石巻の食を味わうカフェや、ユニークな空間が楽しめる石巻工房の多目的ショールーム「石巻ホームベース」

東日本大震災で被災した石巻で、地域の人々が自力で復旧や復興ができるように、ものづくりを介したコミュニティの場として始まった〈石巻工房〉のショールーム兼ゲストハウスが2020年に誕生しました。商品である家具たちを、実際に触れたり使用したりと、施設全体で体感できる空間です。

建築家・芦沢啓治のデザインで誕生した「Ishinomaki Home Base(石巻ホームベース)」

宮城県東部に位置する石巻市。仙台に次ぐ県内第2の人口を擁するこのまちも、東日本大震災で大きな被害を受けました。ここに、震災直後に立ち上がり、現在では世界からそのデザインや機能性が注目される〈石巻工房〉があります。そして、2020年には石巻と女川を結ぶ道沿いに新たな拠点として〈石巻工房〉のショールームとして〈Ishinomaki Home Base〉がオープンしました。

建築の設計を手がけたのは、〈石巻工房〉を設立した共同代表の建築家・芦沢啓治さん。内部の造作家具はもちろん〈石巻工房〉によるもので、そのほか〈石巻工房〉の製品も数多く並びます。家具は一般販売もしており、座り心地やサイズ感、デザインの違いや素材の魅力を確かめられます。

地元の食が楽しめるカフェを併設


ガラス引き戸の入り口から入って広がるのは、吹き抜けの大きな空間。1階には農業で地域を盛り上げようと石巻市北上町で活動するイシノマキ・ファームによる〈I-HOP CAFE〉が併設されています。

自ら育てたホップを使用したクラフトビール、地元の採れたて野菜を使用した日替わりメニューなどを、〈石巻工房〉の家具で構成された空間で楽しむことができます。

〈石巻工房〉の家具の魅力を感じるショールーム

ショールームでは〈石巻工房〉の商品を定番から新作まで取り揃えており、スタッフによる商品の案内やカスタマイズを含むオーダーの相談も可能です。

カフェのみならず施設全体で〈石巻工房〉の家具を実際に使用することができるため、座り心地や使い勝手など気になる点を体感して確かめることできます。

4組のデザイナーが手がけた個性豊かなゲストルーム

ショールームとカフェのある1階から上がると、2階には宿泊できるゲストルームが備わっています。吹き抜けに面した2階の4室で、〈石巻工房〉の家具や布製品などのデザインに関わってきた建築家やプロダクトデザイナー4組が、1室ごとに部屋をデザイン監修しています。

〈トラフ建築設計事務所〉による「Takibi」には大きな専用テラスが付属されており、トラフ建築設計事務所が〈石巻工房〉のためにデザインしたAA STOOL、AA DESK、ISHINOMAKI BIRDなどが並び、宿泊室のために新たに作られたランプシェード、TAKIBI LIGHTが暖かさを添えます。

〈藤森泰司アトリエ〉による「Noki」は、藤森泰司さんが初めてこの建築に訪れた際に感じた大屋根の「軒」の下に居るような心地良さを目指してデザインされました。屋根と同じ傾きのペンダント照明には、いつもより少し上を向いて寛いで欲しいという想いが込められています。

そのほか、石巻の水際まで迫っている木々から着想し、そこに住む鳩を名前にした〈寺田尚樹〉デザインの「Hato」や、コンパクトな空間を有効活用すべく設けられたツリーのようなハンガーが部屋のシンボルとなっている〈ドリルデザイン〉による「Eda」など個性的な部屋が用意されています。

また、キッチンや冷蔵庫、シャワー、トイレなどは共用のものが用意され、ゆったりとしたキッチンで料理を楽しんだり、テーブルでデスクワークをすることが可能。グループでの宿泊や、企業の研修など多様な用途で活用できます。

〈石巻工房〉の家具と石巻の魅力を体感できる空間

地元の食材を楽しめるカフェや、様々なデザイナーの感性に触れられる宿泊施設が備わった石巻工房の多目的ショールーム〈Ishinomaki Home Base〉。〈石巻工房〉の家具を求めて訪れるのはもちろん、地元の魅力を楽しむ旅行目的で訪れるにもおすすめなニュースポットです。