「違和感がないものが自分にとっての良いもの」中原慎一郎の大切なデザインと原風景
1940年~60年代の古き良きデザインをルーツに、ショップや住宅等の空間デザインや、インテリアショップ「Playmountain(プレイマウンテン)」の運営を行うインテリアブランド「ランドスケーププロダクツ」。1997年の設立以来、オリジナル家具や小物の制作をはじめ、エキシビションやイベントのプロデュース、書籍の編集やブランディングなど活動範囲を広げています。今回は多方面で活躍するランドスケーププロダクツ・ファウンダーの中原慎一郎さんに、大切にされているデザインや好きな空間について伺いました。
ランドスケーププロダクツ・ファウンダーの中原慎一郎
1971年生まれ。鹿児島県出身。鹿児島大学教育学部美術科卒業。1994年鹿児島大学卒業後上京、1997年友人らとともにランドスケーププロダクツ結成後、2000年有限会社ランドスケーププロダクツ設立。デザイン業務に加え、インテリアショップ「プレイマウンテン」、カフェ「Tas Yard」などの店舗運営も行なっています。
流行に関係なく、自分のタイミングが重要
まずはじめに「日常生活の中で大切にしているデザイン」について伺いました。
「自分にとにかく違和感のないもの、馴染みがあるものですね。あとは人からの紹介とか流行ではなく、旅先だったり自分のタイミングで出会えたものに惹かれます。」
なるほど、モノ自体はもちろん、出会い方にも中原さんらしい視点がありますね。
見たことのない風景に惹かれる
インテリアショップを展開されている中原さんですが、どのような空間がお好きなのでしょうか。
「行ったことがないところに魅力を感じます。店舗がある関係でカリフォルニアによく行くので、そこに自分の好きなところが多いですね。
例えば「ジョシュアツリー」と呼ばれる砂漠のようなところがあるんですが、そのような自分が生まれた環境とは異なる地に身を置いてると、何かワクワクする感覚があるので気に入っています。」
これからの暮らしと作り手の変化
新型コロナウィルスによって生活が変わりつつある現代。中原さんの活動にも影響はあるのでしょうか。
「僕は色々なアーティストや作り手と関わることが多いのですが、新型コロナウィルスの影響もあって暮らす場所を変えている人が多いんです。彼らがそうして環境を変えることで素材や人との出会いがあったり、デザインや方法論が変わったりすると思うので、それを逆にプラスに思って楽しみにしています。」
旅がお好きだという中原さんですが、近年は実現できずにストレスを感じられることも多いのではないでしょうか。
「初めはそう思っていたんですけど、今までできなかったことができる機会にもなったので、これはこういうタイミングなんだろうなと思って受け入れています。」
こればかりは仕方がないもの。足元や日常を見つめ直すきっかけになりましたよね。
良いものに触れたことで、自分でも家具を作りたくなった
1997年にオリジナル家具を製作するデザインチーム・ランドスケーププロダクツを立ち上げたとのことですが、どういった経緯で始められたのでしょうか。
「前職ではヴィンテージ、特にミッドセンチュリー家具の輸入を行なっていたので、そういうものに触れているうちにオリジナルのものを自分で作りたいと感じたんです。大学に優秀な後輩がいたので一緒にランドスケーププロダクツを立ち上げました。」
大学のときにもすでにインテリアのアルバイトをされていたというインタビューを拝見しましたが、どういったきっかけで始められたのでしょうか。
「鹿児島に今でもある「グレイス」というイギリスのアンティーク家具屋でアルバイトしていたのがきっかけです。物作りや空間のことに興味があって、たまたまタイミングよくスタッフの募集があったんです。いきなりイギリスなどに連れて行ってもらったりとカルチャーショックを受けることも多く、自分の人生を変えた場所になりました。当時のイギリスは家具に限らず、音楽やファッションなど他のカルチャーも面白い時期だったので、色々と影響を受けました。」
なるほど、そこでの家具との出会いが、中原さんの人生を変えるきっかけとなったようですね。中原さんの原風景がみえるようなお話でした。