壁面緑化のファサードと立体的で開放的な室内が印象的な「家族の家」

建築家が「家族の家」と名付けた今回の家は、家に込められたひとつひとつの仕掛けに様々な想いを積み重ねた「家族の居場所」「幸せのかたち」。家族のそれぞれの意見を建築家自身が寄り添って一つずつクリアしてつくりあげた自由設計だからこそ、より一層愛おしい個性と魅力溢れる一邸が完成した。

鮮やかな壁面緑化とコンテンポラリーな形が印象的な外観

斜めのスリットを効かせた白く凛とした外観には、ダイナミックな壁面緑化が街に映える。

緑視率が高い家は、人に安らぎと心地よさを与える。心理的な効果だけでなく、空気の浄化、照り返しの緩和、壁面の劣化防止など空間・建物へのメンテナンス効果も高い。

地球温暖化対策など環境への配慮が世界問題になっている昨今、壁面緑化は更に注目を浴びるデザインの手法だ。

漆喰壁、木質、黒いアイアンバーの3つのコントラストが美しい内観

屋内へ入ると迎えるのは、マットな白の漆喰に柔らかな間接照明、ブラックウォールナットの重厚感。

爽やかでエコな外観とは異なる落ち着いた内観は、温かな陽の光が上手く取り入れられ、家族を優しく包み込む。

建築家の計算高い技術が光る、簀子階段

1階玄関から2階へ登る天井は吹き抜けにし、階段は簀子階段にすることで二階リビングとの繋がりを持たせた。隔てすぎない空間づくりは、家全体から家族の存在を感じることが出来る。

階段からの隙間からは光彩を1階へ降り注ぎ、上手く光を分散させる設計には、思わず息を飲むほど美しい。

家族の生活が1フロアに集まる2階エリア

2階へ上がると、キッチンを中心に間取りが広がる2LDK。横に長く大きな窓からは十分な採光を得ることができ、開放的な空間が魅力的だ。生活感を見せない扉付きの棚や統一されたコントラストの家具がシンプルモダンなデザインを纏め上げている。

家族こだわりのアウトリビング

キッチンと個室、水廻りを室内に設け、リビングは野外に設けた今回の住宅。キッチンから窓を抜けた先に広々と作られたアウトリビングは、モダンなカラーリングで仕上げあれ贅沢な時間を過ごすことが出来る。

開け閉めが可能なルーフを取り払えば、夜には星空を眺めながらのエレガントなひと時だってお手の物だ。

本気でぶつかり合う家族だからこそ、一つずつクリアしてつくりあげる「こだわり」

簀子の階段にアウトリビング、壁面緑化など、万人受けするものではないけれど、自分たちの意見を全て取り入れることが出来る家は、より一層の愛おしさがある。これぞ「自由設計の醍醐味」であり「幸せのかたち」であることを、改めて感じさせてくれた1邸だった。

 

規模:地上2階/敷地面積:115.66㎡/建築面積:83.61㎡/延床面積:86.13㎡