隈研吾の展覧会「新しい公共性をつくるためのネコの5原則」が東京国立近代美術館で開幕!
ポートレート写真の巨匠として国際的に知られる写真家ベンジャミン・リーベンジャミン・リーが写真を撮り続けている世界的な建築家、隈研吾の展覧会「隈研吾展 新しい公共性をつくるためのネコの5原則」が 2021 年 6 月 18 日(金)~9 月 26 日(日)の日程で、東京国立近代美術館(東京都千代田区北の丸公園 3-1)で開催される。
「隈研吾展 新しい公共性をつくるためのネコの5原則」、東京国立近代美術館で開催!
新型コロナウイルス感染拡大を受けて延期されたことで、最初に高知県立美術館(高知市)で 2020 年 11 月 3 日~2021 年 1 月 3 日に開催され、次いで長崎県美術館(長崎市)で2021 年 1 月 22 日~3 月 28 日に開催された「隈研吾展 新しい公共性をつくるためのネコの5原則」が、いよいよ東京でも開催されます。
URL : https://www.momat.go.jp/am/exhibition/kumakengo/
「最も素晴らしい場所」に選ばれた《V&Aダンディー》や《国立競技場》
米 TIME 誌にて「2019 年世界で訪れるべき最も素晴らしい場所 100 選」に選ばれた《V&Aダンディー》や《国立競技場》の設計に参画するなど、現代日本を代表する建築家のひとりである隈研吾氏(1954~)。
本展では、世界各国に点在する隈作品の中から公共性の高い 68 件の建築を、隈氏が考える 5 原則――「孔」「粒子」「斜め」「やわらかい」「時間」に分類し、建築模型や写真やモックアップ(部分の原寸模型)により紹介。その他、映像作品、前庭に展示されるトレーラーハウスを合わせ、合計 74 件で隈氏の世界を紹介します。
章解説や作品解説はすべて隈氏本人によるもの。また、瀧本幹也氏や藤井光氏など第一線で活躍するアーティストによる映像作品や、隈建築をさまざまな観点から見ていただく空間のほか、360 度 VR などの体感要素、さらに、ネコの視点から都市での生活を見直すリサーチプロジェクト《東京計画 2020(ニャンニャン)ネコちゃん建築の 5656(ゴロゴロ)原則》(Takram との協働)も発表します。
隈研吾氏に聞く「新しい東京の姿を求めて――ネコの目線がもたらす街づくりとは」
1964 年の東京五輪で「国立代々木競技場」を設計した丹下健三氏。僕が「建築家になろう」と決心したのは小さい頃にその代々木競技場を初めて見た時でした。その丹下さんは 1961 年に「東京計画 1960」という東京の都市計画を発表しました。人口の増加と経済発展で住む場所が飽和し、東京湾の上に住宅地を造るという都市計画でした。高度経済成長期の非常に壮大で未来志向の、右肩上がりの時代の都市計画でした。
それから 60 年がたち、奇しくも次の東京オリンピック・パラリンピック開催が開催される日本は、少子高齢化で経済は伸び悩むという、60 年代とは全く別の様相を呈しています。その中で、僕は逆の幸せの形を模索しました。建物は低くして、木や石など自然の素材を使った建築です。右肩下がりの時代に以前と同じようなコンクリート造の高そうな建築を目指すのは、個人的には恥ずかしいと思っているからです。
丹下さんとは逆の都市計画とは何か。その時に考えたのが、人間がもう一度ネコのように小さくなって、地面の近くをはい回ることではないかと。丹下さんの都市計画が「神の視点」、上からの目線だとすると、僕は徹底的に下から目線の極地で都市計画をとらえてみようと思いました。それが「ネコの視点」なのです。
(2021 年 5 ⽉ 7 ⽇、隈研吾建築都市設計事務所で本⼈談)
隈研吾プロフィール
