磯崎新が手がけた船の帆を思わせるファサードが特徴的なスペインにある「ア・コルーニャ人間科学館・ドムス(Domus)」

スペイン北西部ガリシア地方の都市ア・コルーニャ市に、日本の建築家、磯崎新によって設計された科学博物館、ア・コルーニャ人間科学館がある。磯崎新はバルセロナオリンピックのメイン会場であるパラウ・サン・ジョルディを手掛けたりと、世界で活躍する建築家の一人だ。そんな極東の建築家が、ユーラシア大陸の反対側に作った建築である。

海岸沿いにそびえ立つ、「ドムス(Domus) ア・コルーニャ人間科学館」

海岸沿いにそびえ立つ、1995年完成の、ア・コルーニャ人間科学館、通称ドムス (Domus) 。船の帆を思わせる外観で、目の前に広がる海岸の緩いカーブに沿って建てられている。カーブを描くビーチの何処からでもこの建築が目に入ってくるほどのインパクトだ。そしてこの地方で採掘される緑色のスレートで覆われ、PC板で作られたファサードが特徴的である建物である。

エントランスは、海岸と反対の街側にある。2層分吹き抜けのピロティをくぐり立ち入る。博物館は常設展示スペースとして1,500m²がある広さである。

幻想的なワンルームの科学館

エントランスの内部空間は、スタイリッシュな印象。ガラス張りとなっている大きな窓からは自然光が差し込み、必要最低限な照明で室内を照らしている。このドムス (Domus)は、スペインで最初のインタラクティブな展示をする博物館としてオープンしたそう。

科学館の展示スペースの天井は高く、ファサードの局面がそのまま表現されているため、斬新さを感じる。

展示方法は、作品の種類、形、大きさなどにより、光の当て方や、色味、配置の上下の高さなど、細かな所まで工夫されている。人間科学館という名の通りの展示がたくさんあり、スポーツテストやサイエンスゲームなどもあり、頭と体を使って楽しむことができる。

うっとりと幻想的な照明

壁に合わせてカーブを描きながら、奥へ奥へと導かれる。ぼんやりと温かみのあるライトに照らされて、次々と作品を楽しめる作りとなっている。

トップライトからの光が局面で拡散し、暖色の照明たちとのバランスがとれており、うっとりと幻想的な空間となっている。足元を照らすライトたちが、より雰囲気を醸し出している。

広大なスペースの中で、明るさが場所により異なっており、様々な雰囲気を味わうことができる。天井の高さがあるため、ワンルームでもありながらも開放感のある空間でのびのびと作品を見てまわれる。

PC板の反対側は、凸凹した空間となっており、それぞれ展示スペースとなっている。作品により、展示方法を変化し、見る人をより魅了するようにと工夫されている。

海を見渡せる休憩スペース

展示スペースの下の階は、ガラス張りで海岸線を見渡すことのできる休憩スペースとなっている。海や街並みを見ながら、心地良い時間を過ごすことができるだろう。

 

ア・コルーニャ人間科学館、ドムス (Domus)は、外観からも圧倒されるが、ファサードがきれいで内部との関係が明快で面白い建築である。そして情緒たっぷりのライトにより、広大なワンルームの中、それぞれの場所で雰囲気が変化していくことがドラマチックだ。また、磯崎新の建築としては北九州市中央図書館に近い印象で、局面の連続性が建築全体をコントロールしているように感じる。

Domus –  ア・コルーニャ人間科学館

開館時間:10:00~19:00
電話:+34 981 18 98 40
URL : http://www.coruna.es/mc2/es
住所:Rúa Ángel Rebollo, 91, 15002 A Coruña, Spain