ガウディの街バルセロナに建つ新しいシンボル「トラ・アグバル」などの現代建築群

スペインのバルセロナは芸術と建築の都市と呼ばれるほど歴史的に価値の高い建造物が多くあります。特にサグラダ・ファミリアやグエル公園を代表するアントニ・ガウディの作品群は多くの人を魅了し、貴重な観光資源として世界中から人が押し寄せます。

そんな芸術と建築の都市・バルセロナは、ガウディの時代の建築だけでなく、近年様々な建築のプロジェクトが稼働しています。ガウディの時代からも続いて、優れた現代建築が立ち並ぶ様は、街そのものが一つのアートとして成立しているように思えるほどです。その一部をお届けします。

グロリアス地区の新たなシンボル「トラ・アグバル」

近年バルセロナの新たな取り組みの一つとして特徴的な近代建築が多く生まれています。その一つがトラ・アグバルです。再開発の進むグロリアス地区の新たシンボルとして建設されました。近未来的な丸みを帯びた形状とモザイクのようなデザインは特徴的で、水道局の施設ですがランドマークにふさわしい建築となっています。

2004年に完成したトラ・アグバルのユニークな点としては、これがバルセロナ市水道局のものであるということです。丸みを帯びた形状は吹き出るような噴水をイメージしており、設計したのはジャン・ヌベールというフランスの建築家です。ちなみに彼は汐留にある電通本社ビルを設計した建築家なので日本でも知っている人は多いかもしれません。

窓ガラスの質感をモザイク状に見立てたデザインはこれまでになく、またバルセロナらしさとも言えない趣向の異なる建築です。

ある意味バルセロナは厳格なカトリックの名残が残る歴史的な側面が強い為、新時代との調和を考えて新しい一面を象徴しているのだと言えます。結果としてトラ・アグバルは観光スポットではないものの世界から建築好きの方が多く訪れるランドマークとしての存在感を放っています。

トラ・アグバル

プリツカー賞受賞者が手掛けた「フォーラム・ビルディング」

こちらの流線型のフォルムの建築はフォーラム・ビルディングです。

地中海をイメージしたと言われる外壁は青で塗られ、巨大な三角形の平面を持っていることが特徴的な建物です。これを建築したのはスイス出身の世界的な建築家ジャック・ヘルツォークとピエール・ド・ムーロンの2人のユニット、ヘルツォーク&ド・ムーロンで、彼らは2001年に建築界のノーベル賞である、プリツカー賞を受賞しています。さら2007年には世界文化賞建築部門を受賞するなどの輝かしい功績を残しています。

フォーラム・ビルディング

芸術の街が作る新たな観光スポット「デザイン博物館」

最後に紹介するのは2014年にオープンしたデザイン博物館です。

バルセロナにおけるデザインの歴史を1か所で縦断できる見応えのある博物館になっており所蔵品の数は実に7万点以上になります。バルセロナの新しいアート・スポットとして注目を集め、バルセロナの魅力を新しい視点で伝える役割を担っています。

この博物館はもともとバルセロナの市内にあった「陶器博物館」「装飾美術館」「テキスタイル・衣装博物館」「工芸グラフィック美術館」の4つが統合され生まれたもので、バルセロナに縁のある装飾品、インテリア、ファッション等を全て見ることができます。

複数のミュージアムが統合されたデザイン博物館はジャンルではなく、時代ごとに共通したテーマやコンセプトによって区切られ、デザインを切り口にバルセロナの歴史を振り返ることができる点が人気で、バルセロナやデザインに詳しくない人ほどその分かりやすい設計に興味を持ち引き込まれてしまうようです。

デザイン美術館

スペインのバルセロナといえばヨーロッパを代表する中世の面影がある都市です。情緒ある教会やゴシック様式の建造物が並ぶ中で、こうした現代建築が多くの人を魅了することに時代の変化を感じます。