【建築家に聞く10のアイディア】機能だけじゃない! ”キッチンを家具として捉える”デザイン志向の発想

料理をつくる場としてはもちろん、家族が集う場としての役割も果たすのがキッチン。現代ではライフスタイルの多様化によって、料理は主婦の仕事という概念も変わり、家族で料理や食事を共に楽しむ時代になったと言えるのかもしれません。

これまでキッチンはリビング・ダイニングとは離れたものが多かったものの、最近ではより開かれた場所として、住まいの中心に存在を移し、家族や友人とのコミュニケーションを育む空間となっています。

このようにキッチンの役割が変化したことにより、キッチン設備のデザインにも変化が生じてきています。生活の場として日常的な空間となるため、ダイニングやリビングのインテリアデザインとの調和が求められるわけです。すなわち「家具としてのキッチン」が求められるのです。機能性はもちろんデザイン性も兼ね備えた魅力的なキッチンの例を見てみましょう。

変形の敷地に合わせたコンパクトなキッチン

https://hash-casa.com/2021/06/17/spaciousonestoryhouse/

こちらの住宅では直線の1.3倍の広がりを感じさせる「対角の視覚的効果」を活かすため、窓の取り方に工夫が施されています。キッチンはフルフラットで、全体を見わたせるLDKの中心に配置。ダイニングテーブルは円形のものを取り入れることで、デッドスペースを最小限に抑えています。

ダイニングを同素材で造作した広々とした印象のキッチン

https://hash-casa.com/2022/02/21/aflathousewhereyoucanlivecomfortably/

ストーン調のダークトーンのタイルでまとめられた、重厚感のある落ち着いた雰囲気のカウンターキッチン。キッチンボード、食器棚も同素材で造作することで、空間の統一感を高めています。ダイニングテーブルもキッチンと同素材のもので誂えることで、ダイニングまでを含めたゆったりと伸びやかな印象のレイアウトとなり、上質で心地よく暮らせる空間となっています。

腰壁をうまく活用して存在感を抑えたキッチン

https://hash-casa.com/2019/11/25/ahouseofnewvalues/

リビングやダイニングのインテリアにおいて、天然木調の柔らかなデザインが好みという方も多いのではないでしょうか。そのような場合には、天然木を貼ったキッチン腰壁の裏側にキッチン設備を設置する方法がおすすめ。こちらの住宅ではフローリングと同素材の腰壁の裏側にキッチンを配することで、リビングの中心部に位置しながらも空間に圧迫感を与えず、生活感も抑えています。

また、腰壁の上にカウンターを設置することで、配膳のために食器や料理を置いておくための場所としても活用できたり、小さめのダイニングテーブルとして活用することもできます。

家具としてキッチンを捉える

ライフスタイルの多様化によって、さまざまなデザインが可能となったキッチン。料理をする場所としてはもちろん、家族やゲストとのコミュニケーションスペースとして、機能性、デザイン性にこだわったものにすることで、より満足度の高い住空間となるはずです。