西沢立衛や隈研吾、安藤忠雄、藤本壮介の建築作品が集まる青森県十和田市にある4つの建築。

青森県十和田市は、アートを通じて街の活性化を図る「アーツ・アンド・クラフツの街」として知られています。西沢立衛による十和田市現代美術館を中心に、隈研吾、安藤忠雄、藤本壮介と言った日本の著名な建築家が手掛けた建築が点在し、街全体が巨大なアートサイトのような魅力を放っています。

1. 十和田市現代美術館・十和田アートセンター/西沢立衛

十和田市現代美術館は、2008年に開館した、西沢立衛が設計を手掛けた美術館です。特徴的なのは、ガラス張りの壁面と、ストリートに面して点在する「家」のような展示室です。これにより、美術館と街が一体となり、通りを歩く人々にもアートが身近な存在として感じられます。

内部空間は、天井高や広さが異なる展示室がガラスの廊下で結ばれ、家が集まる集落のよう。各展示室は、アーティストが空間に合わせて作品を制作する「コミッションワーク」のために設計されており、作品と建築が密接に結びついています。また、展示室の間に設けられた中庭や、通りに面した屋外作品など、内と外が曖昧な空間構成も特徴です。美術館全体が、アートを体験するための多様な空間を提供し、訪れる人々に新しい視点を与えています。

参考:アートと街が交ざり合う、建築家・西沢立衛による街に開かれた美術館「十和田市現代美術館」

十和田市現代美術館

開館時間:9:00〜17:00(最終入館 16:30)
※cube cafe&shopも同様(カフェラストオーダー 16:30)
休館日:月曜日(月曜日が祝日の場合は、その翌日)、年末年始
料金:一般 1800円(企画展閉場時:1000円)、高校生以下 無料
TEL:0176-20-1127
Web:https://towadaartcenter.com/
所在地:青森県十和田市西二番町10-9
アクセス:十和田観光電鉄バス「八戸駅」東口⑤から乗車「官庁街通」バス停下車、美術館まで徒歩5分

2. 十和田市市民交流プラザ・トワーレ/隈研吾

十和田市市民交流プラザ・トワーレは、市民の交流拠点として2016年に開館しました。設計は、木材を多用するデザインで知られる隈研吾が手掛けました。外観は、地元の木材を使用した格子状のルーバーが特徴で、周囲の景観と調和しながらも、モダンな印象を与えています。

内部空間は、温かい木に包まれた開放的なデザインです。中央には、多目的に利用できる空間が設けられ、市民の発表会やイベントなど、様々な活動の場となっています。また、大小さまざまな会議室やワークショップスペースが配置されており、地域のコミュニティ活動を支える拠点として機能しています。隈研吾らしい、自然素材を活かした温かみのある空間は、訪れる人々に安らぎと居心地の良さを提供し、市民の交流を活発に促しています。

参考:家型が連なる外観が特徴的な隈研吾設計の十和田市市民交流プラザ「トワーレ」。

十和田市市民交流プラザ・トワーレ

開館時間:9:00~21:00
電話:0176-58-5670
URL : http://www.city.towada.lg.jp/docs/2015111800027/
住所:〒034-0011 青森県十和田市稲生町18 稲生町18-33

3. 十和田市民図書館/安藤忠雄

十和田市民図書館は、2020年に開館した、安藤忠雄が設計を手掛けた図書館です。十和田市の新たな文化拠点として、市民に親しまれています。特徴的なのは、安藤建築の代名詞とも言える、打ち放しコンクリートとガラスを組み合わせた、シンプルながらも力強いデザインです。

内部空間は、ハイサイドライトからの光でコントラストが美しい、静謐な雰囲気に満ちています。中央には吹き抜けの大空間が設けられ、自然光が降り注ぎ、開放感あふれる読書空間を提供しています。また、書架の配置や閲覧スペースの構成は、利用者が快適に本と向き合えるように工夫されています。安藤建築特有の、抑制の効いたデザインと素材へのこだわりが、図書館という空間に格調高さを与え、市民の知的好奇心を刺激する場所となっています。

参考:世界的建築家・安藤忠雄の設計でより人が集う場として生まれ変わった「十和田市民図書館」

4. 十和田市地域交流センター・とわふる/藤本壮介

十和田市地域交流センター・とわふるは、2021年に開館した、藤本壮介が設計を手掛けた施設です。その設計コンセプトは「アートのまちのリビング」で、市民の日常にアートと交流が溶け込むような空間を目指しています。総面積の3分の1を占める広大な中庭が特徴で、建物はこの中庭を囲むように配置されています。

内部空間は、複数のギャラリーやカフェ、多目的室といった多様な機能が集約されており、これらすべてに中庭に面した開放的なロビーからアクセスできます。これにより、人々が自然と顔を合わせ、交流が生まれる動線が創出されています。外観は、真っ白でアーティスト・鈴木ヒラクによる壁画が描かれています。藤本建築らしい、内と外、そして人と人とのつながりを促すような、新しいタイプの交流拠点が誕生しました。

参考:藤本壮介が手掛けた「十和田市地域交流センター(とわふる)」は、白壁によって生み出された心地よさと特別感が魅力。

十和田市地域交流センター(とわふる)

所在地 : 〒034-0011 十和田市稲生町16番1号
開館時間 : 9:00〜21:00
休館日 : 12月29日から翌年1月3日まで(年末年始)
※ただし、設備の保守点検などの臨時休館あり
公式サイト : https://www.city.towada.lg.jp/shisei/shisetsu/chiikikouryusenta.html

アートと交流を育む十和田の建築群

青森県十和田市には、西沢立衛による美術館と街が一体となった空間、隈研吾による温かい木の交流拠点、安藤忠雄による静謐なコンクリートの図書館、そして藤本壮介による「アートのリビング」というコンセプトの施設が共存しています。これらの建築は、単に機能的な建物に留まらず、アートを媒介として市民の交流を促し、地域の文化を育んでいます。十和田を訪れる際は、ぜひこれらの建築巡りを通して、アートと建築が織りなす奥深い世界を体験してください。