未来の家の可能性、ダンボールハウス「Wikkelhouse」

via: wikkelhouse.com

スライスしたケーキが繋がってチョコロールケーキになった。そんなイメージのオランダ発のウィッケルハウス (Wikkelhouse) の素材は、最近ゲーム機器やVRでもスポットライトを浴びているダンボール。モジュラー化された1.2mのダンボールの筒を、好きなだけ繋げて延長していけます。ダンボール製の家なんてすぐに駄目になりそうって思いますが、、、、メーカー曰く50年の寿命・耐久性が期待できるとのこと。

オランダ語でラップハウス(包む家)という意味のウィッケルハウスを開発したのは、アムステルダムに拠点を置くフィクション・ファクトリー (Fiction Factory) 。舞台美術や展示会ブース、オフィスやインテリアデザイン、家具の製作などを幅広く手がけるスタジオです。ダンボールを何層にも重ねてサンドイッチ構造にすることで、驚くほど軽量かつ堅牢、そして極めて断熱性の高いフレキシブルな家を開発しました。

 

「ダンボールを建築材料として使用するウィッケルハウスは、美しいデザインと抜群の耐久性を備えた最先端の持続可能な住宅です。伝統的に建てられた家より3倍も環境にやさしいのです」とフィクション・ファクトリーは未来の家の可能性をこのウィッケルハウスに表現しました。

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1つのコンポーネントの大きさは、幅4.5m×奥行き1.2mの4.5平方メートルの広さで、天井の頂点までが3.5mの高さ。この1.2mの筒状スライスを、自由にいくつも連結・延長できる仕組みとなっています。1セグメントには、5角形の型の上に320mにおよぶダンボールを24層に重ねて巻き付け、環境にやさしい接着剤で固定。外側に防水性と通気性のあるフィルムを貼り、パイン材の羽目板の外壁と内装の合板でサンドイッチしています。

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広い制作工場の中で、家型をゆっくりと回転させながら、スカンジナビア産のバージンパルプを巻き付けていきます。とても家を作っているとは思えない光景。

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丸みを帯びた5角形のモジュールの重さはわずか500kgで、トラックで運搬され現地で連結と外装が施されます。基礎工事は不要で、強風で吹き飛ばされないように、コンクリートのシャシーの上に固定してすべての設置は1日で完了。分割・分解も同様に容易なので、必要とあらばウィッケルハウスごと引っ越しできます。加えて家のほとんどの素材はリサイクルも可能。

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正面にはデッキスペースと、3ステップの階段がモダンなラインを描いています。ファサードは、透明・不透明仕上げを選択可能。全面ガラス張りにすれば、外の景色が一面に広がり、自然光をたっぷり室内に取り込むことができます。

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それぞれのユニットに跳ね上げ式の丸窓を設置できるので、長く延長しても採光は充分。家のアールとマッチした可愛らしいデザインの窓です。

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インテリアの合板の自然な木目と角の丸みが、柔らかく温かみのある印象を与えます。お掃除もしやすく落ち着いて過ごせそう。キッチン、バスルーム、シャワーなどは「スマートホーム・セグメント」として追加され、パーテーションとしても機能。奥の端を片方ふさいで、カーテンを掛けてベッドルームにすれば、夜にはプライバシーを確保しながら、昼間は開放的な空間が保てます。

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ウィッケルハウスは、湖畔の小さな別荘、屋上のセカンドハウス、独立したガーデンオフィスなど様々な用途に活用できそう。価格は、3セグメントの最小ユニットが、3万ユーロ = 約387万円(1ユーロ = 129円) からという設定。キッチンユニットの引き出しなどの造作も、家具を手がけているだけあってセンスの良いデザインです。

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ダンボールの家という先入観を、フィクション・ファクトリーはこう一蹴します。「ダンボールだって木製である」と。確かにおっしゃる通りです。美しいデザインと抜群の耐久性を備えた最先端の持続可能なダンボール住宅は、未来の住宅の可能性を感じます。

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