2019年のプリツカー賞は世界の建築界に多大な影響を与える建築家・磯崎新が受賞。日本人としては8人目。
「建築界のノーベル賞」とも言われるプリツカー賞の2019年受賞者が発表され、日本人建築家・磯崎新が受賞することが発表された。過去にはザハ・ハディドやレム・コールハース、フランク・O・ゲーリー、レンゾ・ピアノなど名だたる巨匠建築家が受賞し、日本人では丹下健三や槙文彦、安藤忠雄、妹島和世と西沢立衛(SANAA)、伊藤豊雄、坂茂らが受賞していて、日本人としては8人目の快挙となる。
世界の建築界を牽引した建築家・磯崎新
今回プリツカー賞を受賞した磯崎新は、世界の建築界を牽引してきた建築家と言っても過言ではない。建築家としての実務的な仕事が前衛的だったばかりではなく、常に社会と建築を批評的に捉え様々な言説とバイブル的な著書を残してきた「理論派」の建築家でもある。
1931年に大分県に生まれ、 東京大学工学部建築学科を卒業。丹下健三の元で建築家としてのキャリアをスタートさせ、1963年に磯崎新アトリエを設立。
丹下健三との協働で大阪万博のお祭り広場や大分県立大分図書館、北九州市立美術館など象徴的な建築作品を作り出し、1980年代には海外にもその活動を拡大し、アメリカ・ロサンゼルスのロサンゼルス現代美術館やスペイン・バルセロナのパラウ・サン・ジョルディ、同じくカタール・ドーハのカタール国立コンベンションセンターなど世界中に彼の作品が建っている。
今回自身が受賞したプリツカー賞の審査員を賞設立から10年近く審査員を務めていた。他にもコンペの審査委員長を務めて伊東豊雄設計のせんだいメディアテークを実現させたり、香港のザ・ピークのコンペでザハ・ハディドを発掘するなど、日本だけでなく世界の建築界に多大な影響を与える人物でもある。
磯崎新の代表作
他にも茨城県水戸市の水戸芸術館や中国の中央美術学院美術館、イタリア・ミラノのシティライフ・アリアンツ・タワーなど100以上の建築作品を手がけている。
日本人で8人目のプリツカー賞の受賞だが、これでも磯崎新の功績から考えると驚くほど遅いとも思える。しかし満を持しての受賞にはあらためて祝福したい。