水面に浮かぶ世界的建築家・安藤忠雄が手がけた寺院「南岳山光明寺・本堂」が美しい

愛媛県西条市にある南岳山光明寺は、室町時代の永正年間(1520年頃)に釈智雲(入江親良)が開いた浄土真宗本願寺派の寺院です。このお寺の本堂は、プリツカー賞や文化勲章など名だたる建築の賞を受賞し、世界的な建築家でもある安藤忠雄が手がけ、2000年に完成した現代建築ででもあります。

水面に浮かぶ「南岳山光明寺・本堂」

「南岳山光明寺」の正門ですが、およそ500年の歴史を感じさせてくれる佇まい。この先に安藤忠雄が設計したモダンな建築があるとは思いえない雰囲気です。

奥へ進むと愛媛県で唯一、日本名水百選にも選ばれた西条市の「うちぬき」と呼ばれる湧き水でできた水盤に浮かぶ美しい寺院が立ち現れます。

「南岳山光明寺・本堂」は、安藤忠雄の設計らしい、端正で品格のあるファサードを持っています。おおよそ正方形の平面を持地、縦のラインが強調された木の格子が四方を囲んでいます。格子状のデザインを踏襲した様は日本的ですが、非常にモダンな建築になっていて、「和モダン」というキーワードの理想形のようなデザインです。深い軒の屋根も軽く思えるヴォリュームに乗っているようなデザインも、寺院のような厳正な建築でありながら軽快な印象も与えています。

水盤に浮かぶ寺院それ自体が非常に珍しいのですが、水面に格子状の縦ラインが水中にも連続しているようにリフレクションして幻想的な風景を作り出しています。

夜になると内側の照明が木の格子から漏れ出す姿を見ることができ、これもまた美しいと評判です。

類稀なモダンな寺院

本堂と周囲の水盤を取り囲む壁は、安藤忠雄らしくコンクリート打放し。木製の縦ルーバーを纏った本堂とデザイン的に合わせられた縦のスリットが設けられています。

安藤忠雄のデザインであることもそうですが、まるで美術館を訪れたような感覚になってしまいます。これほどモダンなデザインの寺院は類を見ないのではないでしょうか。

過去と未来をつなぐ美しい寺院

世界的建築家・安藤忠雄が本堂を手がけた寺院「南岳山光明寺」は、室町時代から戦国時代、安土桃山時代、その後江戸時代を経て、2000年の安藤忠雄による本堂の完成と現代までそれぞれの時代を生きた寺院と言えます。現代建築と500年の伝統が調和した歴史を未来でつなぐ理想的な姿なのではないでしょうか?これから建て替えを余儀なくされる寺院建築のロールモデルにもなるように思えます。

南岳山光明寺

参拝時間:14:00~16:00
公式HP:http://www.koumyouji.com/
拝観料:無料
住所:〒793-0030 愛媛県西条市大町550