建築家・谷口吉生が設計した思索する美しい建築「鈴木大拙館」で日本の禅文化に触れる。

金沢が生んだ仏教哲学者・鈴木大拙は、禅について著者を英語で著し、日本の禅文化を海外に広めました。彼の考え広く伝えることと来館者が思索する場として利用することを目的に建てられたのが、金沢21世紀美術館から徒歩10分の住宅地の緑豊かな自然景観の中に建てられた「鈴木大拙館」です。

回遊することで思索させる建築「鈴木大拙館」

禅について思索させるという崇高な目的を持った鈴木大拙館を設計したのは、正当なモダニズムを継承し、幾何学の美しい建築を数多く手がける建築家・谷口吉生。厳粛な雰囲気を身に纏った建築となりました。

鈴木大拙館は「展示空間」「学習空間」「思索空間」の3つの空間で回廊を結び、「玄関の庭」「露地の庭」「水鏡の庭」の3つの庭によって構成されています。

エントランスから内部に入ると内部回廊になっており、そこから「玄関の庭」が眺められるようになっています。その先に進むと「展示空間」と「学習空間」があります。

「展示空間」では、配置される書や写真、著作などから鈴木大拙を「知る」空間となっており、「学習空間」では、鈴木大拙の心や思想を「学ぶ」空間となっています。「学習空間」からは対照的な場所となる「露地の庭」を眺めるられ、スノキの古木や、朝夕、四季によって様々に彩られており、景観も含めて楽しむことができます。

異なる四方面の景色と水面に浮かぶ「思索空間」

外部回廊を通って「思索空間」へ向かう途中に「水鏡の庭」が広がり、そこでは自ら「考える」空間として定義されています。

Via : Wikipedia.

「水鏡の庭」は「静寂」と「自由」という鈴木大拙の精神を表した空間で、外部回廊や犬島産錆石の壁、外部と隔離させる壁、生垣によって四方向異なるもので囲われています。そこの建つ「思索空間」が水面に浮かぶよう思わせてくれます。

Via : Wikipedia.

中には畳のベンチがあり、そこからゆっくりと四方を眺めることができます。

鈴木大拙館は鑑賞するだけの場ではなく、来館者が鈴木大拙の思想について知り、学び、そして考えることができるよう設計されています。来館者が自由に自然な心で鈴木大拙と出会うことで、そこから得る感動や心の変化を自らの思索に繋げていくこと目的とされているので、不思議な世界観を感じることができます。

鈴木大拙館

営業時間:9:30〜17:00(入館は16:30まで)
定休日:毎週月曜日(月曜日が祝日の場合翌日)・年末年始・展示替期間
住所:〒920-0964 石川県金沢市本多町3丁目4番20号
電話番号:076-221-8012
公式サイト:https://www.kanazawa-museum.jp/daisetz/index.html