建築家・中川宏文によるブランド「Sein」 1stコレクション展示会が表参道にて開催!
建築と衣服は、一見するとまったく異なる世界の話のように思えます。しかし、「空間に身をおく」という行為において、建築と衣服はどちらも人間の身体を取り巻く「もうひとつの皮膚」として機能してきました。その境界を意識的に横断しながら、新たな表現を模索する建築家がいます。建築設計事務所D.A.のパートナー・中川宏文が立ち上げたファッションブランド「Sein(ザイン)」が、いよいよ1stコレクションの展示受注会を表参道で開催します。
建築家がファッションブランドを立ち上げるということ

「Sein(ザイン)」——ドイツ語で「存在する」を意味するこの言葉をブランド名に選んだことに、中川宏文の思想が凝縮されています。光・空気・時間の流れといった、目には見えないけれど確かに感じられる要素が、身体とともに立ち現れる瞬間。その体験を、衣服というかたちで立ち上がらせることを、Seinは試みています。
中川は長崎出身。熊本大学工学部建築学科を卒業後、東京理科大学大学院に進み、オーストリアの建築設計事務所でのインターンシップも経験しました。その後、建築家・坂牛卓が主宰する設計事務所〈D.A.〉に参画。現在は同事務所のパートナー兼取締役として建築設計の最前線に立ちながら、服飾専門学校にも通い、建築と服飾を横断したデザイン活動を続けています。

東京と富士吉田市を毎週行き来する二拠点居住という生き方も、固定的な枠組みにとらわれない彼の姿勢をよく表しています。建築家がファッションブランドを立ち上げるという行為は、奇をてらったものではなく、空間と身体、スケールと素材という問いを深め続けた結果として、必然的に辿り着いた場所なのかもしれません。
1stコレクション「見えないものたちの気配」

昨年12月、神奈川工科大学「KAIT広場」で発表された1stコレクションのテーマは「見えないものたちの気配 What can I find in the darkness?」。

会場として選ばれたKAIT広場は、建築家・石上純也が設計した、白い柱が無数に林立する幻想的な空間です。その場に暗闇と光を演出し、ヴァイオリニスト・石上真由子による生演奏、Sakura Tsurutaによるオリジナル楽曲の中で、モデルたちが纏う衣服が空間と身体とともに現れるランウェイが繰り広げられました。

衣服は、それ単体で完結するものではなく、光の当たり方、空気の流れ、そして着る人の身体とともに初めて「存在する」——そのような問いが、このコレクションのすべてに貫かれています。まさに「Sein(存在)」という言葉の意味そのものを、衣服と空間と音楽が一体となって体現した発表でした。
素材から始まる、建築と衣服の横断

コレクションで使用した生地の一部は、山梨県富士吉田市のテキスタイルブランド「Watanabe Textile」の渡邊竜康との協働により、特別に織られたものです。
富士吉田市は、中川が地域おこし協力隊として関わってきた土地でもあります。その縁から生まれた素材との出会いは、単なる調達の話ではありません。建築における素材の質感——コンクリートの粗さ、木の温もり、光を透過する薄い壁——と、衣服のテクスチャーを横断して捉え直すという視点が、生地の選び方・織り方にまで一貫して宿っています。
建築設計の現場では、素材は空間に意味をもたらすものとして扱われます。Seinのものづくりも、その延長線上にあります。手に触れ、光を透かし、身体に添う布が、どのような感覚を生み出すのか。展示受注会では、その素材に実際に触れ、確かめることができます。
表参道の会場で、衣服と建築を横断的に体験する

今回の展示受注会では、ランウェイで発表したコレクションを、より近い距離で体験できる場として再構成します。衣服の細部・素材・構造を手に取って確認でき、実際に試着することも可能です。建築家としての視線が衣服のどこにどのように宿っているか、その痕跡を全身で感じる機会となるでしょう。
さらに会場内では、建築設計事務所D.A.が手がけた建築作品の模型・図面・写真も展示される予定です。衣服と建築という、スケールも用途も異なる二つの実践が、同じ問いから生まれていることを、空間を歩きながら発見できるはずです。
会場となるのは、表参道駅から徒歩5分の場所にある「agriko_laboratory」(東京都渋谷区神宮前4丁目9-3 YH493ビル)。予約不要で入場できます(一部時間帯を除く)。
「建築をつくる人が、なぜ服をつくるのか」その問いへの答えを覗きに
「建築をつくる人が、なぜ服をつくるのか」——その問いへの答えは、会場に足を運んだときにきっと見えてくるはずです。空間と身体、光と素材をめぐる思考が、衣服というかたちでどのように結晶しているのか。建築やデザインに関心を持つすべての人に、ぜひ体験していただきたい展示です。
Sein 1st Collection Exhibition & Order Event
会期: 2026年5月8日(金)〜5月10日(日)
時間:5/8(金)13:00〜22:00、5/9(土)10:00〜22:00(18:00以降はレセプション)、5/10(日)10:00〜20:00
会場: agriko_laboratory(東京都渋谷区神宮前4丁目9-3 YH493ビル)※表参道駅より徒歩5分
予約: 不要(一部時間帯を除く)