金沢・香林坊のカフェ【La RINA】で工芸・美術作品を月替わりで展示販売!

コーヒーを一杯注文して、ゆっくりと壁を眺める——そのような時間の中で、工芸作家の手仕事と静かに向き合える場所が金沢に生まれています。石川県金沢市香林坊の商業施設「クラソ・プレイス香林坊」G階に位置するカフェ&レストラン「La RINA(ラ・リナ)」のカフェフロアでは、壁面展示スペース「La RINA Cafe Wall Art」として、縁煌(enishira)プロデュースによる工芸・美術作品の展示販売を月替わりで開催しています。

美術館でも、専門のギャラリーでもなく、日常のカフェという場所に工芸が宿ること。その選択の中に、工芸と暮らしを近づけたいという思想が静かに息づいています。

「La RINA Cafe Wall Art」——カフェと工芸が出会う場所

「La RINA Cafe Wall Art」の展示をプロデュースするのは、金沢市のひがし茶屋街を拠点とするギャラリー&ショップ「縁煌(enishira)」です。「縁煌」という名には、人や物・機会・場所との縁を煌(きら)めかせたいという思いが込められています。

北陸三県にゆかりのある工芸作家が手がけた作品を中心に、伝統的な技法と現代の感性が交差する表現を届け続けてきたこの縁煌が、La RINAというカフェ空間を舞台に、月ごとに異なる作家の個展を開いています。

展示された作品は、鑑賞するだけでなく購入も可能です。美術館の作品のように距離を置いて眺めるのではなく、コーヒーを飲みながら手の届く距離でじっくりと向き合い、気に入ればその場で自分のものとして連れて帰ることができる——そのような工芸との出会い方が、この場所では自然に成立しています。

8/22~9/21の個展:佐藤碧 展「Somewhere in the ordinary」

『佐藤 碧 展 -Somewhere in the ordinary-』
『佐藤 碧 展 -Somewhere in the ordinary-』

2026年8月22日(土)から9月21日(月・祝)まで開催されているのは、金沢市を拠点に活動する染色作家・佐藤 碧による個展「Somewhere in the ordinary(日常のどこかに)」です。

『佐藤 碧 展 -Somewhere in the ordinary-』展示作品
『佐藤 碧 展 -Somewhere in the ordinary-』展示作品

佐藤氏は金沢卯辰山工芸工房の専門員として研鑽を積みながら、精力的に作家活動を続けています。第46回伝統加賀友禅工芸展で銅賞を受賞し、2026年の金沢市工芸展では世界工芸都市宣言記念賞を獲得するなど、着実に評価を重ねてきた染色作家です。

『佐藤 碧 展 -Somewhere in the ordinary-』展示作品
『佐藤 碧 展 -Somewhere in the ordinary-』展示作品

本展のテーマは、日々の生活の中で何気なく目にしたものや、そのときに生じた感情の機微を、染色という行為を通して布に留めることです。記憶は時間とともに朧げになっていく——その変容に抗わず、思い出せるかたちを矩形や抽象的なイメージへと変換し、不確かで曖昧な輪郭を縁取るように布へ残す試みが展示作品の根底にあります。

『佐藤 碧 展 -Somewhere in the ordinary-』展示作品
『佐藤 碧 展 -Somewhere in the ordinary-』展示作品

日常の記憶が、布の上で静かに定着している。その作品と向き合うとき、鑑賞者は自分自身の日常の断片をもそこに見出すかもしれません。工芸という表現が、個人の内的な体験へと繊細に届く仕事です。

9/23~10/20の個展:木下幸 展

木下幸 展
『木下幸 展』

続く2026年9月23日(水)から10月20日(火)までは、同じく金沢市を拠点とする漆芸作家・木下幸による個展が開かれます。

木下幸は富山大学芸術文化学研究科修了後、金沢卯辰山工芸工房で研鑽を積み、現在は金沢市で制作活動を展開しています。国際漆展・石川2020で審査員特別賞を受賞するなど、漆芸の現代的な表現者として広く評価を得ている作家です。

本展のテーマは「身近な自然への眼差し」。山や海、空、雲、風、波、雨、光といった自然の風景や現象を観察し、その記憶を螺鈿や蒔絵、卵殻などの技法を用いて連続文様のように凝縮した作品を展示します。繰り返すモチーフが呼応し合いリズムを生み出す様子、視線が画面の中を巡る旅のような感覚——それが木下氏の作品が追求する体験の核心です。

さらに、漆芸素材それぞれが持つ色と質感が重なり合い、見る角度や光の加減によって有機的に表情を変えていく漆の性質が、作品に奥行きと時間の豊かさをもたらします。木製の平面作品を中心に、乾漆技法を用いた半立体の作品など多数の新作が発表される予定です。

木下氏はこのような言葉を添えています。「展示をあとにした帰り道、日々の風景がより美しく見えてくることを願っています。」工芸作品が鑑賞者の見る目を変える——その信念が、一点一点の作品に静かに宿っています。

カフェ空間そのものの豊かさ

「La RINA Cafe Wall Art」の舞台となるカフェフロアもまた、工芸と食と暮らしが交差する丁寧な設えに満ちています。野々市市の名店「NiOR」が手がけるこだわりのバゲットサンドイッチ、金沢の自家焙煎珈琲店「SUNNY BELL COFFEE」など3社の豆を使ったコーヒー、石川県産の加賀和紅茶——食のラインナップも、金沢という土地の文脈の中で丁寧に選ばれています。

器には山中漆器の老舗「我戸幹男商店」の漆器が採用されており、飲み物を口に運ぶたびに手の中に工芸の質感が宿ります。壁には月替わりの工芸作品が並び、手元の漆器と視線の先の作品が、同じ「工芸のある日常」というテーマでひとつの空間をつくり上げています。展示される作品と、器と、食と、コーヒーの香り——すべてが重なって初めて完成する体験がここにあります。

工芸が日常に溶け込んだ都市から始まる世界

金沢という、工芸が日常に溶け込んだ都市だからこそ生まれた展示のかたちが、La RINAにはあります。コーヒーを手に、月ごとに入れ替わる作家の世界に浸る——そのような豊かな時間を、香林坊の街歩きの途中にぜひ訪れてみてください。

La RINA Cafe Wall Art

営業時間:8:00〜20:00(レストランディナー営業時間帯18:00〜22:30も鑑賞可能)
定休日: 不定休
URL: https://la-rina.jp/
所在地: 石川県金沢市香林坊2-1-1 クラソ・プレイス香林坊 G階 せせらぎ通り側