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土地は禿げ過疎の進む島にアートを。ベネッセと安藤忠雄と仕掛けた「ベネッセアートサイト直島」

ベネッセホールディングス会長・福武總一郎の発案による、直島再生プロジェクトがスタートしたのは、1988年。福武氏は建築家・安藤忠雄を呼び寄せ、島の自然の中に美術館と現代アートを点在させた「ベネッセアートサイト直島」を展開する。

便利さよりも、価値のあるモノ。自然とアートが島を救う。

ベネッセハウス付近の砂浜にある大竹伸朗の作品「シップヤードワークス」 via:wikipedia

建築というものは、便利で合理的で経済的でさえあればいいのでない、ということを表現したいと思っていた安藤。福武氏から瀬戸内海のゴルフ場2つ分くらいの大きさの島に「文化の島をつくりたい」と相談を受けた。

ゴルフ場計画が失敗し、かつて鉱石を溶錬した際に発生した亜硫酸ガスが流れたところは、地面も禿げていた。以来30年間、安藤は7つの建築をつくり、アーティストを巻き込みながら、植樹を重ねてきた。今では緑に覆われ、アートの聖地と呼ばれるまでの場所になっている。

福武が直島プロジェクトに際し提唱したのは「文明に対するレジスタンス」である。過度な都市化に対し、地方から世界に発信する大きなメッセージ。

結果的に過疎等によって活力を失っていた島は活気づき、また島民たちはアートにふれ、自分たちでも民宿やレストランなどを営み、人々を迎え入れるようになった。

直島での第1作、岬の上につくられた「ベネッセハウスミュージアム」

ベネッセハウスミュージアム via:wikipedia

地中に半ば埋もれる幾何学的造形の中で、内外空間が大胆に交流する、境界を越える美術館。

ベネッセハウスオーバル via:wikipedia

あとから、背後の丘に宿泊塔<ベネッセハウスオーバル>が建設された。

ベネッセハウスミュージアム

URL : http://benesse-artsite.jp/art/benessehouse-museum.html
開館時間:8:00〜21:00(最終入館20:00)
休館日:年中無休
鑑賞料金:1,030円(15歳以下とベネッセハウスに宿泊の場合は無料)
問合せ:https://benesse-artsite.jp/contact/
住所:香川県香川郡直島町琴弾地

完全なる地中の建築、「地中美術館」

直島での第4作。クロード・モネとウォルター・デ・マリア、ジェームズ・タレルという3人の作家の作品を展示する美術館。

via:wikipedia

既存の風景との融合という「ベネッセハウスミュージアム」、「ベネッセハウスオーバル」の試みを更に推し進めた、全体が地中に埋もれた建築である。

地中美術館

電話:087-892-3755
URL : http://benesse-artsite.jp/art/chichu.html
開館時間:3月1日 ~ 9月30日10:00 ~ 18:00( 最終入館17:00 )
10月1日 ~ 2月末日 10:00 ~ 17:00( 最終入館16:00 )
休館日:月曜日(ただし、祝日の場合開館、翌日休館)
鑑賞料金:2,060円(15歳以下無料)
住所:香川県香川郡直島町3449-1

既存の古い建物にアートを融合させた「家プロジェクト」

「南寺」 via:wikipedia

ベネッセハウスミュージアムや、地中美術館建設の一方で、古い家屋をアート空間に変え家プロジェクトが遂行していた。

「角屋」「南寺」「きんざ」「護王神社」「石橋」「碁会所」「はいしゃ」の7件が公開されている。6件は、古民家などが使われたが、例外的に、ジェームズ・タレルの作品を展示する「南寺」は新築された。

 

「はいしゃ」via:wikipedia

300年の歴史を持つ集落、本村地区が舞台となった「家プロジェクト」。江戸から明治にかけての記憶の刻まれた街並みが継承されることで、アートが街を活性化することが実証された。

家プロジェクト

URL :http://benesse-artsite.jp/art/arthouse.html
開館時間:10:00~16:30(「南寺」最終入館 16:15。「護王神社」の本殿と拝殿は、いつでも自由に見学可能)
休館日:月曜日(ただし、祝日の場合開館、翌日休館)
鑑賞料金:共通チケット(「きんざ」を除く6軒を鑑賞)1,030円
ワンサイトチケット(「きんざ」を除く1軒のみを鑑賞)410円
※15歳以下は無料

 

プロジェクトスタートから25年、年間40万人が訪れる「文化の島」となった直島。マスタープランなき建築の増殖が、この場所にしか無い風景をつくりだしている。

直島はまさにアート/建築がもたらす、豊かさの体現のような島である。東京からでも何度も乗り継ぎ、是非とも空間を肌で体感して欲しい。

藤巻百合香

藤巻百合香

首都大学東京で表象文化論を学び、表現の多様性に興味関心を据える。

大学在学中にお笑いライブ専用劇場をオープン。22歳で劇場経営とお笑いイベントプロデュースの会社を設立。

舞台芸術から建築まで、様々な視点で表現を追求する。

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