100件以上の見学会に足を運ばれたご夫婦が表現するこだわりの平屋
今回紹介するのは、建築家 深瀬ヤスノリが手がけた和モダンな平屋住宅。深瀬氏の手掛ける物件は今までも幾つか紹介してきたが、今回の物件は更に「凄いこと」がある。それは施主のアツい想いだ。100件以上もの見学会に足を運んだという施主が、深瀬氏と共に創り出した傑作とは一体?早速見ていこう。
自然豊かな田舎町にそっと佇む和モダンな外観
平屋らしい平らなフォルムを建築家 深瀬の巧みなセンスと技によって、美しく創りあげた和モダンで重厚感ある外観。今回の物件のテーマデザインとも言える「木材のスリット」で魅せるアーティスティックで繊細なデザインは、アクセントになりつつも周りの自然としっとりと馴染み、景色の邪魔をしない。
ご夫婦が信じる「感覚」を表現する平屋住宅
空間設計と洗練されたデザイン性が素晴らしい深瀬氏の物件。中でも今回は凄まじい施主とのタッグが組まれ、注目を浴びた。施主にあたるご夫婦は、100件以上の見学会を通して、ヒアリングで一冊のノートにその想いを綴ってきたという。「自分たちはどこに暮らし、どんなものが好きで、どんな家を建てたいか」を何度も何度も話し合ったてきたこそ、建築家 深瀬ヤスノリを見つけ、選んだことも納得である。時間をかけて家づくりに真剣に向き合ってこられたご夫婦が深瀬氏と創り上げたこだわりの1邸は洗練された中にも温かみがあり、機能性も高くなっている。
美しい土間玄関から見えるのは「すべてを迎える和室」
木材スリットの格子を抜け、玄関を入ると出迎えるのはエレガントでモダンな雰囲気が美しい土間玄関。玄関からまず目が行く正面には、家族、来客全てを迎え入れることができる和室を設置。生活感を伝えずとも、和室へ誘導することができる。
木材を使った繊細なスリットで魅せる空間づくり
外観、そして屋内の至る所にあしらわれているのは、木材を使った繊細なスリットデザインと柔らかな間接照明。最新の設備や洋風とも思える床材を起用しながらも、落ち着いた和のデザインが引き立つ理由の1つだ。また暮らしの仕切りや間取りづくりが難しい「平屋」の設計で「仕切りすぎず、関わりすぎない」ことが可能なため、開放的な中にもそれぞれのシチュエーションで仕切りを作ることができている。
家の中からの見える田舎町の景色を堪能する暮らし
田舎町といえば都会と比べてエレガントな雰囲気こそ少ないが、実は都会にはない貴重な風景が広がっている。どこまでも続く広い空や、植物を植えなくたって緑深い景色を取り入れられることは、田舎にしかないメリットとも言えるだろう。今回の平屋でも、内観から目を引くのが「窓からきりとられた景色」。あえて景色を絵画のように魅せることで、今まででは隠しがちだった「田舎」を美しさとして取り入れることに成功している。
夫婦がこだわりと想いを込めた家づくりは、暮らしと好きを追求し続けたこその傑作だった
田畑が広がり、広い空に佇む暮らしにしかないものを「美しさ」と捉え、上手く起用すること。その町並と足並を揃えられたからこそ、お互いのいい面を「奏合う」ことができている今回の平屋物件。その裏側には、ご夫婦の想い、暮らし方、感覚、価値観が芯を持って存在しており、彼らがその全てを理解し更に高めることができる建築家を見つけられたことが不可欠だったであろう。今回の物件を通して、皆「自分達の想いを汲み取ってくれる建築家と家を建てること」がどれだけ重要かということも感じることができたのではないだろうか?
構造:木造/規模:地上1階/建築面積:104.34㎡/延床面積:104.34㎡