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脱構築派建築家の代名詞、ダニエル・リベスキンド設計の「現代ユダヤ美術館」

カリフォルニア州サンフランシスコのダウンタウンの一角に一際目を引く建築がある。垂直に伸びる高層ビルがひしめくダウンタウンに、2つのサイコロを斜めにしたかのようなヴォリュームが角地に建ち、斜めのラインが強調されている。いかにも脱構築、デコンストラクションというこの建築は「現代ユダヤ美術館」。それもそのはず、脱構築派建築家の代名詞とも言えるダニエル・リベスキンドによる設計。構造設計はセシル・バルモンドによるものだ。

ダウンタウンに現れる衝撃的なファサード

現代ユダヤ美術館の2つの立方体が絶妙な角度を付けて連なる衝撃的なファサードは、水平垂直を基本とする周辺の建築物とは一線を画する。この建築があることで、街のこの一角の緊張感が全く違うのもになる。そういう力がある建築だ。

2つの立方体はもともと発電所だった建物から飛び出るように一体になっている。コンバージョンとは言ってもこれは非常にユニークで、異素材が出会う様もおもしろい。

複雑な構成がシームレスに空間をつなぐ

中に入るとおおよそ水平な壁がなく、非常に複雑な構成になっている。複雑であるが故に空間同士がシームレスつながり、移動を喚起している。

元は発電所だったれんが造りのファサードの中には斜めの大きな壁が挿入され、建築の中に建築が作られた印象になる。その間の空間が外部とも内部ともつかないおもしろい場所となっている。

立体的な空間体験

展示スペースを訪れるとさらに空間が立体的に繋がっていて、とても新鮮な空間体験をすることができる。

床以外はどこにも水平垂直が見当たらない。その分個々の空間が分断されず、柔らかくつながっているようでもある。

特徴的な立方体の箇所はランダムに開いた開口がより複雑な空間にしている。

展示スペースの奥に行けば行く程、コンバージョン前の水平垂直の発電所の空間になって行く。このグラデーションが訪れた人の行動を喚起させているのだろう。

 

「現代ユダヤ美術館」は確かに奇抜な建築であるし、ダニエル・リベスキンドらしい脱構築(デコンストラクション)的な建築ではあるが、その複雑な空間構成自体もおもしろいし、コンバージョンされた元は発電所だった部分との関係性も斬新だった。

WTC(ワールドトレードセンター)など国際コンペを次々と勝ち取っているダニエル・リベスキンドの建築はこれからも注目だ。

Contemporary Jewish Museum – 現代ユダヤ美術館

開館時間:11:00~17:00 (木曜~20:00)
休館日:水曜日
電話:+1 415-655-7800
URL : https://www.thecjm.org
住所:736 Mission St, San Francisco, CA 94103, USA

大前洋輔

大前洋輔

空間だけでなく色々なモノやコトのデザインをしています。

建築と美味しい食べもの、南の島々を探しによく旅に出ます。

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高低差のあるフロアを交互につなげたスキップフロアの家。

シンプルな外観の中に日常を楽しむ工夫がギュッと凝縮。

広々と心地よく暮らせます。