イヴ・サンローランが愛したモロッコ・マラケシュの地にスタジオ・コーのデザインで誕生した美しい美術館

イヴ・サンローランとその遺産に捧げるミュージアムが、モロッコのマラケシュに誕生しました。スタジオ・コーが設計したイヴ・サンローラン美術館は、彼の人生と作品を称える特別なプロジェクトです。イヴ・サンローラン美術館がこの素晴らしいアーティストへの完璧な賛辞である所以とはどのようなものなのだろうか？

イヴ・サンローランのレガシーを祝う美術館

イヴ・サンローラン美術館は、アーティストでありデザイナーであるイヴ・サンローランの人生と作品を称えるために設計された、フランスのパリとモロッコのマラケシュの2ヵ所に建設された美術館です。イヴ・サンローランとそのパートナーの旧宅であるマラケシュのマジョレル庭園内にある6.7エーカーの敷地に建てられた美術館です。

メインエントランスへ向かうと円形のパティオのような空間に「YSL」のロゴ。テラコッタのタイルを網状にしてテキスタイルをメタファーにしたファサードが特徴的です。

建築も、モロッコの伝統建築の色彩や工芸、庭園からインスピレーションを得て、伝統とモダンが同居するユニークな空間となっています。

また、イヴ・サンローランとその生涯を紹介するパートと、彼の作品を紹介するパートに分かれている、考え抜かれたレイアウトも興味深いところです。第一部はイヴ・サンローランの私生活を紹介するもので、寝室や書斎などプライベートな空間が広がっています。

第二部は、ファッション、アート、写真、彫刻など、イヴ・サンローランの数々の作品に特化した美術館です。この部分は、イヴ・サンローランの最も象徴的な作品を紹介する展示スペースにもなっています。

イヴ・サンローラン・ミュージアムを実現するために

イヴ・サンローラン美術館は、ここで活動し、生活したアーティストやデザイナーに敬意を表し、細心の注意を払って設計・建設されました。設計は建築家カール・フルニエ（Karl Fournier）とオリヴィエ・マーティー（Olivier Marty）によるスタジオ・コー(Studio KO)が担当し、光、素材、空間を自在に操り、このプロジェクトに生命を吹き込みました。

マテリアルは主に石材、セラミックタイル、コンクリートで構成され、モロッコの職人技に敬意を表しながら伝統的な雰囲気を醸し出しています。

美術館の内部は、シンプルで機能的な家具や装飾品によって、イヴ・サンローランの特徴であるモダンでミニマルな雰囲気を醸し出しています。

また、リフレクションプールや緑豊かな庭園など、屋外スペースも充実しています。

ミュージアム・カフェのインテリアはモロッコの要素にアジア的なデザインを加え、インターナショナルに活躍してきたイヴ・サンローランのブランドの価値を表しているかのようです。

パリを拠点とする設計事務所「スタジオ・コー」の代表作

イヴ・サンローラン美術館は、世界各地で現代的・伝統的なプロジェクトを数多く手がけることで知られるスタジオ・コーの建築・デザインの代表作として輝いています。彼らは、パリのイヴ・サンローラン美術館やカンヌのイヴ・サンローラン・ブティックなど、故人に捧げるプロジェクトをいくつか設計しています。

マラケシュのイヴ・サンローラン美術館を設計するにあたり、スタジオ・コーはモロッコの伝統工芸と建築にモダンな要素を取り入れ、イヴ・サンローランと彼の作品の精神と美学を反映した空間を作り出そうと努めました。

美術館の内部空間を探索する

イヴ・サンローラン・ミュージアムの内部空間は、イヴ・サンローラン自身の創造性とスタイルを反映するようにつくられています。メインスペースには、大型の美術作品や世界各地から集められたキュレーション作品が展示されています。また、風景画の作品や、イヴ・サンローランの個人的なアンティークや家具のコレクションからの作品も展示されています。また、イヴ・サンローランのリビングルームやライブラリー、プライベートな空間など、イヴ・サンローランに特化した展示室も用意されています。これらの空間では、イヴ・サンローランの生涯をたどり、彼の作品への理解を深めることができます。

イヴ・サンローランが魅了された地、モロッコ・マラケシュに残る貴重な宝物

イヴ・サンローランは40年間、自身のスタイルを構築し続け、世に素敵な芸術を残してきました。美術館の使命は、イヴ・サンローラン自身の芸術を今後も維持し、ユニークな遺産の保存とクチュリエの作品の影響を確実にすることです。イヴ・サンローランが魅了された地、モロッコ・マラケシュに貴重な宝物たちが保存されているというのは、彼自身の魅力に触れる貴重な体験が出来るはずです。