菊竹清訓が手掛けたダブルスキンガラスが美しい国立博物館「九州国立博物館」

福岡県太宰府市にある九州国立博物館は東京・京都・奈良に続く4番目で日本最大の国立博物館です。特徴的な点としては他の国立博物館が美術系なのに対して九州国立博物館は歴史系博物館として設立されたことです。また建築の設計が建築家である菊竹清訓であることも魅力の一つです。

“今世紀を創った世界建築家100人”に選ばれた菊竹清訓の設計

太宰府天満宮裏で、丘陵地に建設された通称「九博」(きゅうはく)「九国」(きゅうこく)。

施設の外観は建築が周囲の山並みに溶け込むような緩やかな曲線を描いた大屋根が最大の特徴で、壁面はダブルスキンガラスを使用して自然を建築内に取り込むように設計されています。

これを設計したのが建築家である菊竹清訓です。清訓は2000年に、ユーゴスラヴィア・ビエンナーレにて「今世紀を創った世界建築家100人」に選出されるほどの建築家で、戦後の高度経済成長期に多くの公共建築を手掛けた巨匠です。日本建築の礎を築いたとされる清訓の建築作品は、近年その文化的価値を見直され保全運動進んでいるのです。

美しさを兼ね備えた環境配慮と免震構造

Via: Wikipedia.

2辺の壁は全面ガラス張りで、綺麗に空が映り込みます。柱などは全て青がテーマカラーとなっています。

構造的な特徴としては,ドームの中に箱型の層状建築物が構築される「ビルディング・イン・ドーム」が採用されており、内部の層状建築物は,中間免震構造にもなっています。

土中に敷設したアースチューブを通して、夏は涼しく、冬は暖かい空気を導入して,冷暖房の負荷を低減。さらに太陽光発電設備、放射冷却利用設備、雨水の再利用など、建築全体が自然を活用した省エネ・省資源対策を意識し、環境に最大限配慮した設計となっています。

異素材を組み合わせた和モダン空間

Via: Wikipedia.

九州国立博物館は、国内初の歴史系国立博物館として2005年に開館しました。学問・文化の神様が祀られることで有名な太宰府天満宮の裏に位置していることもあり、2017年には年間来場者数1500万人を超えるほどの人気観光エリアです。

内部は広い窓と高い天井により開放感のある空間になっています。

壁は巨大な障子戸のようであり、天井も曲げ竹でできています。エレベーターやエスカレーターはガラス張りになっているため、全体的に和モダンな雰囲気です。

九州各地から集められた木材をふんだんに使用

九州国立博物館には多くの木材が使用されており、九州各地から集められた木材が活かされています。収蔵庫に大量に用いられている吸湿性が高い杉は熊本や大分、福岡などから集められました。エントランスホールの天井には福岡と宮崎の間伐材が使用されています。

外観の青色に関しては賛否が分かれているところではありますが、日本初の歴史系国立博物館でありながら最新の国立美術館として、近代的なデザインに自然を取り入れながら、安心感と環境への配慮が施された建築となっています。
開放的で温かみのある空間に設計された博物館は地元に愛される憩いの場になっているのです。

九州国立博物館

開館時間:9時30分〜17時00分(入館は16時30分まで)
休館日:月曜日(月曜日が祝日・振替休日の場合は翌日)
住所:〒818-0118 福岡県太宰府市石坂4丁目7−2
電話番号:092-918-2807
URL:https://www.kyuhaku.jp