建築やランドスケープ、インテリアを横断しデザインするノルウェーの設計事務所「スノヘッタ(Snøhetta)」の建築5選!
国際的な感覚とノルウェーの大自然にインスパイアされた、独創的なデザインで世界を魅了する建築事務所「スノヘッタ(Snøhetta)」。建築とランドスケープを一体化させ、人々と自然が共生する空間を創り出します。今回は、そんなスノヘッタが手がけた、息をのむような美しさを誇る建築を厳選して紹介します。
ノルウェーの設計事務所「スノヘッタ(Snøhetta)」
スノヘッタは、ノルウェーのオスロとアメリカのニューヨークを拠点とする国際的な設計事務所です。建築とランドスケープを一体的に設計するというユニークなアプローチで知られており、世界中で多くの注目を集めています。スノヘッタは、建築とランドスケープを一体化させるというアイデアのもと、1987年に設立されました。創設メンバーには、ノルウェーの建築家シェティル・トレーダル・トールセンと、アメリカ出身の建築家クレイグ・ダイカースがおり、彼らが中心となって事務所を牽引しています。
彼らのスタイルの特徴は、建築とランドスケープを一つの設計過程に組み込むことで、より自然な環境との調和を目指していること、ノルウェーとアメリカという異なる文化背景を持つメンバーが集まり、国際的なプロジェクトを数多く手がけていること、建築を通して社会に貢献し、地域や環境に配慮した設計を行うことが挙げられます。
1.オスロ・オペラハウス
2008年に完成したノルウェー・オスロにある「オスロ・オペラハウス」は、氷山を模したような滑らかな白い外観が特徴で、ウォーターフロントに浮かんでいるように見えます。屋根が歩行者用の広場となっており、市民が自由に利用できます。大きく開口部を作り、明るい自然光が室内に差し込み、明るく開放的な空間を作り出しています。また、木材をふんだんに使用し、北欧らしい温かみのある空間となっています。
オスロ・オペラハウスでは、建築と周囲の環境をシームレスに繋げ、市民が気軽にアートに触れられる空間を実現しました。オスロ・オペラハウスは、そのデザイン性だけでなく、音響設備も非常に優れています。
参考:スノヘッタが手がける氷山の上を歩き回れるようなノルウェー最大の文化施設「オスロ・オペラハウス」とは!?
Operahuset Oslo – オスロ・オペラハウス
住所:Kirsten Flagstads Plass 1, 0150 Oslo, Norway
2.新アレクサンドリア図書館
エジプトの地中海沿いの街アレクサンドリアにある「新アレクサンドリア図書館」は、古代に存在した世界最大の図書館を復元するべく、エジプトのアレクサンドリアに建設された巨大な図書館兼文化センターです。直径160mの巨大な円盤状の建築は、古代アレクサンドリア図書館の象徴である太陽をイメージしています。建築とランドスケープを一体化させた革新的なデザインで蘇った「新アレクサンドリア図書館」は、図書館のほか、博物館、プラネタリウムなど、様々な文化施設が併設された多機能施設になっています。また、自然光を最大限に活用し、環境やサステナビリティに配慮した設計がされています。
参考:最古の図書館を引き継ぎ、スノヘッタが実現したサスティナビリティに配慮した建築「新アレクサンドリア図書館」
新アレクサンドリア図書館
開館日 : 土-木曜日:11:00~19:00、金曜日:15:00~19:00
所在地 : Alexandrian Cornihe, Chatby
3.リレハンメル美術館
ノルウェーのリレハンメルに位置する「リレハンメル美術館」は、スノヘッタによる増築により、その魅力をさらに深めています。美術館の外観は、ステンレス製の波打つようなパネルで覆われており、周囲の自然光を反射して美しく変化する様子が特徴です。このデザインは、ノルウェーの豊かな自然環境との調和を図るとともに、美術館内部への誘導性を高めています。美術館内部は、自然光がたっぷりと降り注ぐ開放的な空間が広がっています。展示室は、可動式の壁によって様々なレイアウトに対応可能で、常に新しい展示を楽しむことができます。また、美術館内にはカフェやショップも併設されており、アート鑑賞の合間にリラックスできる空間も用意されています。
リレハンメル美術館 – Lillehammer Art Museum
開館時間:10:00~17:00
URL : https://lillehammerkunstmuseum.no/
住所:Stortorget 2, 2609 Lillehammer, Norway
4.ジェームズ・B・ハント・ジュニア図書館
ノースカロライナ州立大学のセンテニアル・キャンパス計画の一環として建てられた「ジェームズ・B・ハント・ジュニア図書館」は、地域住民と学生のための知的・社会的なハブとなっています。この図書館は、周囲の自然環境との調和を重視し、建築とランドスケープが一体となったデザインが特徴です。図書館の屋根は、緑豊かな丘のように起伏があり、訪れる人を自然の中に誘い込みます。また、大きな窓からはたっぷりの自然光が差し込み、開放的で心地よい空間を作り出しています。
図書館内には、様々な種類の学習スペースが用意されています。静かに読書に集中できる個人学習室から、グループでのディスカッションに適したオープンスペースまで、多様なニーズに対応できるよう設計されています。また、最先端のテクノロジーを導入し、デジタルコンテンツへのアクセスも容易になっています。
ジェームズ・B・ハント・ジュニア図書館 – James B. Hunt Jr. Library
URL : https://www.lib.ncsu.edu/hunt
住所:1070 Partners Way, Raleigh, NC 27606 North Carolina State University, USA
5.サンフランシスコ近代美術館・増築棟
「サンフランシスコ近代美術館(SFMoMA)」は、マリオ・ボッタによる大聖堂のような重厚な建築に、スノヘッタが現代的な拡張を加えたことで、より活気のある複合文化施設へと生まれ変わりました。SFMoMAは、スノヘッタによる拡張工事によって、単なる美術館にとどまらず、都市に開かれた文化的なハブとしての役割を果たすようになりました。
マリオ・ボッタが設計した既存の建物の特徴を活かしつつ、現代的な要素を取り入れ、シームレスに一体化させ、既存建築との調和しています。トップライトや大きな開口部を設け、自然光を取り込み、明るく開放的な展示空間を実現。巨大化する現代アートの展示に対応し、柔軟な空間設計が施されています。
参考:スノヘッタが拡張工事を手掛けたマリオ・ボッタ設計の「サンフランシスコ近代美術館」
SFMoMA / San Francisco Museum of Modern Art – サンフランシスコ近代美術館
開館時間:10:00~17:00(木~21:00)
休館日:水曜日
電話:+1 415-357-4000
URL : https://www.sfmoma.org
住所 : 151 3rd St, San Francisco, CA 94103 USA
建築とランドスケープを一体化させたような建築が特徴の「スノヘッタ(Snøhetta)」
ノルウェーの設計事務所「スノヘッタ(Snøhetta)」の建築は、その独創的なデザインと自然との共生というコンセプトが際立っています。今回紹介した建築は、「スノヘッタ(Snøhetta)」の多岐にわたるデザインの幅広さを示すものでしょう。これらの建築を通して、私たちは建築が単なる構造物ではなく、人々の生活や文化を豊かにするものであることを改めて認識することができます。