発を決意したのです。

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KarTentはフェスの開催地近くの工場で生産され、現場であらかじめ組み立てられて提供されるので、参加者は自家用車の代わりに、公共交通機関を使ってフェスにアクセスできます。このため、配送や移動による排出ガスを減少させる効果が期待できます。従来のテントより、二酸化炭素の排出量を減らして製造できるのもポイント。KarTentのサステナブルなコンセプトは国際的に高く評価され、2017年の「レッド・ドット・デザイン賞」を受賞しています。

via: red-dot.org

KarTentの大きさは、高さ1.45メートル×長さ2.40メートル×幅1.60メートルで、3.3平方メートルの広さに大人2人を収容でき、換気のための小さな窓が付いています。テントは長い木材繊維を持った非コーティングの厚手のダンボールから作られ、標準的なテントにはない強度を備えています。

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開発者の2人は様々なダンボール製造業者を訪問し、豊富な繊維によって頑丈かつ防水性に優れた、波状構造のダンボールに行き着いたとのこと。ヨーロッパ各地に工場を持つ、世界的な梱包紙材メーカー Smurfit Kappaが製造を請け負っています。

KarTentの設計では、折りたたみの構造と、コーナーとドアを丈夫にして防水にすることが最大の課題でした。最終的には悪天候の中でも、4日間ドライな環境で過ごせる性能を実現しています。フェスの場所にフラットパックで届けられたテントは、横に開けば一瞬で自立し、両側に三角形の蓋をはめて、25秒でハイ出来上がり。

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ダンボールの表面に広告表示や自由にペイントができるので、フェスティバル主催者は、スポンサーにロゴ付きのテントを配布させるといったことも可能です。そのため各フェスでのKarTentの販売は、無料を含んだ様々な価格帯で提供されており、平均価格は35ユーロ (約4550円, 1ユーロ=130円) となっています。

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フェス終了後には、参加者はテントを家に持ち帰ることができますが、実際にはほとんどの人がそのまま残していきます。きれいなテントは、学校やボーイスカウト、スポーツクラブに寄付され、汚れたものは地元の業者に運ばれリサイクルされます。

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KarTentの会社でも古いテントを再利用して、簡易アウトドアチェアや照明器具といったオリジナル製品に生まれ変わらせています。

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ハンドクラフトでアップサイクルされたダンボール照明、Bee Light(ミツバチ・ライト)は、ダンボールの波型から柔らかく光が漏れる素敵なデザイン。一点ものとして手作業で作られているので、照明のパターンや波の文様がすべて異なるライトです。

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猫用プロダクトのエキスパートがデザインした、猫好きには見逃せないCatTentもあります。60 x 30 x 30 cmの大きさで、片面がホワイト、もう一面がブラウンに仕上げられ、インテリアに応じて回転させて設置できます。側面に開けられた多数の穴で、猫が快適にお家でキャンプできるテントになっています。

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KarTentホームタイプや、高さ1.2メートル×長さ0.8メートル×幅1.5メートルのジュニアタイプを含め、オリジナルのダンボール製品は、オンラインストアからインターナショナルに配送可能です。送料の割合がかなり高いのがネックですが。スタートアップではこの他に、使用済みテントをキノコ栽培のための肥料として活用できないかと研究しているそうです。

KarTentはナイロン製のテントと違い、日光を完全に遮るので、朝日のもとでもフェスで疲れた身体をゆっくり休めて寝坊することができます。

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個性を生かしてお絵描きしたテントで、エコロジカルに自由を満喫。KarTentがデザインするのはハードではなく、ユーザー体験だと言えるでしょう。アムステルダムのスタートアップが、今後どのように、無意識に楽しめるサステナブルなストーリーを紡いでいくのか注目したいと思います。

Via:
kartent.com
designboom.com
technischweekblad.nl
red-dot.org

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