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伝統と革新とマインドフルネス。中国に見る茶室文化のアップデート
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電柱の上に見張り塔のような部屋があるインダストリアルな建築物。これ実は中国にある茶室なんです。日本における茶室のアップデートといえば、世界的デザイナー&アーティストの吉岡徳仁がデザインした「ガラスの茶室 – 光庵」が有名ですね。「光庵」は東京の国立新美術館にて、2019年4月17日~2021年5月10日まで特別公開されているので、要チェック。さて、お隣のお茶の本家、中国でも新しい世代向けに茶室文化がアップデートされています。日本とは異なる中国のアプローチを見ていくことにします。
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高床式の茶室は、浙江省金華市の金華建築芸術公園にある17の展示作品の一つ。作品のキュレーターは、中国を代表する現代美術家・建築家であるアイ・ウェイウェイです。金華建築芸術公園はダムの下流の低地にあり、ツリーハウスのような高い茶室では、お茶を飲みながら広い川のランドスケープやそよ風を楽しむことができます。
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この茶室の特徴は、ありきたりの公共インフラの建設材料を使ってデザインされていること。構造を支える支柱には電柱を使用して、0.88平方メートルのフットプリントの上に載っています。手すりには給水管が使われ、茶室のための水を供給します。ドアは重力で自動的に閉まる仕組みで、トイレは引き戸の後ろに隠れています。
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茶室の精神性は、インダストリアルな環境のなかで成り立つのか。孤立して空間に浮かび、風を感じることで、訪れる人のマインドを変える試みかもしれません。
こちらの上海の小さな庭にある茶室は、近隣のオフィスにつながる2つの階段の間の殺風景な空間をリノベーションしたもの。茶室の床面積は19平方メートルで、2つの庭からなる敷地40平方メートルのスペースに建設されています。
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中庭の後ろのコンクリートの壁に沿って建てられた茶室は、直径90cmの高い桐の木の立つエリアをL字型にカットして、小さな裏庭を追加しました。
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茶室と庭を自然につなげるために、高さの異なる3つの水平カンチレバーが、段差を生むように設けられました。一番下の高さ45cmのカンチレバーは、建物を囲むベンチとして機能します。高さ1.8mのカンチレバーは、内部空間を中庭に拡張する小さな庇の役目を果たします。最後のカンチレバーは、厚さ8mmのスチールボード屋根の張り出しです。
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フレームの60mmの黒い正方形スチールがインテリアの引き締まったアクセントになり、透明ガラスと波ガラスを効果的に使い分けてデザインされています。デッドスペースを庭として再利用するためにつくられた茶室は、日本の都心でも利用できそうなアイデアです。
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チーズティーが中国で大人気となった、「HEYTEA」の河南省鄭州市の大規模カフェのインテリアデザインはユニークです。ミレニアル世代を中心に人気を集めるHEYTEAのこの店舗は、250平方メートルという広大なスペース。
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店舗デザインを手掛けたのは、深センを拠点とするMOC DESIGN。インテリアには、床から天井まで届く窓や、白い漆塗りのアルミニウムシート、鏡面仕上げのステンレススチールのテーブル、丸太のチェアが置かれ、モダンでクリーンなデザインになっています。
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この空間では、中国の書道の伝統に対する誇りを取り戻そうとしました。黒い竹のアートインスタレーションは、書の運筆のメタファーであり、白い壁は書道で使われる画仙紙を表現しています。「お茶×書」というマッシュアップで、若い世代を伝統的な中国文化と結び付ける試みです。
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中国の茶室文化は、自然を愛でる気持ちやおもてなしの心という点では、日本の茶室と共通しているようです。一方で若い世代へお茶をアピールするために、革新を恐れないアップデートの大胆さも感じられます。伝統を尊重する日本人の繊細さと、どちらが良いのか優劣はつけられません。