建築家・藤森照信が手がけた草屋根が話題に! 自然に溶け込むスイーツショップ 「ラ・コリーナ近江八幡」

豊臣秀次によって城下町として栄え、現在も琵琶湖のせせらぎと緑豊かな自然が共生する近江八幡。2015年、滋賀県近江八幡市創業の和菓子店「たねや」と洋菓子店「CLUB HARIE」を展開する老舗菓子屋「たねやグループ」の本拠地として、「ラ・コリーナ近江八幡」は建てられました。ラコリーナ近江八幡はメインショップ「草屋根」、たねやグループの本社屋「銅屋根」、カステラショップ「栗百本」、敷地内を巡る「草回廊」と複数の建築から構成されています。

設計を手掛けたのは建築家・藤森照信

設計は、木の上の茶室など個性的な建築で知られる、建築家・建築史家の藤森照信。そのほか、約37,000坪もの広さを誇る敷地には、ランドスケープアーキテクトの重野国彦や京都大学大学院・准教授の小林広英などが関わっています。

建築に付した「草屋根」の名の通り、後ろにそびえる八幡山と共に周囲の自然豊かな環境に溶け込んだユニークなデザインが特徴的な、自然とお菓子を楽しめる空間です。

周囲の自然に溶け込む建築・プラン

建築は国の重要伝統的建造物群保存地区・八幡堀エリアから徒歩5~10分ほどの、滋賀厚生年金休暇センターの跡地に建てられました。

ラ・コリーナ近江八幡のメインの店舗と、本社、カステラショップなどは水田を取り囲むように配置。

それぞれの建物を繋ぎながら、草屋根を抱いた回廊が巡っています。

敷地周辺は、八幡山の雄大な景色が広がり、計画にあたってはこの自然豊かな景観を壊さないという大前提がありました。そのため、建築には山のような緑化が取り入れられました。草屋根には山からの水を散水しており、人通りの発生する箇所には銅の樋を設け、水量をうまくコントロールしています。

随所に手作業が感じられる建築

地上4階の高さの頂部に上ると展望室とバルコニーがあり、敷地全体を見渡すことができます。店舗内部には約10mの高さの吹き抜けホールが配された広々とした空間が広がっています。天井面は漆喰の上、たねや職員の手によって木炭がランダムに貼られており、見上げていると段々と引き込まれそうになる不思議な空間です。1階に店舗、2階に喫茶機能を配しており、テーブルや椅子、照明などの内装も、すべて藤森照信によるデザイン。徹底的に素材にこだわる藤森は、山に入って一本一本それらの材となる木を選定しています。

屋根に葺かれた銅板はすべて手で波形に折られたもの。社員や地域の学生も参加して、自由曲面に一枚一枚張られています。芝に覆われた大屋根には外部階段やテラス、排煙窓などが顔を出します。自然に呼応するような、手仕事が散りばめられたあたたかみのある建築です。

四季を通して楽しめる空間

建築手前には新しく作られた田んぼが設けられており、5月には田植えしたばかりの青々しい稲が、9月頃には黄金色に輝く稲穂が広がり、美しい近江原の風景を楽しめます。冬になるとあたり一面が真っ白な雪で覆われ、幻想的な空間に。春夏秋冬いつ訪れても魅力的なスポットです。

ラ・コリーナ近江八幡

営業時間 : 9:00~18:00
定休日 : 年中無休(1月1日を除く)
URL : https://taneya.jp/la_collina/
所在地 : 〒523-8533 滋賀県近江八幡市北之庄町615-1