建築家・魚谷繁礼が手がける京都・岡崎の京町家を改装した写真画廊「風光・huko」が10月2日に誕生。

京都・岡崎に建築家・魚谷繁礼が手がける写真画廊「風光 huko」が2025年10月2日に開廊します。京町家を改装したこの空間は、世界で活躍する写真家・山本昌男の作品を皮切りに、多様な芸術文化を発信する新たな拠点として注目されています。伝統美と現代アートが融合する、唯一無二の場所をご紹介します。

写真画廊「風光 huko」が提供する新しい文化体験

2025年10月2日に開廊する「風光 huko」の1階和室

2025年10月2日、京都の歴史ある岡崎に、新たな文化の発信地として写真画廊「風光 huko」が誕生します。株式会社ディスカバリー号が手がけるこの場所は、古き良き京町家を、その本来の姿を取り戻すように丁寧に改装したものです。

設計:魚谷繁礼建築研究所

設計は、現代建築に日本の伝統的な美意識を取り込むことで知られる建築家・魚谷繁礼の設計事務所、魚谷繁礼建築研究所が担当しました。

京町家を元あった姿に戻すように改装

京町家が持つ特有の静けさや、移ろう光と影の美しさを最大限に活かした空間は、訪れる人々を日常の喧騒から解き放ち、穏やかな時間へと誘います。日本の文化と美意識を五感で感じ、知るための特別な場所として、写真展示、演奏会、茶会など、様々な催しが企画されています。

花:花屋 みたて / 左官:齊藤新人

また、左官職人 齊藤新人氏、庭を手がけた京都・渡邊庭店、什器を担当した川合優氏、「かみ添」、「丹羽ふとん店」、そして花を手がけたみたてなど、様々な分野の職人やクリエイターたちがこの空間づくりに携わっています。

庭:京都 渡邊庭店

彼らの卓越した技術と感性が集結した「風光 huko」は、訪れる人々に「一期一会」の精神で、心に残る特別な体験を提供することを目指しています。

山本昌男の写真が彩る、伝統と革新の融合空間

Kawa = Flow #1713

「風光 huko」の開廊を飾るのは、世界で活躍する写真家、山本昌男の個展です。16歳から写真を始め、ゼラチンシルバープリントなどの伝統的な技法を追求してきた山本の作品は、国内外で高く評価されています。1987年のイタリア・トリノでの発表を皮切りに、アメリカやヨーロッパへと活動の場を広げ、2014年には作家活動40年の集大成となる写真集『小さきもの、沈黙の中で Small Things in Silence』を出版しました。

Kawa = Flow #1582

近年では、日本の美意識に向き合う「BONSAI」シリーズや、ガラスに浮かぶ鮮明な画像が特徴の湿板写真(Ambrotypes)にも取り組んでいます。今回の写真展では、新たな写真集『Yamamoto Masao』も出版され、9月10日から先行予約が開始されます。

山本昌男

1957年愛知県生まれ。16歳より写真を撮り始め、絵画の勉強を経たのち写真家として活動を開始。ゼラチンシルバープリントなどの写真技法を用いた作品を発表する。1987年、イタリアのトリノで開かれた「Torino Fotografia ’87」で作品を発表。1994年、アメリカ・サンフランシスコの「Shapiro Gallery」での展示をきっかけに評価を確立し、欧米での活動を広げた。1996年、アメリカのNazraeli Pressより写真集『空の箱』を発表。1998年にアメリカ・ニューヨークの「Yancey Richardson Gallery」にて個展を開催。2006年、ヨーロッパで初めての個展をフランス・パリの「Galerie Camera Obscura」にて開催。以来、ヨーロッパでも活発な展示活動を開始。2014年、作家活動40年の集大成となる写真集『小さきもの、沈黙の中で Small Things in Silence』(青幻舎)を出版。日本や欧米のみならず、活動のフィールドを広げ、2018年にはロシア・モスクワのマルチメディアアート美術館にて「Yamamoto Masao. Photography」を開催した。2018年からは「BONSAI」シリーズを制作し、日本の美意識に向き合っている。現在は山梨県の八ヶ岳南麓を拠点に、自然のなかで作品制作を続けている。最新作の湿板写真(Ambrotypes)は、ガラスに浮かぶ解像度の高い画像がコレクターの注目を集めている。

https://www.yamamotomasao.com/

Yamamoto Masao Exhibition

期間:2025年10月2日(木)- 12月22日(月)
時間:11:00 – 18:00
※期間中の開廊などの詳細情報はWeb・Instagramをご確認ください。
10月5日(日)にはグランドオープン・出版を記念した山本昌男氏のトークショーを開催予定です。
住所:606-8326 京都市左京区岡崎西福ノ川町22-21
※駐車場:近隣駐車場のご利用をお願いいたします。
Web: huko.jp
Instagram: @huko_kyoto

多彩な催しと「一期一会」の精神で日本文化を伝える

「風光 huko」では、写真展に加えて、音楽家・内田輝による定期演奏会や茶会など、多彩なイベントが予定されています。内田は、ピアノ調律や14世紀に考案されたクラヴィコードの製作も手掛けるなど、音を深く探求する音楽家です。清水寺に奉納したクラヴィコードの製作でも知られており、その繊細な音色が京町家の空間でどのように響くのか、注目が集まります。

音楽家・内田輝

音楽大学卒業後、サックス奏者として活動。
2008年、ピアノ調律を吉田哲氏に師事。音の研究と共に国内外のジャズピアニストの調律を担当する。2015年、鍵盤楽器製作を安達正浩氏に師事。14世紀に考案されたクラヴィコード (鍵盤楽器) の製作を始める。2021年、音羽山清水寺のプロジェクト「FEEL KIYOMIZUDERA」の一環で役目を終えた本堂舞台板からクラヴィコードを製作し奉納。本堂を舞台に奉納演奏を行う。

https://www.uchida-akira.com/

現代の芸術家たちの創造性が交差する特別な場所

「風光 huko」は、京町家という日本の伝統的な建築と、山本昌男をはじめとする現代の芸術家たちの創造性が交差する特別な場所です。魚谷繁礼の設計と、職人たちの技術が織りなす空間で、写真、音楽、茶道といった多彩な文化体験を通じて、私たちの感性を呼び覚ますことでしょう。