ミラノデザインウィーク2025 でエルメスでガラスを主軸とした新作ホームコレクションを公開

ミラノデザインウィーク2025でエルメスは、ガラス、レザー、カシミアなど多彩な素材を活かした新作ホームコレクションを発表しました。幻想的な空間で、光と色彩、そして豊かな質感が織りなすオブジェや家具が並び、エルメスが追求する素材の美学と卓越したクラフトマンシップ、そして上質なライフスタイルを提示しました。

ミラノデザインウィーク2025、エルメスが多彩な素材を活用した新作ホームコレクションを発表

2025年のミラノデザインウィークにおいて、世界中のデザイン愛好家が注目する中、フランスのラグジュアリーブランドエルメスが、ガラスをはじめとする多彩な素材を主軸とした革新的なホームコレクションを発表し、その圧倒的な存在感をミラノの地で示しました。エルメスは毎年、家具の見本市ミラノサローネとは別に、ミラノ市内で開催されるデザインやインテリアの展示に参加しており、今年は特に素材への深い敬意と探求心から、多様なマテリアルに焦点を当てました。

展示空間は、真っ白な壁と、円錐や四角の大きな白いボックスが天井から吊り下げられた浮遊感のあるセノグラフィーで構成され、そのボックスの下からは緑やオレンジの淡い光がオーラのように漏れ出す、幻想的な演出がなされていました。

この純粋な空間の中で、ガラスのオブジェはもちろんのこと、上質なカシミアのブランケットや、精緻なレザーバスケットなど、エルメスならではの卓越したクラフトマンシップが堪能できる新作の数々が発表されました。エルメスの今回のコレクションは、単なる機能的なアイテムを超え、素材そのものが持つ美しさと、それを最大限に引き出すデザインによって、空間に上質なアクセントと物語を添えることを目指していると言えるでしょう。

エルメスが追求する素材の美学と革新的なデザイン

エルメスが今年のホームコレクションで特に力を入れたのは、多岐にわたる素材が織りなす芸術性です。トマス・アロンソがデザインしたサイドテーブル「ピヴォット・ドゥ・エルメス」は、丸と四角、木とガラス、赤やグリーンといった相反する要素を絶妙なバランスで組み合わせた傑作です。特に、ラッカー仕上げのガラス製のベース部分は、見る角度によって色が重なり合い、さまざまな表情を見せるという視覚的な奥行きを演出しています。

また、透明なガラスに色付きのガラスを重ね、手作業でカッティングを施すことでパターンを描き出したベースとグラスのコレクション「カザック」は、表面に柔らかな凹凸が生まれ、光を取り込むことで空間に優しい表情を与えています。

さらに、異なる2色のカラーガラスを重ね、筆で彩色したような揺らぎを描き出したジャグ「ドゥブレ・ドゥ・エルメス」は、熟練したガラス職人の手吹きによる成形が、一つひとつ異なるスタイルを生み出し、液体を注ぐことで内部の色が揺らぐという視覚的な変化も楽しめます。最大7層にも及ぶガラスを重ねて作られたベース「ドゥブレ・ドゥ・エルメス」は、透明感と重厚さを併せ持ち、エルメスのガラスに対する深い探求心と技術力を如実に示していました。

クラフトマンシップが息づく多様なホームコレクション

エルメスの新作ホームコレクションは、ガラス製品のみならず、レザー、カシミア、木材など、多彩な素材が持つ魅力を最大限に引き出した、クラフトマンシップの粋を集めたラインナップで構成されています。

例えば、馬具に使われるブランケットのタータン柄からインスピレーションを得たレザーバスケット「パドック」は、長方形の小さなレザーパーツを手縫いのサドルステッチで丁寧につなぎ合わせ、内側と外側のカラーが異なる精巧な作りとなっています。これはバッグ製作にも用いられるエルメスならではの高度な技法が、日常のアイテムにも惜しみなく注がれている証と言えるでしょう。

また、スーダン出身のアーティスト、アメール・ムサがデザインを手掛けた手織りのカシミアブランケット「ポワン・エ・プラン」や、手紡ぎ・手染めの「ストライプ・ダイ」、24カラットのゴールドパウダーをあしらった「H パルティション」など、カシミア製品も充実しており、その柔らかい発色と質感は空間に穏やかな雰囲気をもたらします。

さらに、ナイジェル・ピークがデザインしたカオリン白磁のテーブルウェアコレクション「エルメス・アン・コントルポワン」は、水彩で描かれた幾何学模様と柔らかな色合いが特徴で、食卓を小気味よいリズムで彩ります。これらのアイテムは、エルメスが単なるファッションブランドではなく、素材への深い理解と卓越した職人技を通じて、人々の生活空間を豊かにする「上質なライフスタイル」全体を提案していることを明確に示しています。

クラフトマンシップの真髄を示すエルメスのホームコレクション

エルメスのミラノデザインウィーク2025での展示は、多様な素材の魅力を最大限に引き出した、クラフトマンシップの真髄を示すものでした。ガラスの輝き、レザーの温もり、カシミアの柔らかさが融合したホームコレクションは、単なる製品を超え、空間全体に豊かな物語を添えます。これは、エルメスが提案する洗練された「上質なライフスタイル」の真髄を、世界に発信する機会となりました。