1954年生。東京大学建築学科大学院修了。コロンビア大学客員研究員を経て、1990年隈研吾建築都市設計事務所設立。2009年より2020年3月まで東京大学教授。現在、東京大学特別教授・名誉教授。1964年東京オリンピック時に見た丹下健三の国立屋内総合競技場に衝撃を受け、幼少期より建築家を志す。その土地の環境、文化に溶け込む建築を目指し、ヒューマンスケールのやさしく、やわらかなデザインを提案。また、コンクリートや鉄に代わる新しい素材の探求を通じて、工業化社会の後の建築のあり方を追求している。これまで20か国を超す国々で建築を設計し、日本建築学会賞、毎日芸術賞、芸術選奨文部科学大臣賞、国際木の建築賞(フィンランド)、国際石の建築賞(イタリア)等、受賞多数。
「隈研吾展 新しい公共性をつくるためのネコの5原則」
会場: 東京国立近代美術館 1F 企画展ギャラリー
会期: 2021年6月18日(金)~9月26日(日)
休館日: 月曜日[ただし7月26日、8月2日、9日、30日、9月20日は開館]、
8月10日(火)、9月21日(火)
開館時間:10:00-17:00(金・土曜は10:00-21:00)*入館は閉館30分前まで
観覧料: ⼀般 1,300(1,100)円 大学生 800(500)円
*( )内は20名以上の団体料金。いずれも消費税込。
*高校生以下および18歳未満、障害者手帳をお持ちの方とその付添者(1名)は無料。
それぞれ入館の際、学生証等の年齢のわかるもの、障害者手帳等をご提示ください。
主催:東京国立近代美術館、文化庁、独立行政法人日本芸術文化振興会
協賛:大成建設株式会社、大洋建設株式会社、株式会社長谷工コーポレーション、大光電機株式会社、大日本印刷株式会社、前田建設工業株式会社、株式会社イトーキ、株式会社大林組、鹿島建設株式会社、コクヨ株式会社、小松マテーレ株式会社、株式会社佐藤秀、清水建設株式会社、株式会社JR東日本建築設計、住友林業株式会社、太陽工業株式会社、大和ハウス工業株式会社、大和リース株式会社、株式会社竹中工務店、株式会社丹青社、TSUCHIYA株式会社、東急建設株式会社、TOTO株式会社、戸田建設株式会社、株式会社乃村工藝社、不二サッシ株式会社、三井住友建設株式会社、銘建工業株式会社、株式会社岸之上工務店協力:エヌビディア合同会社、小松マテーレ株式会社、株式会社スノーピーク、富山市(富山県)、長岡市(新潟県)、株式会社 日本HP、浜田醤油株式会社、V&Aダンディー、真庭市(岡山県)、南三陸町(宮城県)、株式会社モデュレックス、株式会社モノファクトリー、株式会社YAMAGIWA、梼原町(高知県)
助成:公益財団法人 大林財団
ベンジャミン・リーと隈研吾
エル・ステュディオインターナショナルがプロデュースする写真家、ベンジャミン・リーが隈研吾氏と出会ったのは、雑誌『Pen』で展開した100人の世界のトップ・アーティストを撮影して100回連載企画「創造の現場」で取り上げた時でした(同連載の記事はCCCメディアハウス刊『創造の現場。』(2014年)に収録)。2018年からは月刊誌『Discover Japan』で連載企画「隈研吾が暮らす神宮の杜(もり)」で隈氏と東京および首都圏の建築を取り上げたほか、フランスの首都パリにある隈氏の現地法人オフィスや建築物を取り上げた。また読売新聞(朝刊全国版)では隈氏を取り上げた隔月の連載企画「東京ミライ」でもタッグを組み、ベンジャミン・リーが隈氏のポートレートを全て撮影。
隈研吾応援のベンジャミン・リー写真展(6月15日)でトークショー
ベンジャミン・リーは2021年6月15日(火)から27日(日)まで、「スパイラルガーデン」(東京都港区青山5-6-23 スパイラル1階)で写真展「ベンジャミン・リー展2021 『The UNIVERSE of an IMAGINATION』(作品:1975-2021)」を開催。(入場無料)。
