建築家・遠藤克彦による周囲の自然を最大限取り込んだ山荘「八ヶ岳の家」

2022年2月に開業した〈大阪中之島美術館〉や公共建築賞にて優秀賞を受賞した〈豊田市自然観察の森ネイチャーセンター〉などの公共施設から住宅といった様々な空間設計を手掛ける建築家・遠藤克彦。遠藤による、長野県八ヶ岳の麓 標高1700mの別荘地に建てられた「八ヶ岳の家」は、四季折々の借景を取り込んだ開放的な暮らしが楽しめる別荘です。

標高1700mに位置する木々に囲まれた敷地

via : http://www.e-a-a.jp/ photo : HIROSHI UEDA

長野県八ヶ岳の麓、標高1700mに位置する別荘地に計画された「八ヶ岳の家」。敷地は東南東に向かって緩やかな傾斜で下っており、周囲一帯は白樺林と笹で覆われ、鬱蒼とした敷地環境でした。別荘地であるにも関わらず周囲に建物はなく、まさに森林の中に佇む別荘として、周囲の視線を気にすることなく、自然を住宅に取り込むことが可能な環境でした。

直方体を積み重ねたリズミカルな造形

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敷地の利点を生かすべく、建築は大きな開口部を持つLDK部分をメインに、複数の直方体を重ねたものが敷地の奥へと続くデザインとなりました。鬱蒼とした木々のなかに直方体がポコポコと並べられた造形は、リズミカルで目を引きます。それぞれの直方体にはエントランス、LDK 、サニタリーなどの異なる機能が収められています。

奥へと導かれる視線と動線

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手前にある直方体、足元の開口のみの閉鎖的な印象のエントランスに入ると、目の前に床の高さが異なるLDK 空間が広がり、歩を進めると開放的な天井高4mのリビングスペースに行き着きます。光が差す伸びやかな空間へと自然と足が進むようなスムーズな動線です。

まるで森林の中にいるような開放感に溢れるリビング

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リビングの長辺にあたる壁には天井近くまで設けられた高さの窓が両面に配され、リビングを貫くように延々と続く木々の風景が広がります。まるで森林の中にいるような、深呼吸をしたくなるリビングです。

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建築の端部にあたるサニタリーには、開口部のバランスを考慮しつつ、周囲の自然を最大限に享受できるバスルームが設けられており、こちらでも四季折々の借景を楽しむことができます。周囲の視線を気にすることなく自然と共に過ごせるプライベートな時間は、この住まいならではの贅沢と言えそうです。

自然の中で暮らすような雄大な開放感

良好な自然環境を十分に生かした「八ヶ岳の家」。別荘地にもかかわらず周囲に建物がない環境を最大限に活かし、四季の移り変わる風景をリビングの中に導き、暮らしの中に取り込む、軽井沢の雄大な自然がもたらす豊かな時間が流れる住宅です。