「人と声を掛け合えるのって、やっぱり楽しい」建築家・保坂猛が大切にしているデザインや好きな空間

東京建築士会住宅建築賞を受賞した自邸〈LOVE HOUSE〉や、日本建築仕上学会にて作品賞を受賞した〈ほうとう不動 東恋路店〉など幅広いジャンルの空間設計を手掛ける建築家・保坂猛。今回は保坂さんに、日常で大切にしているデザインやお好きな空間について伺いました。

建築家・保坂猛

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1975年山梨県生まれ。横浜国立大学工学部建設学科建築学コース卒。同大学大学院修士課程修了。1999年にSPEED STUDIOを共同設立。2004年に保坂猛建築都市設計事務所を設立。初期の代表作でもある自邸〈LOVE HOUSE〉をはじめ、〈ほうとう不動 東恋路店〉、〈鎌倉雪ノ下教会墓地〉など幅広いジャンルの建築設計を手掛け、国内外から高い評価を得ています。現在はご自身の活動の傍ら、早稲田大学芸術学校准教授も務められています。

暮らしの中で大切にしているデザイン

まずは日常生活の中で大切にされているデザインについて伺いました。

「最近購入して気に入っているのはANAの機内で使用されているカートです。コンパクトで動きも軽快なんです。他にもスノーピークのPS600というガスコンロを購入しました。かなりコンパクトにたためて使いやすいので、気軽におうちでキャンプ気分を楽しんでいます。」

極小住宅とも呼ばれるほど小さな自邸に住まう保坂さん。気になるアイテムも自然と小回りの利くものが多くなるのかもしれませんね。

好きな場所・空間

https://www.hosakatakeshi.com/projects/love2_house/

建築家として、お好きな空間はどういったものなのでしょうか。

「今住んでいる自宅ですね。掃き出し窓を開けると縁側があって、人通りのある道路に面しているんです。窓の近くにいると歩いている近所の人が声をかけてくれたり、猫が遊びにきてくれたりして楽しくてとても気に入っています。」

今どき掃き出し窓は珍しいですね。

https://www.hosakatakeshi.com/projects/love2_house/

「多くの住宅はカーテンとかシャッターを閉めっぱなしにして外部と遮断することが多いのですが、逆にオープンにしてみたら結構楽しいんです。」

良いコミュニケーションに繋がっているんですね。

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「外が見えると安心感があるし、人と声を掛け合えるのってやっぱり楽しいです。時々近所の人がワイン持ってきて酒盛りをはじめたりしてます(笑)。」

こうした交流が生まれる空間は、住まれているご自身はもちろん、周辺のご友人にとっても楽しそうですね。

〈LOVE 2 HOUSE〉から感じられる広々とした印象の秘密

https://www.hosakatakeshi.com/projects/love2_house/

保坂さんの自宅〈LOVE 2 HOUSE〉は、写真で見るとあまり小さいように感じられないのはなぜでしょうか。

「それは、面積は19平米とかなりコンパクトなのですが、天井が7mと高めに設定されているからだと思います。あとは、19平米の中にキッチンや寝室など色々な要素があるのですが、部屋で区切ってないので広々とした印象になるのかもしれません。

https://www.hosakatakeshi.com/projects/love2_house/

北側には道路に面した掃き出し窓、南側には窓の先に露天風呂のあるテラスがあるので南北にのびのびとした空間に感じられるのと、天井の1番上はトップライトとしてガラスになっていて空が見えるんです。だから横にも縦にも広がっているような印象になっています。」

保坂さんが手掛けられたほうとうのお店も、窓は常に開けっぱなしの空間ですよね?

https://www.hosakatakeshi.com/projects/hoto_fudo/

「実はお店に空調設備が無いんです。山梨ならではの自然を感じてほしくて、開けっぱなしの窓による自然通風だけの気持ちの良い空間でほうとうを食べる、ということをコンセプトにしています。」

富士山の白と店舗の白が美しいですね。

https://www.hosakatakeshi.com/projects/hoto_fudo/

「富士山が目の前に大きく見えるので、車で通りがかったときに建物が富士山に浮かぶ雲のように目に焼き付くような見え方を目指しています。実はオープン当初はほうとう屋さんだと認識されなかったのと、富士山の麓の美しい風景の邪魔をしたくなくて看板を小さく設定した結果、全然人が入らなかったんです(笑)。今では地元の人気店になって安心しています。」

慣習に縛られないのびのびとした視点

19平米の床に対して天井が7mの住宅、用途がわからない形状の飲食店など、従来の視点では生まれ得ない斬新な提案が魅力の保坂さん。慣習に縛られず、実直に心地よさ、環境との関係性を見つめるからこそ生まれるデザインかもしれません。そんな保坂さんが考える、自邸〈LOVE 2 HOUSE〉へのこだわりやこれからの住まいについては「『住んでみないとその魅力は分かりにくい』建築家・保坂猛が考える自邸へのこだわりやこれからの住まい」からどうぞ。