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鉄とガラスで構成されたミース・ファン・デル・ローエによる美しい建築7選。

フランク・ロイド・ライトやル・コルビュジエと並んで近代建築の三代巨匠と讃えらるミース・ファン・デル・ローエ。3人の中でもミースは特別な建築家である。

インテリアまで徹底して突き詰めてデザインしていくライトや後期には造形的な美しさを追求した建築を遺したル・コルビュジエに対して、ミースは「ユニバーサル・スペース」と言う概念を提唱し、純粋なモダニズム建築を作り続けた点において特異な存在である。

ユニバーサル・スペースとは、内部空間を柱や壁と言った構造材で限定せずに自由に使えるようにした空間概念で、空調や日照などをできるだけコントロール可能にした空間の作り方である。建築家の原広司は「均質空間」と訳していて、オフィスビルなどには非常に適した概念であり、現代にある様々な建築はこの概念を踏襲して作られていると言っても過言ではない。ル・コルビュジエも「ドミノシステム」は提唱しているが、ミースが示したのはより透明で均質な建築である。

それが顕著に現れるのはミースによる鉄とガラスで構成された建築作品たちだろう。

1.ミースによる傑作住宅「ファンズワース邸」

シカゴの病院に勤務する女性の医師エディス・ファンズワース氏のための週末住宅として建てられた「ファンズワース邸」は、住宅を多くは手掛けていないミースによる傑作住宅である。ユニバーサル・スペースは空間をコントロールするための概念であるが、ファンズワース邸では住まい方を自由にするとともに緑豊かな周辺環境に溶け込み、自然を取り込んだような建築になっている。

Farnsworth House – ファンズワース邸

開館時間:9:30~16:00(土・日曜日~17:00)
休館日:月曜日
URL : http://www.farnsworthhouse.org
住所:14520 River Rd, Plano, IL 60545 USA

2.柱のない大空間を実現した「クラウンホール」

ミースが主任教授を務めたイリノイ工科大学の建築学科のための施設である「クラウンホール」は、ミース自身の設計により実現した建築。構造を外部に表出させることで内部に柱のない大空間を実現している。可動間仕切りにより自由に空間を使うことができ、ユニバーサル・スペースの概念を最も体現できる建築ではないだろうか。

S. R. Crown Hall – イリノイ工科大学クラウンホール

開館時間:8:00~18:00(土・日曜日~15:00)
URL : http://arch.iit.edu/about/sr-crown-hall
住所:3360 S State St, Chicago, IL 60616 USA

3.ベルリンの「新ナショナル・ギャラリー」

Via : Wikipedia.

クラウンホールと同じく内部に大空間を実現しているのがドイツ・ベルリンにある「新ナショナル・ギャラリー」。巨大な鉄の屋根を8本の鉄の柱で支えていて、建築とインテリアが分離した強烈な形式性がおもしろい。また、ユニバーサル・スペースがオフィスだけでなく、美術館のような用途にも非常に有効であることが示されていると言える。

Neue Nationalgalerie – 新ナショナル・ギャラリー

URL : https://www.smb.museum/museen-und-einrichtungen/neue-nationalgalerie/home.html
住所:Potsdamer Straße 50, 10785 Berlin, Germany

4.高層ビルの原型「レイク・ショア・ドライブ・アパートメント」

シカゴのダウンタウンの外れのミシガン湖沿いに建つ「レイク・ショア・ドライブ・アパートメント」は、現在世界中に建っている高層ビルの原型と言われている。竣工した1951当時としては画期的なカーテンウォールのビルである。どこまでも反復できそうな鉄とガラスでできたグリッドは、ミースのユニバーサル・スペースを表したデザインとして秀逸。

Lake Shore Drive Building – レイク・ショア・ドライブ・アパートメント

URL : http://860880lakeshoredrive.com
住所:880 N Lake Shore Dr, Chicago, IL 60611 USA

5.ニューヨークの「シーグラム・ビルディング」

ミースがフィリップ・ジョンソンとともにデザインしたのが、ニューヨークの「シーグラム・ビルディング」だ。ユニバーサル・スペースの概念通り、内部は壁のないフロアが続いている。当時としてはオフィスビルの最先端と言ってもいいだろう。また、パークアヴェニューを挟んで建つリーバ・ハウスとともに建築をセットバックして広場を設けたことも、その後のマンハッタンの高層ビルの建て方に影響を与えた。

Seagram Building – シーグラムビル

URL : http://www.375parkavenue.com
住所:375 Park Ave, New York, NY 10152 USA

6.シカゴの「IBMオフィスビル」

シカゴのダウンタウンにはミースの建築が数多く建っている。その中の「IBMオフィスビル」は、1973年に竣工した高さ211.8mの高層ビルで、ミースが手掛けた高層建築の中では2番目の高さで、トロントのドミニオンセンターの次に高い建築である。鉄とガラスが反復するそのデザインは圧巻。

IBM Building – IBMオフィスビル

住所:330 N Wabash Ave, Chicago, IL 60611 USA

7.ダウンタウンで目を惹く「シカゴ連邦センター」

1871年にシカゴ大火に見舞われ更地になったシカゴのダウンタウン。そこには高層ビルが立ち並ぶ訳だが、その中でも「IBMビル」とともにシカゴのダウンタウンの中でも一際目を惹くのが「シカゴ連邦センター」だ。精度の高いグリッドが連続した2つのビルと広場のホールは、ミースの作り上げた透明で均質な世界そのものだ。

 

ル・コルビュジエであれフランク・ロイド・ライトであれ、その作風が変化していくことが一つのおもしろさでもある。しかしミース・ファン・デル・ローエは、ユニバーサル・スペースと言う建築概念そのものを追い求め、モダニズム建築やインターナショナルスタイルを極めた建築家である。

特にナチスによってバウハウスが閉鎖し、新天地アメリカに活路を見出したミースにとっては、シカゴのダウンダウンは格好の実験場となった。その結果として、ミースが手掛けた高層建築によってシカゴの摩天楼が作られ、またそれが世界に大きな影響を与えることになったのである。

大前洋輔

大前洋輔

空間だけでなく色々なモノやコトのデザインをしています。

建築と美味しい食べもの、南の島々を探しによく旅に出ます。

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