沖縄・琉球のバナキュラーを活かした美術館「沖縄県立博物館・美術館(おみきゅー)」
2007年に開館した博物館と美術館の両方の複合施設、沖縄県立博物館・美術館は、通称「おみきゅー」と呼ばれている。
沖縄の歴史・文化・自然のコンテクストを建築空間的に反映させること。そして、沖縄の自然環境の豊かさを引き出し、その過酷な自然環境から展示・収蔵品を守って、自然エネルギーを利用しながら、建築表現としてどのように取り入れるかがおみきゅーの設計への課題であった。
沖縄・琉球のバナキュラーを活かした建築
40年間に及ぶ沖縄県立博物館の活動で、資料の数が8万件を超え、収蔵庫が飽和状態となったため、展示室と講堂の2階客席を収蔵庫に改造したが、それでも足りずに、敷地内にプレハブを建てて収蔵庫とした。その後も資料は増え続け、飽和状態になった。沖縄県立博物館・美術館「おみきゅー」は、老朽化した県立博物館の建て替えと、初めての県立美術館の開館を一緒に行ったものである。
途中6年間財政悪化によって中断していたが、2007年11月にオープンした。
外壁を琉球石灰岩を使用したダブルスキンとすることで環境負荷を削減し、エントランスホール、美術館展示室への自然採光、雨水利用などの自然エネルギー利用、輻射冷房等の省エネルギーシステムも取り入れた。
緩やかなカーブで連続する壁面や琉球石灰岩の素材感などは、沖縄のグスクをイメージしている。
無数の孔の開いた外皮から木漏れ日のように光が入る。ダブルスキンの構成にすることで沖縄の強烈な日射による熱負荷の軽減や、台風の暴風雨から建築を守る。
木漏れ日で満たされるエントランス
広くて天井の高いエントランスホールには、樹木ような柱が10本そびえ立っていて、その上にあるトップライトから「備瀬のフクギ並木」の木漏れ日のように柔らかい光が溢れる。これは、琉球独特の木陰のオアシスをモチーフにしたのだそう。
美術館展示室は自然光ベースになっていて、沖縄歴史や風土、自然との共生が施設全体で感じられるようになっている。
沖縄県立博物館・美術館、通称「おきみゅー」は、沖縄の歴史的資産であるグスクの形態をイメージした独特なファサードが沖縄の文化や風景と溶け込んでおり、遮光、通風機能と意匠性を巧みに両立させ建築様式として最適な方法が合理的であることを体感できる。
沖縄県立博物館・美術館 – おきみゅー
開館時間:9:00~18:00
休館日:月曜日
電話:098-941-8200
URL : https://okimu.jp
住所:〒900-0006 沖縄県那覇市おもろまち3-1-1