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TINY HOUSE FESTIVAL 2019 – 小さな家たちによる環境に優しい暮らしづくり。

2020年、世界中から大いに注目される東京を舞台に「東京ビエンナーレ2020」が開催されます。それに先立ち、東京ビエンナーレプレイベントとして、それぞれテーマを持ったタイニーハウス、モバイルハウスの展示およびトークイベント「TINY HOUSE FESTIVAL 2019」が2019年11月に南池袋公園で開催されました。

とはいえタイニーハウスと聞いてもパッと想像できる人もまだ少ないのではないでしょうか?タイニーハウスには明確な定義はないものの、概ね延べ床面積20m2以内、本体価格1,000万円以下程度のものとされています。お金や時間に縛られない自由な暮らしとしてアメリカを中心にムーブメントとなり、店舗や離れとしての使用など、ユーザーのライフスタイルに合わせて様々な使い方ができる点から日本でも注目が集まっています。今回は大盛況のうちに閉幕した展示内容を3つのカテゴリにわけてお伝えします。

第3弾のこちらでは再生可能エネルギーの利用や資源の有効活用といった環境問題への工夫がつまったタイニーハウスを中心にお伝えします。

小屋のエネルギーはすべて自給自足。自分たちの力で生み出す独立した暮らし

斜のついた屋根が特徴的なこちらは「えねこや」。「えねこや」は自然の力で作ったエネルギーだけで心地よく過ごせる小さな建築(=小屋)のこと。屋根に設置された太陽光発電パネルと、蓄電池のみで屋内外のエネルギーを賄う、オフグリットのシステムになっています。

環境に優しい暮らし方から考える空間づくり

外観を眺めていると、スタッフさんがエネルギー問題についてパネルを用いて説明してくださり、Co2を排出しない持続可能な社会づくりを建築の面からアプローチしていることを教えてくださいました。お話によると日本は先進国の中でも再生可能なエネルギーの利用が少ないのだとか。ボタン一つで電気がつき、ガスも使える日常ではなかなか意識することはありませんが、このままでは資源を使う一方で、いつかは枯渇してしまいます。調布にある事務所では、こちらのえねこやと同じく太陽光発電パネルと蓄電池による電力によって、コピー機やパソコンの電源等すべてのエネルギーを賄っているそう。完成から約3年経った現在まで、特に問題なく過ごせていることは、これからの持続可能な暮らしの実現の参考になりそうですね。

細かなこだわりで実現するエネルギーの削減

外壁には奈良の杉材を用いることで、国外から持ち込む場合に比べ、資材の搬入に関わるエネルギーを削減。

断熱材にも木材が用いられ、ドアや窓枠にもアルミや鉄などの金物ではなく、熱伝導率が低い木を採用することで、より高い断熱性を持たせています。

中に入ると木の良い薫りがふわっと広がり、両側面に設けられた大きな窓が開放感を与えています。奥にはペレットストーブがあり、薪とは異なり完全燃焼のため煙が少ないため、場所を選ぶことなく使用できます。

限られたスペースで実現する居心地の良い空間

中には階段で上がるロフトが設けられており、団欒にはもちろん、寝ることもできます。

水場も用意されているので、コーヒーを入れたり、果物を洗ったりと、利便性も高い、心地よい空間となっています。

断熱機密性の向上、太陽光発電パネルと蓄電池によって、自然のエネルギーだけで心地よく過ごせる小さな建築「えねこや」。これからの社会づくりのヒントが詰まった空間でした。

小屋から始めるまちづくり

シンプルな外観の小ぶりなこちらは「ENEMACHI TINY HOUSE」。断熱性を高めることで室温調整に関わるエネルギー消費を減らした暮らしをデザインすることをモットーに活動されている株式会社エネルギーとまちづくり社によるもの。シンプルなつくりの低燃費なエコハウスを軸に、地域の再生可能エネルギーの活用、地域の森林資源の建物への循環供給のしくみづくりなど、人、もの、お金が地域内で循環するエコタウンの実現を目指しています。

普通免許で運べる手軽さ

こちらは2トントラックに収納できるサイズなので、牽引車を用いることなく普通免許だけでどこでも運ぶことができます。誰でも扱える手軽さは、それを広く普及するのに重要なポイントですよね。

シンプルながらも工夫が詰まった低燃費な暮らし方

断熱剤にはネオマフォームを使用。薄い厚さで高い断熱性を発揮するので、厚さが制限される外張り断熱工法に最適な材です。床、壁には50mm、天井には80mmを使用しているため、強い日差しや雨、雪といった天候による外気温の影響を抑えることができます。

窓やドアから出入りする熱は、屋根や外壁よりも大きな割合を占めているため、開口部にも工夫を施し、中空層にガスが封入されたトリプルガラスに加え、世界トップクラスの断熱性能を持つ樹脂サッシを用いることで高い断熱性を実現しています。冷暖房費の節約はもちろん、冬の窓辺の冷気も防ぐことができます。こうした断熱材や窓枠の工夫など建築の面で、低燃費で快適な暮らしを実現するエコハウスをデザイン。それらが増えることで、林業などの地域資源を活かし、循環する地域社会が実現されるかもしれません。

豊かな暮らしづくりの普及をタイニーハウスから

これからの暮らしをもっと豊かにするきっかけをつくりたい!そんな気持ちから女子建築学生が発起人となってはじめた、都内に高性能なタイニーハウスをセルフビルドするプロジェクトで建てられたのがこちら。

建築から心身ともに暮らしを豊かにするためにテーマとして実践するのは「住まいの断熱」。「断熱タイニーハウス」と出されたこのプロジェクトでは、断熱されたちいさな体感ハウスをキット化し、場所を移し、また組み立てて、多くの人に快適な空間を体感してもらうことで「これからの住まいを変える一歩」を目指しています。

快適な室温を保ち、これからの豊かな暮らしへ。

展示されていた小屋のサッシはDIY木サッシ+複層ガラスを採用。「断熱タイニーハウス」の天井、壁、床すべてに断熱材「ネオマフォーム」が60mmの厚さで充填され、室内は24~26℃に保たれる。夏は涼しく冬は暖かい。小さな空間から考えるこれからの暮らし。

多くの人にきっかけを与えるこのプロジェクトは、まだまだ続きます。

 

無駄な電気は消す、不要なビニール袋は断るなど、日常でも環境問題に配慮した行動は取れますが、住まいづくりから考えることができればより大きな効果に繋がるかもしれませんね。太陽光発電や蓄電池などの環境に優しいエネルギー、断熱にこだわった低燃費な建物づくりによる持続可能な暮らし方を、まずはタイニーハウスから挑戦してみるのも良いかもしれません。

千春

横浜出身渋谷区在住のミレニアル世代の一人っ子。母方は佐渡島の系譜。趣味は料理とはしご酒。

casa

建売でも注文住宅でもないもうひとつの可能性 casa シリーズ。

機能、デザイン、コスト削減などを徹底して追求した、

完成度の高い住宅。