住宅性能もコストに関係する!?断熱性から考えるマイホーム資金計画とは?

マイホームを建てる上で欠かせないのが資金計画だ。建築コストは使用する壁材や屋根材、キッチンや浴室のグレードなどで調整する人が多いのではないだろうか?実は「断熱材選び」もコストを考える上で重要な要素の一つである。断熱材の種類や特徴、実際の光熱費など、いくつかの視点で考えると「断熱材選び」がしやすくなる。

断熱材の種類と特徴

住宅に使われる断熱材は主に3種類ある。それぞれにメリット・デメリットがあり特徴も異なる。

施工費の最も安価な断熱材は「無機繊維系断熱材」である。代表的な商品としてはグラスウールが挙げられる。繊維状に加工したガラスから作られているため燃えにくく吸音効果も兼ね備えている。低コストが魅力だが、仕上がりにバラツキが出やすく湿気に弱いという難点もある。

硬質ウレタンフォームなどの「発泡プラスチック系断熱材(現場発泡)」は、施工現場にて樹脂を発砲させて充填するため隙間が出来にくく、湿気にも強い。デメリットとしては多少高価であることだ。

「発砲プラスチック系断熱材(成形品)」は最も高価な断熱材で、押出法ポリスチレンフォームが代表的なものだ。断熱性能に優れ湿気にも強さを発揮する反面、熱には比較的弱い。

断熱材の比較

3種類の断熱材を断熱性能の高い順に並べると「発泡プラスチック系断熱材(成形品)」、「無機繊維系断熱材」、「発泡プラスチック系断熱材(現場発砲)」となる。やはり、最も高価な発泡プラスチック系断熱材(成形品)の断熱性能は抜群だ。

また、最も低コストなものは「無機繊維系断熱材」で、「発泡プラスチック系断熱材(現場発泡)」、「発泡プラスチック系断熱材(成形品)」の順に高くなる。

そして、気密性は「発泡プラスチック系断熱材(現場発泡)」が最も高く、次いで「発泡プラスチック系断熱材(成形品)」、「無機繊維系断熱材」と続く。気密性は断熱性能を発揮させる上で重要な性質である。断熱性能を優先したい場合には硬質ウレタンフォームやポリスチレンフォームなどが適している。

光熱費の比較

実際に住んでからの光熱費も気になる点ではないだろうか?マイホームの資金計画は建築費とランニングコストの両面で考えることが成功の鍵だ。

ある調査では、最も安価な「無機繊維系断熱材」のグラスウールは、施工費約30~40万円・年間光熱費21万1千円ほどであった。それに対して、最も高価な「発泡プラスチック系断熱材(成形品)」のポリスチレンフォームでは、施工費約75~90万円・年間光熱費約21万4千円だ。意外なことに、グラスウールの方が光熱費がかからなかったのである。しかも「発砲プラスチック系断熱材(現場発泡)」のウレタンフォームに至っては、施工費約40~50万円・年間光熱費約21万5千円と、最も光熱費が高くなっている。

これは断熱材の厚みや熱伝導率の関係によるものと考えられる。断熱性能だけでなく、実際にかかる光熱費も断熱材選びの参考となり得るのだ。

断熱材選びのポイントはコストと光熱費!

以上のことから主な3種類の断熱材は、それぞれに強みと弱点があることが分かる。断熱性能が高いことと光熱費が安くなることがイコールでは無いという点については、予想外と感じた方も多いのではないだろうか?ついコストや断熱性能に目が向きがちになるが、光熱費も視野に入れた「断熱材選び」がマイホーム資金計画のポイントの一つと言える。