ブラジル・リオデジャネイロ郊外の森の中に静かに佇むオスカー・ニーマイヤーの自邸「カノアスの邸宅」

ブラジルを代表する建築家オスカー・ニーマイヤー。女性の身体に例えられるように有機的で自由な曲線を特徴としたデザインからは、ブラジルの自然が持つ生命感とモダニズムの幾何学の見事な融合を感じ取ることができます。2012年に104歳で亡くなる直前まで精力的に設計を手がけていた彼の作品は、プリーツカー賞・アメリカ建築協会ゴールドメダルなど数々の建築賞を受賞。その成功は建築という概念を超えてブラジルの名を世界に知らしめる多大な貢献を果たしました。

ニーマイヤーが郊外に建てた自邸「カノアスの邸宅」

「カノアスの邸宅」は、リオデジャネイロ南部、有数の高級住宅地であるサンコンラード地区の緑豊かな丘の中腹に建つ、ニーマイヤーの自邸として建築家本人によってデザインされた住宅建築です。

敷地内にはニーマイヤーの好きな造形の女性的な曲線を用いた彫刻がところどころに配されています。

建築は鬱蒼と茂った木々の影が広がる谷底に位置し、海まで流れていく川の上流にあたるため、谷底の暗い川が遠くの海岸まで延々と流れていく様子が続いており、はるか遠くに海が光っているのが見えます。

自然との関係が美しい建築

建築は野に建つようなブラジリアの建築群と異なり、森に溶け込むように樹々や岩などをそのまま住宅に取り込んだようなデザインになっています。

できるだけ岩を動かさず、地形に沿って建てられています。

庭に設けられたプールか岩、岩から住宅の室内、さらに森へと、ニーマイヤーの曲線による造形で有機的に繋がっています。

敷地にもともと存在していたであろう岩をそのまま取り込んだ、柱が岩から生えたような造形も非常に自然との一体感を感じさせます。

建築は柔らかくカーブしていて、自然と融合するような有機的な印象を感じさせますが、実際は谷底を塞ぐように巨大な人工地盤をつくり平らにして、その上に建てています。

外部に設けられたテラススペースにはイェーロ・サーリネンのチューリップチェアとテーブルを配置。暗がりの中に浮かび上がるような白の曲線が非日常感を感じさせつつ、調和を感じさせる佇まいで周囲の自然を美しく引き立てています。

ワンフロアにニーマイヤーのこだわりが広がる内部空間

内部へと進むとエントランスエリアはなく、ワンフロアとなっています。

プール側とテラス側は全面ガラス張りで稼働するサッシのため、開け放つと外部空間と一体化したように構成になっており、キッチンとも最小限の間仕切りのため空間に建築的要素が少ないのがわかります。

外部にある柱の刺さったプール脇の岩は室内にまで入り込んでおり、外部と内部の一体感、室内への不思議な非日常感を与えています。

そのほかの壁面もガラス面と同じ曲線となっており、外部と分けたいエリアは素材や色によって区分けしています。1階から階段で下ると地下にいくつか部屋があり、曲線の壁面に沿って設けられた書棚が特徴的な読書スペースも配置されています。

木陰に佇む、曲線と自然の調和が美しく心地の良い空間

ニーマイヤーらしい曲線が多様されていながら、立地による影と自然をうまく取り入れ、落ち着きのある心地よさを感じさせる「カノアスの邸宅」。文化施設や公共空間など大型の建築物が多いニーマイヤーですが、住空間についても彼の美学が随所に感じられる一軒です。

Casa de Canoas Oscar Niemeyer – カノアスの邸宅

所在地:Estrada da Canoa, 2310 – São Conrado, Rio de Janeiro – RJ, Brasil
開館時間:10:00~16:00
入館料:R$20
URL : http://www.niemeyer.org.br/fundacao/locais/casa-das-canoas