千葉県木更津市のKURKKU FIELDSにNAP・中村拓志が手がけた大地の中へ潜り込む「地中図書館」がオープン!

2023年2月16日、千葉県木更津市の複合施設「KURKKU FIELDS(クルックフィールズ)」に、中村拓志・NAP建築設計事務所の設計による「地中図書館」がオープンしました。

NAP・中村拓志の設計による「地中図書館」

KURKKU FIELDSは、千葉県木更津市にある約9万坪の広大な敷地で「農」「食」そして「自然」の循環を体験できるサステナブルファーム&パークです。

今回新たにオープンしたのは、中村拓志・NAP建築設計事務所によって手掛けられた地中図書館。「晴れた日には畑を耕し、雨の日には読書をする。」そんな人のために構想され、オープン時には約3,000冊収容されています。

“土の中の微生物を栄養にして植物や野菜が成長をするように、人々が地中に潜り込んで本を読み、知を蓄え、想像する力を養い、再び大地を踏み締め未来へと進む”。地中図書館は、そのように自然の叡智を学びながら想像力豊かに未来へと歩を進める人々の支えになるような場所が目指されています。

出会えるのは、思いがけない空間と本

「地中図書館」は、名前の通り土の下に、ひっそりと隠されたように存在しています。

すり鉢状の特徴的な形をした土地の中腹にあり、大地にそびえ立つのではなく、洞窟のように地中に横たわる空間となっています。 KURKKU FIELDSを歩いている途中に、突如入り口を見つけて大地の中へと潜り込み、思いがけない空間と本に出会うことができる意図となっているのです。

本棚の間を抜けると、天井から自然の光が差し込むホールが現れます。cocoon、TINY HOUSE VILLAGEの宿泊者は閉館後の17:00以降も、優しい明かりがこぼれる幻想的な地中図書館で夜の特別な時間を過ごすことができます。

収容されている本は、自然や農的な暮らしに関するものを中心に詩、哲学、歴史、宗教、科学や経済にも独自の広がりや繋がりが感じられる作品がずらりと並んでいます。最深部には、読み聞かせのためのホールがあり、未来のために育む場をイメージしたそうです。芝の大地を大きく孕ませた子宮的空間には、階段状の席を本棚の襞が取り囲み、農園で働く人たちの蔵書や子どものための本が並んでいます。

地球を想って作られた、地中図書館

今回、設計を手掛けた中村拓志は、自然現象や人々のふるまい、心の動きに寄りそう「微視的設計」による、「建築・自然・身体」の有機的関係の構築を信条としています。

中村拓志は「地中海図書館」の設計について、以下のようにコメントを残しています。

「元々、平坦で乾いた敷地は、建設残土で埋め立てられた谷の上にあった。そこで緑豊かな谷地に戻すこと、そして建築は作土層を占有するのではなく、植物と土中微生物達の繁栄の下に慎ましく存在すべきだと考えた。例えば、谷筋の小さな割け目の奥にヴォイドを設けることで、耕す人の休息にふさわしい、やすらかな居場所を作りたいと考えたのである。」

「内部は、まるで洞窟のような空間を本棚が取り囲み、梁や柱といった建築的要素を排し、外周部の土留め壁と袖壁からRCボイドスラブを片持ちで跳ねだしている。 床と壁、天井は土仕上げでなめらかに繋がり、スラブ小口の鉛直面まで植え込まれた芝がモサモサと下垂し、空間に湿り気を与えている。これは灌水と保水のバランスを季節によって調整可能なディテールとなっている。」

「本棚の40mm厚の縦桟は、そのまま頭上に伸びて空間を支えている。細い縦桟は隣を支え、その縦桟はさらに隣に支えられることを繰り返すと、一周してはじめて大きな空間が支えられる。」

地中図書館は、大地と人間の叡智に包まれながら地球を想う図書館。大地の中に潜り込み、訪れる人々を、再び大地を踏み締め未来へと進む勇気を与えてくれることでしょう。

地中図書館

開館時間:12:00 – 17:00
休館日:毎週火曜日、水曜日(祝日を除く)
入館方法:事前予約制
予約ページ:https://kurkkufields.jp/experience/library/

KURKKU FIELDS、公式ウェブサイト・SNSアカウント
オフィシャルサイト : https://kurkkufields.jp
Instagram:  https://www.instagram.com/kurkkufields
Facebook:  https://www.facebook.com/KURKKUFIELDS.FB
twitter:  https://twitter.com/kurkku_fields