ノーマン・フォスターによる、大阪・関西万博の「サウジアラビア館」は町や都市を探索する空間体験が魅力的!

2025年大阪・関西万博、建築界の巨匠ノーマン・フォスターが設計した「サウジアラビア・パビリオン」。サウジアラビアの伝統的な町並みを思わせる迷路のような空間で、来場者は五感を刺激されるユニークな体験ができます。

ノーマン・フォスター設計のサウジアラビア・パビリオン、万博

2025年大阪・関西万博に、世界的な建築家ノーマン・フォスター率いるフォスター+パートナーズが設計した「サウジアラビア・パビリオン」がオープンしました。

このパビリオンは、サウジアラビアの伝統的な町並みを想起させる、迷路のような路地「スーク」を探索するユニークな空間体験を提供しています。建築界の巨匠として知られるノーマン・フォスター氏は、ロンドン市庁舎やアップル本社など、数々の革新的な建築物を手掛けてきました。

彼が今回、サウジアラビアの文化と歴史、そして未来を表現するために選んだ手法は、「町や都市を探訪する体験」を創出することでした。この発想は、単なる展示施設を超え、来場者が自らの足でサウジアラビアの魅力を発見していくという、新しい形の交流を生み出すことを目的としています。ローカルアーキテクトとして、日本の梓設計も参画しており、日本の建築環境への適合性や、運営上の細やかな配慮がなされています。この国際的なコラボレーションは、万博のテーマである「いのち輝く未来社会のデザイン」を体現するものであり、多くの来場者にとって忘れられない体験となることでしょう。

没入型の空間でサウジアラビアの魅力とつながる

このパビリオンは、来場者が王国が持つ未知の魅力とつながる没入型の交流の場となることを目指しています。パビリオンの設計は、サウジアラビアの伝統的な村々に見られる有機的な形状を想起させるボリューム構成が特徴です。来場者は、サウジアラビア原産の植物が植えられた前庭からパビリオンに入り、迷路のような曲がりくねった狭い路地を進んでいくことで、あたかも現地の町を歩いているかのような感覚を味わえます。

この路地を進むと、計画の中心となる「サウジ・コートヤード」へとたどり着きます。このコートヤードは、日中は静かに思索を巡らせるひとときを提供し、夜にはパフォーマンスやイベントの会場へと姿を変える、時間帯によって異なる表情を見せる空間です。

この「村」には、59 ProductionsとSquint/OperaからなるJourneyとの緊密な協力のもとデザインされた、一連の没入型空間へとつながる窓や出入口が設けられており、来場者は五感を刺激される体験を通して、サウジアラビアの文化や歴史、国家的な変革を体感することができます。

持続可能性と文化遺産を融合させた革新的なデザイン

サウジアラビア・パビリオンは、持続可能性と伝統的な文化遺産の融合をテーマに掲げた、革新的なデザインが特徴です。日本の建築環境総合性能評価システム(CASBEE)で最高ランクの「S」を取得し、運用時のカーボン排出量が実質ゼロとなる予定であることから、環境への配慮が非常に高いレベルで実現されていることがわかります。設計チームは、伝統的なサウジの村々にみられる建築手法を現代的に解釈し、数値流体力学シミュレーションを用いて、夏の暑い時期に涼しい風を路地へと導くようデザインしました。

一方、春や秋の涼しい時期には、植栽が植えられた前庭が北風からパビリオンを守るバリアとして機能するなど、自然の力を巧みに利用しています。また、このパビリオンは万博後もそのレガシーを見据えて設計されており、持続可能な社会への貢献という万博の理念とも深く共鳴しています。

ノーマン・フォスター率いるチームは、サウジアラビアの文化遺産と現代技術を融合させることで、未来へとつながる独自の都市的な小宇宙を創り出し、訪れる人々に感動とインスピレーションを与えています。

伝統的な文化と持続可能性を融合させたサウジアラビア・パビリオン

ノーマン・フォスターが手がけたサウジアラビア・パビリオンは、伝統的な文化と持続可能性を融合させた革新的な建築です。迷路のような路地や、日中と夜で表情を変える中庭など、訪れる人々を魅了する空間が広がっています。