建築家・遠藤克彦による3家族のための大型ウィークエンドハウス「軽井沢北聖沢の家」

2022年2月に開業した〈大阪中之島美術館〉や公共建築賞にて優秀賞を受賞した〈豊田市自然観察の森ネイチャーセンター〉などの公共施設から住宅といった様々な空間設計を手掛ける建築家・遠藤克彦。遠藤による、長野県軽井沢の山腹に建てられた「軽井沢北聖沢の家」は、機能別に建てられた棟とコモンスペースによって構成された3家族のための大型ウィークエンドハウスです。

3家族が楽しく集える大型ウィークエンドハウス

via : http://www.e-a-a.jp/ photo : HIROSHI UEDA

敷地は賑わいに溢れる旧軽井沢商店街を抜け、旧軽井沢のメインストリートを過ぎた山腹の斜面地にあります。敷地には大きな高低差があり、建築計画に使用できる範囲はかなり限られていました。また、谷筋には小川が流れ、夏期には冷涼な風が建物に向かって吹き上げてくる環境でした。

東京近郊に住み、多忙な会社経営の日々を過ごすオーナーのオーダーは、大家族の週末住宅として、主人夫婦、息子家族、そして娘家族の3家族が、ときには一緒に来て家族団欒の時間を過ごし、ときには各家族が来たい時に来て自由に過ごせるプライベート性を持った別荘とのことでした。

ヴィラのように立ち並ぶ機能棟とコモンスペース

via : http://www.e-a-a.jp/ photo : HIROSHI UEDA

このオーダーから導かれたのは「各住戸棟や機能棟」と、それらを繋ぐ「コモンスペース」から構成された大型住宅でした。玄関棟、リビング棟、主寝室棟、サニタリー棟、家族A棟、家族B棟、そして駐車場棟といった各棟を独立させ、それぞれをコモンスペースで繋げることで、各家族が占有スペースと共有スペースを状況に応じて使用できます。複数の棟で構成された様子は、まるでヴィラのような贅沢なつくりです。

程よい距離感が生み出す機能性と心地よさ

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緩やかに各棟を繋ぐコモンスペースは、それぞれの棟に対して60度の角度で設けられており、各棟を繋ぐ為の通路としてはもちろん、家族同士のプライバシーを緩やかに確保するための「緩衝空間」としても機能しています。機能性はもちろんコモンスペースの存在によってより快適なプライベート時間を過ごせそうです。

緩やかな繋がりが生み出す距離感が魅力の山荘

玄関棟やリビング棟、サニタリー棟などさまざまな機能を有する棟を有機的に繋いだ「軽井沢北聖沢の家」。3家族がときに集い、ときにそれぞれが個別で過ごせる大型の週末住宅として、多様な楽しみ方が可能な住まいです。意図された距離感によって生まれる心地よさが、この住宅の最大の魅力と言えそうです。