SANU × SUEP. のタッグで奄美大島の風土に応答する建築「ARC」が完成!

2026年5月1日、国内最大級のシェア別荘サービス「SANU 2nd Home」を展開する株式会社SANUが、鹿児島県・奄美大島に新拠点「SANU 2nd Home 奄美大島1st」を開業します。この開業にあわせて、環境建築の第一線で活躍する建築家ユニット・SUEP.(末光弘和+末光陽子)との共創による新建築モデル「ARC(アーク)」の全容が公開されました。世界自然遺産の島に建てるという挑戦が、どのような建築的思考から生まれたのかをご紹介します。

世界遺産の島で「建てる」ということの意味

2021年に世界自然遺産に登録された奄美大島は、国土のわずか0.2%の面積に、日本の生物種の約13%が生息すると言われる、類まれな生態系を誇る島です。近年は観光開発の波も押し寄せており、「どのように建てるか」は、そのまま「自然とどう関わるか」という姿勢の表明になります。

SANUはこの問いと真剣に向き合い、自然環境への影響を最小限に抑えながら、人が心地よく滞在できる新しいあり方を模索しました。世界自然遺産登録地域における初の自社建築となる「ARC」は、その問いへの、ひとつの誠実な回答です。

「ARC(弧)」というかたち——偶然ではなく、必然の答え

「ARC(弧)」という名前は、単なるデザイン上の選択ではありません。奄美大島固有の気候と生態系を徹底的に分析した上で、論理的に導き出された形です。

設計を担ったSUEP.は、亜熱帯海洋性気候(年平均気温21.8℃、湿度60〜90%)のもと、台風の通り道にもなるこの島の環境を60ものシミュレーションケースで検証しました。その結果として生まれた流線型の曲面屋根は、強風の圧力を逃がしながら室内のエネルギー効率を最大化するという、機能美の体現です。

海に向かって緩やかな弧を描くそのフォルムは、島に馴染む船やサーフボードの曲線とも共鳴し、奄美の風景の中に穏やかに溶け込んでいます。

伝統の知恵を現代建築へ——「高倉」からの学び

設計の出発点となったのは、奄美大島に古くから伝わる伝統的な高床倉庫「高倉」でした。湿気、毒蛇ハブ、そして激しい台風。島の過酷な自然条件に対し、数百年にわたって積み上げられてきた「床を持ち上げ、風を通す」という構造の知恵を、現代建築として再解釈することがARCの核心にあります。

地面に接する面積を最小限に抑え、床高を地上4mに設定することで、奄美特有の湿気を逃がし、常に新鮮な風が建物の下を流れるようにしています。コンクリートで地面を塞がない設計は、土地の空気と水の流れを遮らないという環境への配慮でもあります。

ピロティの下から潜り込み、階段を上って内部へアクセスするアプローチは、木登りのような、童心に帰るわくわく感を演出します。子どものころに感じた、少し特別な「場所へのアクセス」という体験が、日常的な宿泊空間の中に組み込まれているのです。

奄美の暮らしを翻訳した空間デザイン

ARCの内部には「ローワーリビング(座卓)」が設けられています。床に座って大きなテーブルを囲む、奄美大島らしい食卓の文化を、現代的な宿泊空間の中に落とし込んだものです。目線を低く保つことで、窓の外に広がる海や森との一体感がより深まります。

建物下部のピロティは、エアコンに頼り切らない「アウトドアリビング」として機能します。海風が通り抜けるこの半屋外空間は、亜熱帯の気候に応答する建築的な装置であり、自然の気流を暮らしの中に引き込む工夫です。

素材の選び方にも、丁寧な思想が宿っています。床には南洋材の硬質フローリング、壁には弾力性と質感のある漆喰を採用。外壁やルーバーには宮崎県産杉材が用いられており、素材そのものの質感を活かした空間になっています。

照明には鹿児島の伝統工芸・蒲生和紙を用いたオリジナルデザインを採用。構造をあえて見せるシンプルな骨組みが、奄美の自然の力強さに負けない、おおらかな光をつくり出しています。

クッションカバーには、奄美固有の染色文化である泥染めに着想を得て、中古の大島紬をアップサイクル。「裂き織り」の技法で裂き編み直したカバーが使用されており、島の文化と工芸が生活の細部にまで丁寧に編み込まれています。ランドスケープも奄美大島の在来植物を中心に構成され、一部には可食性植物(エディブルガーデン)も取り入れられています。

エネルギーとモビリティの循環——「建てる」その先へ

ARCは、環境共生型の建築というコンセプトをさらに一歩進め、拠点内でエネルギー消費を完結させる仕組みを初めて導入しています。

屋根一体型の薄型ソーラーパネルと蓄電池を搭載し、エネルギーコストの高い離島において電力の自立(ZEB認証取得予定)を実現しました。さらに、拠点内にはEV充電器を完備。奄美大島で初稼働となるLEXUS BEVレンタカーと連携し、滞在から移動までをゼロ・エミッションでつなぎます。

また、建設時の木材端材を活用した屋外シャワーブースの構築(九州大学との連携)も注目されます。「建てることで生まれるロス」を建築資源として循環させるこの取り組みは、建築の生産プロセスそのものを問い直す実験でもあります。

建築家・末光弘和のことば

SUEP.の末光弘和は、ARCに込めた思いをこのように語っています。

「亜熱帯の蒸し暑い気候において、いかにエアコンに頼らず自然の気流を活かすか。ARCは、奄美の風・光・そして伝統的な高床文化に応答する建築です。SANUと共に、地球環境と身体的快楽が分かちがたく結びついた、新しい建築のスタンダードを奄美に置くことができたと感じています。」

自然の力を制御するのではなく、自然に応答する——その信念がSANUと共鳴し、ARCという建築が生まれました。

ARCで「Live with nature.」を体験

自然と共に生きるというSANUのコンセプト「Live with nature.」を、建築という具体的な形で体現した「ARC」。奄美大島の風土と真摯に向き合い、伝統の知恵と最新の環境技術を縫い合わせた、この建築がどのような滞在体験を生み出すのか、ぜひその目で確かめてみてください。

ARC(アーク)

拠点:SANU 2nd Home 奄美大島1st
住所: 鹿児島県大島郡龍郷町赤尾木松崎620番1
設計: SUEP.(末光弘和+末光陽子)
棟数: 9棟(Small・Medium・Large)
エネルギー: 太陽光発電+蓄電池(ZEB認証取得予定)
構造: 高床式鉄骨+木造建築(鋼管杭基礎)
開業日: 2026年5月1日(金)