
「つながりを生む空間」Pizza 4P’s 高杉早苗が語る心地よい空間とブランドづくり
前編:練馬のピザ窯から世界40店舗へーPizza 4P’s CEO・益子陽介が語る「空間と文化をつなぐ想い」
「Make the World Smile for Peace」というビジョンを掲げ、ベトナムを拠点に40店舗を超える規模へと成長したピザレストラン「Pizza 4P’s」。そのブランドの礎を築いてきたのが、CEO・益子陽介さんの妻であり、共同創業者の高杉早苗さんです。IT企業で広告やメディアの企画に携わってきた彼女は、徹底して“自分が行きたい店”を形にしながら、世界中の人々をつなぐ空間を生み出してきました。その言葉から、Pizza 4P’sの“居心地の哲学”と、ブランドを支えるブランディングの極意を紐解きます。
「自分が行きたい店」をとことん形にする
高杉さんは独立前に日本のIT企業であるサイバーエージェントで活躍されていたとのことですが、お店をオープンするにあたってブランディングやマーケティングはどのように考えていらっしゃったのでしょうか。
「まずは自分をターゲットにして、心から通いたいお店を徹底的に考えました。業態明確化シートをつくり、ターゲット像を細かく設定して、その人がどんな暮らしをして、どんな価値観を持っているのかを深掘りしました。そこからコンセプトを磨き込み、店のイメージを膨らませていったんです」
口コミでつながる、ブランドの広がり方
広告的なマーケティングにはあまり投資をしなかったとのことですが、どのように集客されていたのでしょうか。
「オープンまでの様子を主人がSNSで詳細に発信していたのですが、その投稿を見てくださった方が、応援したいと言って来てくださった。お客様との接点を持つきっかけを、自然に作れたのがありがたかったです」
ITの思考で、飲食の現場をもっと良くする
高杉さんもご主人と同じIT企業出身とのことですが、現在の事業に過去の経験はどのように生かしていますか。
「飲食店では効率化が本当に重要です。トライアンドエラーを繰り返しながら現場の声を吸い上げ、改善していくやり方はIT時代から変わっていません。ただ美味しいだけでなく、裏側のオペレーションがスムーズであることが、お客様の心地よさにもつながると思っています」
店舗ごとに異なる心地よさをデザインする
店舗の効率化以外の、機能性や居心地とったデザイン面ではどういった工夫をされていますか。
「椅子の座り心地や座面の高さ、スピーカーの配置、隣の席との距離感まで、とにかく細かいところに気を配ります。40店舗ありますが、それぞれ設計が異なるのでスタンダード化するのは簡単ではありません。だからこそ、現地のカメラ映像なども活用しながら、スタッフと一緒に効率化を進めています」
現地で作る、自家製チーズのこだわり
Pizza 4P’sではチーズを自家製していると伺いましたが、味わいなどのこだわりを教えてください。
「現地ではまず、良質なミルクを採れる牧場探しから始まりました。
特にインドでは毎日ミルクの品質が違うので、味を安定させるのにとても苦労しましたね。それでも、ピザの味を支える大切な要素なので、試行錯誤を重ねています」
これからも、つながりを生む場を届けたい
今後事業を拡大するなかでどんなふうに新しい価値を作っていこうと考えられていますか。
「常に『Make the World Smile for Peace』というビジョンから落とし込んで考えています。レストランを通して、人と人、地球や自然と人のつながりを感じられるような体験を提供していきたいと思っています」
ワクワクしながらチームで楽しみたい
異国の地でピザレストランを立ち上げ、ブランディングから現場のオペレーション、チーズ作りに至るまで細部に心を配り続けてきた高杉さん。そんな高杉さんにとってライフイズ◯◯の◯◯に入るものは何でしょうか。
「ライフイズ”フェスティバル”です。会社とか、学生時代の文化祭や体育祭のように、仲間と一緒に必死になって1つのものを作り上げるようなワクワク感や楽しさを感じています。人生は、小さなことをお祝いしながら、いい大人たちがみんな必死になって楽しむことだと思っています」
自分が行きたい店から、世界を笑顔にする場所へ
Pizza 4P’sの始まりは、「自分が心から行きたいと思える店をつくる」という高杉さんのシンプルな願いでした。そこから広がった空間は、国や文化を越えて、人と人、自然と人をつなぐ場所へと進化しています。徹底したブランディングと細部へのこだわり、そして「Make the World Smile for Peace」という想いを胸に。これからもPizza 4P’sは、訪れる人々に心地よさと笑顔を届ける“ピース”として、世界へと広がり続けます。