この写真展の開催でも隈研吾氏および隈研吾建築都市設計事務所の協力を得ています。イギリスで広告写真が評価され、その後30年以上にわたり日本を拠点に活動してきたベンジャミン・リーは、世界的なアーティストや文化人のポートレート写真作品で世界的に高い評価を得ている写真家です。ベンジャミン・リーの45年間にわたる活動を紹介する本写真展は、新型コロナウイルスが世界的パンデミックを引き起こし続ける状況下で、ベンジャミン・リーの有力な国際ネットワークを通じて日本と世界、また日本文化の来し方・行く末を余すところなく発信する機会として開催いたします。
このベンジャミン・リー展では、隈研吾氏をはじめとする文化人、企業人らとのトークショーも開催する予定です(日時については決定次第、公表いたします)。
ベンジャミン・リー写真展スペシャルトークショー メンバー
・隈研吾(建築家)
・安井豊明(株式会社ヒト・コミュニケーションズ代表取締役)
・ドリアン助川(作家、明治学院大学国際学部教授)
・石山徹(京都芸術大学 客員教授)
・エヴァ・ケストナー(和太鼓奏者、エンターテイナー)
写真家ベンジャミン・リーより
「私は永きにわたり、世界中のアーティスト、文化人、クリエーター等のポートレートを撮り続けています。2021年、私の集大成ともいえる写真展を東京・青山のランドマークビル『スパイラル』で開催します。いまだ芸術写真にふれる機会があまり多いとは言えない日本で、今回の写真展『The UNIVERSE of an IMAGINATION』が、日本人や日本に住む外国の方々がアートフォトや芸術を身近に感じるきっかけになればと考えています」
「そして、より多くの方の愛と関心とサポートがつまった写真展にすることを目標に今回、クラウドファンディングを実施しています。皆様からのご支援はこの写真展にかかる経費として、また本写真展にあわせて私が新たに出版する写真集の制作費とさせていただきます。これまでの代表的な作品をあえて小さなポケットサイズに製本し、いつでも持ち歩ける日常使いのアートブックを創ります。アートをもっと身近に。ご支援をよろしくお願いいたします」
ベンジャミン・リー略歴
1969〜72年、トロント(カナダ)のライアーソン・ポリテクニカル・インスティテュートで写真を学ぶ。その後、英オックスフォード大学で心理学を学ぶ、77年、ロンドンのソーホー地区にベンジャミン・リー・スタジオを設立。企業の広告写真を手がける一方で、ヘンリー・ムーア氏ら欧米の著名人の肖像を撮影し、アート作品として評価を高めた。80年、84年に英国のデザイン賞「D&AD賞」を受賞したほか、国際イルフォード・ポートレート写真コンテストでグランドプライズを受賞。87年から日本に拠点を移し、草間彌生氏、隈研吾氏、坂本龍一氏など各界の著名人や文化人の肖像を撮り続けている。
著作に写真集『Odyssey』(朝日新聞出版サービス刊)のほか、雑誌『Pen』に「創造の現場」と題して100人の世界のトップ・アーティストを撮影して100回連載し、『創造の現場。』(CCCメディアハウス刊、2014年)として刊行した。近年では読売新聞(朝刊全国版)で隈研吾氏を取り上げた「東京ミライ」を全8回連載したほか、月刊誌「Discover Japan」でも「隈研吾が暮らす神宮の杜」を全20回連載した。
ベンジャミン・リー Website URL:http://www.benjamin-lee.jp
新国立競技場を手がけるなど最も勢いがある世界的建築家・隈研吾の過去最大級の展覧会となる「隈研吾展 新しい公共性をつくるためのネコの5原則」。是非とも会場に足を運んでその建築の良さを体験して欲しい。