「心地よい人生を過ごしたい」くるみの木主宰 石村由起子が考える、もの選びの視点と手仕事の魅力

前編:「人に喜んで頂くことは自分も嬉しいこと」くるみの木主宰 石村由起子の大切にしているデザインや、「くるみの木」立ち上げのきっかけ

1983年、奈良の郊外の小さな建物でカフェと雑貨の店「くるみの木」をオープン。その後、奈良市の複合施設「鹿の舟」や滋賀県の商業文化施設「湖(うみ)のスコーレ」などの空間プロデュースも手掛ける「くるみの木」主宰・空間コーディネーター 石村由起子さん。今回は石村さんに、ものを選ぶ際に大切にされているポイントや手仕事の魅力に気づいたきっかけについて伺いました。

もの選びの視点は「丁寧な仕事」

ショップでは器や衣料品、食品など石村さんの審美眼で選ばれたアイテムが多数並びますが、どういったテーマでセレクトされているのでしょうか。

「機能的なアイテムもありますが、何よりも“丁寧な仕事”であることを意識しています。作り手を訪ね、実際にものを作っている姿に、丁寧なもの作りの姿勢が感じられることを大切にしています。そうした丁寧な仕事を、私の空間を通して人に伝えられればと考えています。」

そうした丁寧な手仕事から生まれたものの魅力に気づいたのはいつ頃からでしょうか。

「高校を卒業したのちに染織を学んでいて、糸を草木で染めたり、布を織ったりしたことがきっかけでギャラリーを訪れるようになったんです。当時の私からするとギャラリーとは高価な芸術品を扱っているというイメージで日常からはほど遠いものだったのですが、好奇心でのぞいていたんです。そこからギャラリーで扱われている手吹きのガラスや、のみで削って作られた木の道具などの手仕事のアイテムに惹かれていって、少しずつ買い集めるようになりました。」

他者に対する感謝の気持ちを改めて意識

新型コロナウィルスの感染拡大をきっかけに石村さんの心境にも変化はありましたか。

「視線を落として、整理するきっかけになったと考えています。ものに限らず時間の使い方においても、自分にとって必要、不必要を見直す機会になりました。また同時に、他者に対する感謝の気持ちを改めて意識する機会にもなったと思っています。」

一度立ち止まって、これまでの日常を振り返ることで自身を見つめ直す機会となりましたね。

ライフ・イズ・コンフォート

人との関わりを大切にしながら、丁寧なものづくりを丁寧に伝えていらっしゃる石村さん。そんな石村さんにとってライフイズ〇〇の〇〇に入るものは何でしょうか?

「“コンフォート”です。『居心地が良い家具』や『心地がいい風』といった言葉が日常的に使われるように、“心地よさ”は誰にとっても大切なもの。目にも心にも、家族にもお客様にも心地よさを与えられるような生活、人生を過ごしたいなと思っています。」

ご自身のみならず周りの人にも心地よさを共有したい、まさに人を喜ばせることがお好きな石村さんらしい視点でした。

丁寧な仕事を丁寧に伝える

カフェや雑貨店などご自身の手掛ける空間を通じて、作り手たちの丁寧な仕事を多くの人に伝える石村さん。そんな石村さんに伺った、日常で大切にされているデザインや「くるみの木」を始められたきっかけについては「『人に喜んで頂くことは自分も嬉しいこと』くるみの木主宰 石村由起子の大切にしているデザインや、「くるみの木」立ち上げのきっかけ」からどうぞ。