ピエトロ・ベルーシとピエール・ルイジ・ネルヴィによる「セント・メアリー教会」。

サンフランシスコのダウンタウンの外れに周囲の建物とは一線を画す教会建築がある。四角いヴォリュームから流線型の塔がそびえるこの建築は、ピエトロ・ベルーシとピエール・ルイジ・ネルヴィの設計による「セント・メアリー教会」だ。その特徴的な外観はどこか丹下健三の東京カテドラルを思い起こさせる。

デザインと構造が一体となった建築

内部空間は外観よりもさらにダイナミック。HPシェル構造の屋根から流れるように下部の柱へと変化しているデザインで、デザインと構造が見事に一体化されている。また、周囲の正方形の平面を持つヴォリュームと対比的に見せている。

実はこの建築家ピエール・ルイジ・ネルヴィは構造エンジニアとしても知られていて、丹下健三にも大きく影響を与えた人物だ。彼はこのようなシェル構造の建築設計には工学的なことだけではなく、直感や芸術的な要素も必要であると説いていて、何となくこの建築を観ると理解できるような気がしてくる。

うねるように床面につながる柱は生物のようにも、地面から生えているようにも感じられ、非常にダイナミックなデザインになっている。

持ち上げられた天井の隙間からは直方体のヴォリュームが切り取られるように見えるため、シェル構造の天井や柱を伝い柔らかい光が差し込んだり、周囲の壁の印象が柔らかくなったりとおもしろい。

幻想的な光が注ぐダイナミックな天井

高くそびえるHPシェル構造の天井を見上げると、その隙間には十字に開けられたトップライトから幻想的な光が注ぐ。

ダイナミックな天井には、デザインと一体化した十字架が埋め込まれる。こういった部分も丹下健三の東京カテドラルを彷彿とさせる。また、メキシコの建築家であり構造家のフェリックス・キャンデラとも流れが同じであるように感じる。

 

ピエトロ・ベルーシとピエール・ルイジ・ネルヴィによる「セント・メアリー教会」を観ると、水平垂直が基本な幾何学的な建築とも異なる数学的な美しさを感じるだろう。デザインと構造、あるいは工学と芸術が融合された本来建築が目指した姿があるように思う。

Cathedral Of Saint Mary Of The Assumption – セント・メアリー教会

電話:+1 415-567-2020
URL : http://www.stmarycathedralsf.org
住所:1111 Gough St, San Francisco, CA 94109, USA