 
			フェットシュタイナー教育が原点。モデル・コラージュアーティスト花梨さんの感性を育んだ絵本と文学の幼少期と文学
ファッション誌や広告などで活躍する人気モデルでありながら、写真とグラフィックを組み合わせたコラージュアートで表現の幅を広げる花梨さん。その独特な雰囲気と、多様な表現力は、多くの人々を惹きつけています。
今回は、花梨さんの暮らしの中で大切にされているデザインやお好きな空間などさまざまな角度からお話を伺いました。
モデル・コラージュアーティストの花梨さん

1997年、東京生まれ。多摩美術大学卒業。ファッション誌やライフスタイル誌、各種広告など、幅広い分野で活躍中の人気モデル。
2020年に、作品専用のInstagramアカウントを開設。モデルとして培ってきた鋭い感性を活かし、写真やグラフィックを組み合わせたコラージュアートを制作。
暮らしの中で大切にされているデザインは?
はじめに花梨さんが暮らしの中で大切にされているデザインについて伺いました。
「自分のいる空間を楽しい場所にすることを大切にしていますね。」
どんなふうに楽しい空間にされていますか?
「好きな画集を目に置いたり、手に取りやすいところにそういう自分を楽しむようなデザインを作っています。 楽しませるようなものを置く、好きなポスターを貼ったり、旅先で買ったお気に入りの着物を置いたり、 比較的に、私は色が好きなのでカラフルなようにしています。」
好きな場所や空間は?
花梨さんがお好きな場所や空間について伺いました。
「自分のアトリエと近くの公園ですね。」
アトリエはどんな感じなんでしょう?
「さきほど説明したように、自分の寝室はちょっと静かなようにシンプルにしているのですが、 自分のアトリエはとにかく制作中にワクワクするように好きなものがぎっしりとあります。
テーブルの上には旅先の着物がいろいろ置いてありますし、絵の具とかも目に見えるように、 あんまり全てを棚の中にしまうっていうインテリアより、結構いい感じに外に出ているインテリアが好きなので、 ちょっとごちゃごちゃしないように気をつけながら楽しい感じにしています。」
好きなものが並んでいるとインスピレーションを受ける

「すごく好きな画集を近くに置いているので、迷った際にはよく画集を見て、色のインスピレーションにしていますね。」
どなたの画集ですか?
「私が好きなのは、マティスとジョージア・オキーフさん、フランスのイラストレーターのメディウスというイラストレーターです。その画集が何個かあり、よく見ています。」
花梨さんの好きな場所、公園ではどんなことをする?
「とにかく歩いてます。ずっとぼーっとしているより、歩いている方がぼーっとできる気がして、 公園の景色を眺めながらひたすらそのあたりをずっと歩いてリフレッシュしてますね。 」
中学2年生から創作活動をしている

花梨さんは、モデルとして活動されており、2020年頃にInstagramで発信しているようなコラージュ作品を発表されていますが、その以前から何か創作活動はされていたのですか?
「中学2年生のころに、学校の授業でコラージュという存在を知り、そこからコラージュを積極的に励むようになりました。今の仕事とは別で、イラストとともにコラージュというものは漠然とずっとやってきています。」
当時の将来の夢
「中学生のころから、アートに携わりたいと強く思っていました。」
モデルを始めたきっかけ
「きっかけは、もともとモデルの紙面雑誌が好きで読んでたので、モデルになりたいと思っていました。一番初めのきっかけは、学校の入学式に今の事務所の社長さんがいて、そこで声をかけていただいたのが始まりです。」
大学での専攻分野について
多摩美術大学出身の花梨さん。大学時代の専攻分野について伺いました。
「劇場美術デザイン学科のコースを専攻していました。」
どんなことを学ぶのでしょうか?
「劇場美術デザインです。環境デザインとも似ています。劇場のデザインは、割と自由度が高いです。私は、劇場に関わるダンスのコンテンポラリーダンスなどの舞台設計と、 私自身も踊るという、踊りとダンスと舞台美術を一緒に総合美術として専攻していました。
最初は違う劇場美術のみの専攻で、私が踊ることはあまり選択肢になかったのですが、当時の大学の先生の舞台を見て感動し『これが美術だ、これがアートだ』と思い、大学時代はそちらを専攻しました。」
花梨さんが影響を受けたヒト・モノ・コトは?
「幼少期の両親の教育だと思っています。というのも、私の家庭はフェットシュタイナー教育でした。
フェットシュタイナーとは、テレビ・ゲーム・コンビニのご飯などが一切ダメで、 より自然に近い状態で教育をするドイツの教育方法です。
当時の私は、テレビがダメだったので、 フェットシュタイナー教育が推奨している絵本だったり、 主に絵本と文学があって、 私は絵本と文学でずっと育ってきました。その絵本と文学から、今の私の考え方や想像力の方法を教えてもらいました。」
コラージュ技法に興味を持った理由は?

中学2年生の頃に授業でコラージュ技法に出会った花梨さん。興味を持った理由ついて伺いました。
「元から知っているレアリズムの世界観は大好きでした。また、日常にはない組み合わせで、絵を作っていくことがすごく好きです。そのため、写真と絵を組み合わせるのは、私の中で自然とやってきた技法です。
例えばテーブルの上にあるスープの中で人が泳いでたら楽しいなとか、 あの山が私の部屋にあったらいいなとか、 そういう想像を日常的によくやってました。コラージュという技法を知る前の小学生ぐらいの頃からやっていたのですが、それがコラージュだということを知ったのが中学2年生です。」
コラージュ技法の魅力
「コラージュ技法は、想像する力や文学・絵本であるため、その既存のものを何かに置き換えることができるのが コラージュの面白さです。具体的なものを柔らかく抽象化し、その概念と概念を掛け合わせて新しい意味合いを作っていけることがコラージュの魅力です。」
表現の幅を広げるために今後やりたいことは?
「動画に挑戦したいなと思っています。今アニメーションの勉強を始めたのですが、今後私の作品をアニメーション化できたらいいなと思っています。
想像をする過程から話を構築して、 そこから制作していくのですが、その話をもっと具体的にできるのが動画やアニメーションだなと思っています。」
LIFE IS「コラージュ」
インタビューの最後、花梨さんに「Life is ◯◯」空欄に当てはまる言葉を尋ねると、「Life is コラージュ」と答えてくれました。
「みんな日々選択して、それをつなぎ合わせて生活しているので、 生活自体がコラージュなのではないかと最近思っています。」
フェットシュタイナー教育が原点。モデル・コラージュアーティスト花梨さんの感性を育んだ絵本と文学の幼少期
モデルとして、そしてコラージュアーティストとして、2つの分野で独自の表現を続ける花梨さん。彼女の尽きることない創造性の源は、幼少期に体験したフェットシュタイナー教育と絵本・文学に囲まれた『テレビなし』の生活の中にありました。
アトリエの楽しい空間づくり、マティスやオキーフの画集、公園の散歩など日常のインスピレーションを大切にしながら、花梨さんは『Life is コラージュ』という哲学を体現し続けています。
既存の概念を軽やかに超えて新しい意味を創り出す、花梨さんの多角的な活動と表現の広がりに、今後も目が離せません。