「casa amare(カーサ・アマーレ)」がモダンでありながら日本的な住宅である4つのポイント。
終戦後の日本では、西洋的な文化が流れ込むと同時に、住宅の供給の名のもとに効率的に住宅を作るために西洋的な要素で構成された住宅が作られて来た。そうして作られた公団住宅やアパート、マンション以外でも、ハウスメーカーが台等して来たこともあり、西洋的なデザインの住宅が”おしゃれ”とされ、どんどん日本的な住宅がなくなっていった。
一部の建築家がデザインした日本的なものを継承した住宅は確かにあるが、一般的にはなっていない。そんな中で紹介したいのが、「casa amare(カーサ・アマーレ)」だ。モダンでありながら、日本的な要素を再定義して作られた「casa amare(カーサ・アマーレ)」は、現代においての日本的な住宅の完成形と言っていいだろう。
1.日本古来の美の比率「大和比」
casa amare は、奈良の法隆寺や大阪の四天王寺の伽藍、金堂など、古くから日本の建築や彫刻、生け花などに用いられてきた比率「大和比」を継承している。日本人の心に沁みついた美意識を活かしたデザインのもとになるこの「大和比」は、最も美しく安定した形を生み出し、casa amare を支えている。
2.風景に溶け込む外観
古来より、日本の住宅は周囲の環境と共存・共栄するように寄り添って建てられてきた歴史がある。それは、環境と合わせてデザインされる建築というものの原点でもあり、ごく自然なことでもある。「大和比」によってデザインされたcasa amare の無駄のない端正なフォルムは、日本の風景の一部となって、景色に溶け込む。
3.フレキシブルな内部空間
京都などに現存している日本古来の建築を想像してみて欲しい。床と天井、等間隔で並ぶ柱以外は、襖などで簡易的に空間を緩やかに分割され、色々な空間や機能が入れ替え可能でフレキシブルである。casa amare は、平屋でも二階建てでもないフレキシブルな住宅である。間取りの変更も可能で機能が限定されていない余白のようなスペースもあり、次世代に渡って継承できる住まいが非常に日本的である。
4.快適に暮らすためのインテリア
日本的な要素は、casa amare のインテリアにも現れている。外光を柔らかく取り込む内障子は、日本の建築文化の象徴とも言える内装デザインである。材質が柔らかく保温性や調湿性にも優れた杉材を床材として利用し、バーミキュライトと珪藻土などの天然素材からできた多孔質のモイスを内壁に使っている。木や天然素材のマテリアルを使い、外観だけでなく屋内まで自然を感じさせている。
隈研吾の設計の新国立競技場などが日本的な意匠をまとって建設されることもあり、復権を果たしてきた印象の日本建築。これから住宅建築などでも”和”がトピックに上がるとは思うが、真に日本的な住まいとは「casa amare(カーサ・アマーレ)」のようにこれらのポイントが継承されているかどうかだろう。