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北欧フィンランドのやわらかな自然光が入り気持ちいい空間が広がる「アアルト・アトリエ」

フィンランドのムンキニエミという閑静な住宅街の中にあるのがアルヴァ・アアルトの自邸とアトリエです。傾斜を活かして設けられた中庭が広がるアトリエスペースには、スツール60をはじめとしたアルテックの名作椅子やテーブルがずらり。アアルトがデザインした照明や建築模型、貴重な図面も展示されています。今回はこちらのアトリエをご紹介します。

白くシンプルな外観の「アアルト・アトリエ」

「アアルト・アトリエ」は、とてもシンプルな外観で周囲に溶け込んでいます。アアルトは、もともと自邸の脇に事務所を構えていたものの、大きなプロジェクトを獲得して手狭になったので、自宅から徒歩10分程度のこの場所にアトリエを新設しました。

道路に面した壁以外は意外にも大きめな窓が多数配されています。敷地の斜面を利用するように中庭があって、イタリアなどに見られるような円形劇場のようなドラマチックな空間に。

どことなく日本的な雰囲気や暖かみを感じる空間

素朴な佇まいのエントランスから中に入ります。

訪れるとガイドに最初に案内されるのは、現在ミュージアムショップとして使われているスペース。

木を格子状に使っているデザインからはどこか日本的な要素が感じられます。

L字になった平面のアトリエと反対側のスペースは、食堂として使われていたそう。台形のようになった平面は、アアルトらしく広がりを感じさせるように工夫しているから。アルテックの丸みのある家具が使われており、あたたかみのあるインテリアです。

格子状の木枠が施された棚の向こうはキッチンになっています。庭に面した窓から入る自然光が心地よく、食事の時間を豊かなものにしてくれます。

白の色味と天井の形状で光が広がるアトリエスペース

階段を昇って2階に上がるとハイサイドライトから入る自然光が明るく照らすアトリエの空間が現れます。真っ白な天井が傾斜して片流れとなっているのは、ハイサイドから差し込む太陽の光を天井に反射させて、室内を明るくするため。

アアルトの時代はCADもなく、手書きで図面を描いていたため作業がしやすいよう広さが必要なうえ、より明るい空間が必要だったのでしょう。

アトリエの奥の方は、現在も現存するアアルトの建築の修復などの図面を描く作業に実際に使われており、一方手前部分は当時の様子がそのまま残されています。

大きな窓からは周囲の緑が見えてリフレッシュでき、気持ち良く働けそう。アトリエスペースの隣には、ミーティングスペースが隣接していて、大量の資料が残されています。

そして背後の斜め壁には、その上部のトップライトから入った自然光が反射してまるで照明が配されているような見た目に。ここは主に事務所内での打ち合わせが行われていました。

自然光と局面の壁が作り出す気持ちがいい空間

L字になった中庭に面した空間は、主にクライアントなどが来客したときにミーティングするための空間で、アアルトの家具や照明、模型などがあってショールームのようなスペースとして使われていました。

古代ギリシャの野外劇場を思わせる中庭が広がるアトリエ。中庭には円弧を描くスクリーンの壁があり、アトリエ内部のガラスの壁はスクリーンと同じようにカーブを描いています。これは冬のあいだ、暖房のきいた室内から野外の中庭へスライドを映して講義を行えるように設計されているのだそう。居心地の良さはもちろん、アトリエとしての機能性も考慮された空間なのです。

白いキャンバスのような想像力が膨らむ空間

アルヴァ・アアルト自身のための事務所である「アアルト・アトリエ」。壁をスクリーンとして活用したり、色や形状による光の取り入れ方など、心地よさと作業のしやすさが両立した空間でした。

Studio Aalto – アアルト・アトリエ

開館時間:11:30~12:30
休館日:月曜日
URL : https://www.alvaraalto.fi/en/location/studio-aalto/
住所:Tiilimäki 20, 00330 Helsinki, Finland

榎本綾

榎本綾

新しいものよりヴィンテージに惹かれます。

建築家は坂茂が好き。

casa liniere

女性ファッション雑誌No.1 『リンネル』が魅せる家づくり。

北欧スタイルの家「casa liniere(カーサ リンネル)」。