「外部より内部、インテリアに惹かれる」建築家・マニュエル=タルディッツが大切にしているデザインや好きな空間

加茂紀和子・曽我部昌史・竹内昌義・マニュエル=タルディッツの4人の建築家からなる建築設計事務所〈みかんぐみ〉。上下関係のない対等なパートナーシップにより、建築から都市計画まで幅広いデザインを手がけられています。今回〈みかんぐみ〉共同代表であり、明治大学の建築・都市デザイン国際プロフェッショナルコースの特任教授とICSカレッジオブアーツ教授を務めるマニュエル=タルディッツさんに、暮らしの中で大切にされているデザインやお好きな空間について伺いました。

「みかんぐみ」建築家・マニュエル=タルディッツ

建築家。1959年パリ生まれ。1984年ユニテ・ペタゴジック卒業後、1985年より東京在住。1992年東京大学大学院博士課程修了。1995年 株式会社みかんぐみ共同設立。2006年よりICSカレッジオブアーツ教授を務めるほか、芝浦工業大学、筑波大学、東北大学では非常勤講師、2013年より明治大学の特任教授に任命されました。

暮らしの中の大切なデザイン

まずは日常生活の中で大切にされているデザインについて伺いました。

「デザインという言葉には広い意味がありますが、やはり建築家としては空間に興味があるので、外部より内部、インテリアを大切にしています。外部からだと建物の形に注目しがちですが、内部では光を感じたり椅子に座ったりと空間の使い方を常に意識させられます。」

形状ではなく、人の動きに密接するインテリアに惹かれるというマニュエルさん。見た目だけではなく、人と空間の関係性を意識する建築家ならではの視点ですね。

自邸のこだわりとは

プライベートでのパートナーであり、〈みかんぐみ〉共同主宰者でもある加茂紀和子さんとの自邸は、半階のフロアが連続するような螺旋状に展開する室内が特徴的ですが、自邸に対してこだわったポイントは何でしょうか。

「素材ですかね。床、壁、天井全てコンクリートで作っています。ただ、コンクリートといっても壁は磨いていたり、壁はもともと木枠だったので木の一部がコンクリートからのぞいていたりしていて、色々な表情が見られます。生きているコンクリートと言うような、単調ではなく変化が楽しめるダイナミックな空間になっています。」

なるほど、コンクリートと木が合体しているのは素敵ですね。

「室内の家具は全て木製なので、建材としてもコンクリートと木の相性はいいと思います。」

好きな空間

建築家として、お好きな空間はどういったものなのでしょうか。

「茶室が好きです。フランス生まれなので、日本に来る前は全く知リませんでした。茶室はとても小さいのに、中に入ると光や素材のコントロールや、人と人の位置関係とか、空間が狭いにもかかわらず大きく感じられますよね。そういう実験的なところが茶室では感じられるので面白いなと思います。」

建築家の中でも茶室が好きという方は結構いらっしゃいますよね。小さい空間の中に宇宙を感じる、といったものなんでしょうね。

「茶会というとお堅い感じを持たれがちですが、人と人とが時間を使って色々なお話をできる空間であって、お茶を楽しむ以外にも色々な出来事がありますよね。」

〈みかんぐみ〉のデザインの特徴

Maruya gardens | マルヤガーデンズ Via : https://mikan.co.jp

共同代表を務める〈みかんぐみ〉は、建築家であるメンバー4人によって構成された建築集団ですが、みかんぐみのデザインの特徴は何でしょうか。

「4人でかれこれ22年くらいやっているのですが、常にデザインの表現の力や空間の強さより、人間がその場所にいるときや活動することを第一に考えてデザインしています。」

ヒトの活動を起点に空間を捉える

建築の外観より内部空間に強い興味があると言うマニュエルさん。視覚的な表現も大切ですが、人の暮らしや活動をベースに考えることで、より実用的で広く愛される建築を生み出せるのかもしれません。そんなマニュエルさんに伺った、日本を活動拠点にされた理由やフランスと日本の建築の違いについては「『独特なのは建築家と大工の関係性』建築家・マニュエル=タルディッツが日本を拠点に構えた理由と日本建築の特性」からどうぞ。